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【書籍化・コミカライズ2巻4/16発売】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


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ただ与えられた仕事をこなして時間は過ぎていく。

日中は普段と変わらずに過ごすけれど、どうしても夜は眠れなくて。

私だけじゃなく、クリスも眠れていないように思う。


カイルがいなくなって四日目。

寝不足が続いて、こめかみの少し上がズキズキと痛みだす。

もむようにすると少しは楽になるけれど、何をしても重苦しい。


クリスが心配そうな顔しているのはわかるけれど、

そういうクリスもひどい顔をしている。


言葉少なく朝食を終えると、そのまま執務室へと向かう。

中に入ると、いつもと変わらず挨拶をされる。


「おはようございます、ソフィア様。」


「おはよう。」


いつもと変わらない挨拶ではあるが、執務室はどことなく雰囲気が暗い。

普段無口なカイルがいないだけなのに、こんなにも影響が出るとは思ってなかった。


席に着くと、なぜかアルノーがこちらへと向かってくる。

補佐しているクリスの席ではなく、私の席にくるのはめずらしい。

私に確認してほしいことでもあったのだろうか。


「ソフィア様、少しよろしいですか?」


「どうかした?」


「イシュラ王子からソフィア様が時間に余裕がある時でいいので、

 少し話を聞いてほしいと伝言がありました。」


「イシュラ王子が?」


イシュラ王子が私に聞いてほしい話って何だろうか。

何か問題があったとしてもエディたちに伝えれば済むはずなのに、

わざわざ私と話をしたいというのなら、ルジャイル国で何かあったのか。

それともルジャイルの国王から私宛に連絡が来たのかもしれない。


「わかったわ。今日の休憩時間でいいかしら?」


「大丈夫だと思います。では、ソフィア様の休憩時間になりましたら、

 私が向こうに行って交代してきます。」


「ええ、よろしくね。」


そういえば、今はイシュラ王子がエディ達三人の護衛騎士をしているんだった。

イシュラ王子がこちらに来る間、アルノーが護衛騎士に戻るのだろう。


いったい何があったのかと気にはなるけれど、やらなければならないことは多い。

昼過ぎまで休憩する時間も無く働き、午後のお茶の時間になって、

ようやく休憩することができアルノーが交代しに出て行った。


執務室の奥の部屋で休憩しているとイシュラ王子が入ってくる。

誰か他にも連れてくると思っていたが、イシュラ王子だけだった。

あまり他に聞かれたくない話なのかもしれないと、部屋にはクリスだけ残る。

お茶を淹れた後、リサも部屋から出て行った。


「時間をいただいて申し訳ありません。」


「休憩時間だから大丈夫よ。

 イシュラ王子はそれだけ話したい事があったのでしょう?

 他に聞かれたくないことなのかしら?」


「はい。そのためにルジャイル国の者は置いてきました。」


ルジャイル国の者は置いてきた。それは、母国の人間には聞かれたくないこと?

隣に座るクリスの雰囲気がピリッとしたものに変わる。


「それは、ルジャイルには聞かれたくない話なの?」


「…聞かれたくないというよりは、聞かれたら止められると思ったのです。」


「止められる?」


まだルジャイルの王位継承権も無くしたわけではないイシュラ王子が、

ルジャイルに聞かれたくない話とはどういうことなんだろう。

もし何か嫌なことがあって亡命したいとかいう話も、

結婚してユーギニスに住むことが決まっているイシュラ王子にはあるわけもない。


二国間でもめているわけでもなく、今後も揉める要素があまりない。

それなのにルジャイルに聞かれたくない話?


「…僕はエミリアを幸せにするためなら何でもします。」


「うん、それは知っているわ。そのために婿になってくれるのでしょう?」


普通は王位継承権も持っている王子が他の国の王族に婿入りしてくれることはない。

国を継ぐ王女にならまた話は違うだろうが、

王弟の娘であるエミリアに婿入りしてくれる王族はほとんどいないと思う。

同盟国だったココディアだとしても考えられないのではないだろうか。

エミリアは臣下になる予定で、その夫になったとしても政略結婚の意味がないからだ。


そういう状況でも気にせずに婿入りしてくれるイシュラ王子は、

エミリアと結婚したいからユーギニス来てくれたのだと思っている。


「……僕と誓約魔術を交わしてもらえませんか?」


「は?」



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