表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ2巻4/16発売】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/194

21ソフィア十歳

「おい…姫様。おーい。そろそろ起きろ。」


「んぅうう。眠いぃ。あとちょっと寝る。」


「だめだって。そう言って昨日も後悔してただろう。」


「カイルのいじわるぅ……。」


「いいのか?今日の朝食はじゃがいものポタージュあるぞ?

 またお代わりする時間が無いって悲しむなよ?」


「………おきる。」



仕方なく起きて寝台から出ると、カイルがほっとした顔になる。

多分、またリサとユナに起こされても起きなくて、カイルの出番になったんだろうな。

本当なら護衛騎士が寝台まで起こしに来ることなんて無いんだけど。


悪いなとは思うけど…最近成長期なのか眠くて仕方ない。

ちゃんと三食食べて夜眠るようになって、

魔力を使うようになってからというもの、急に成長し始めた。


おそらく私の魔力が身体の活動を停止させていたのではないかって、

診察したレンキン先生が言っていた。

栄養が全然足りていなかったから、死なないように成長しないでいたんだって。

それほどまで追い詰められていたとは気が付かなかったけれど、

その後の急成長で納得してしまった。


急激な成長には睡眠が必要なようで、おかげで朝起きるのがすっごくつらい。

何も無ければずっと寝ていたいくらい眠い。

だけど、成長期だからお腹もすっごく減る。


お腹が減るから何食べても美味しく感じるのだけど、

特に朝食で出されるじゃがいものポタージュがお気に入りで、

お代わり三回したいくらい好き。


王女教育の時間は決められているから、

お代わりするためには早く準備をして食事をしなければいけない。


私室の中にある食事室に入ると、カイルも一緒に席に着く。

食事を一人で取らないようにと、必ずカイルかクリスがついてくれる。

一緒に食事してくれる人がいるのも、食事がおいしくなる理由だと思う。


「ほら、冷めないうちに食べよう。」


「うん!あぁ、今日のパン、クロワッサンだ!うれしい。」


パンは手で小さくちぎって食べるのが正しいのだけど、

クロワッサンならかじっちゃえ。パクリ。うーん!サクサクして美味しい!


「姫様、バタバタしない。美味しいのはわかったから。」


「うん、ごめんなさい。落ち着いて食べる。」


さすがにみっともなかったのかカイルに叱られる。

カイルとクリスは護衛騎士とは言われているものの、私が公務に出るのは二年後。

それまでは王宮内でもほとんど移動しないから、あまり騎士って感じではない。


親戚のお兄ちゃんのように…とお願いしたけれど、

なんとなくカイルはお父さんでクリスはお母さんのように感じる。


心配性のお父さんと口うるさいけど面倒見のいいお母さんって感じ。

言ったら多分クリスに怒られるから言わないけど。



「おはよう、姫さん。朝ごはん終わった?」


「あ、クリスおはよう。もう行かなきゃいけない時間?」


「うん、そろそろ準備して。」


「はーい。」


カイルとクリスを連れて、本宮の応接室へと向かう。

今日の授業は隣国ココディア語。ココディア国はお母様の生まれた国でもある。

そして、先代国王の時代までは戦争をしていた相手国だ。


お祖父様が国王となり、戦争は終わって、条約を結び同盟国となった。

友好の証として王太子であるお父様のもとにお母様が嫁いできたらしい。


それでも、その十数年前までは戦争していた国。

いろいろとうまくいかなくて、夫婦仲もうまくいかなかったらしい。

お父様は王太子の執務室がある東宮に、

お母様は出産のために建てられた離宮にそのまま住んでいる。

本当ならここ本宮に二人とも私室があるけれど、戻ってきたのを見たことは無い。


私が七歳まで西宮にいたことすら気が付かない両親ということは、

そういうことなんだろうとは思っていたが、予想以上に接することなく過ごしている。


語学を習う時は一日その言葉だけで過ごすことになる。

つまり、昼食とお茶の時間もその国のマナーを含めて覚えることになる。

午後のお茶の時間が終わるまで授業は続き、夕方になってようやく解放された。

勉強するのは嫌いじゃないし、語学を身につけるのは大事だと思っている。


それでも魔術の授業のように楽しいとは思えない。


「ねぇ、ちょっとだけ中庭の端に行って、魔術の練習してもいい?」


「ちょっとだけって言って、この間は帰りたがらなかったじゃん。」


「今日はちゃんと時間通りに帰るから。」


「…約束守りなよ?」


なんだかんだいって甘いクリスが許してくれると、三人で中庭の奥に向かう。

あまり目立つところで練習すると、私の魔力量とかがバレてしまう危険がある。

そのため人気のないところを探して練習していた。


「…!!」

「!!……!」「…はなして!!」


何か声がするなと思ったら、女性の叫ぶような声が聞こえた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ