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【書籍化・コミカライズ3巻発売中】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


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ルジャイルとの同盟も無事に結ばれ、嵐のような忙しさが終わっても、

そのせいで後回しになっていた分の仕事がまわってくる。


今日も忙しかったねなんて言いながら寝台に横になって、クリスから治癒をかけてもらう。

隣には同じように横になって報告書を読んでいるカイル。

寝室に仕事を持ちこむのはあまりよくないけれど、何か気になるようで考え込んでいる。


「何か問題あった?」


「ああ。問題っていうか、建設のほうは順調なんだが、

 ココディアは本当に商人のやり取りだけという条件をのむと思うか?」


「その条件でしか結界を解除しないと言えば納得するんじゃないかなぁ。」


カイルが読んでいたのは結界の壁の内側に建設中の門と商業地区の報告書だった。

結界の壁を解除しただけでは、ココディアの平民が大量に流れ込んできてしまう可能性がある。

ココディアの盗賊村は解体されたようだけど、国全体が食糧難になっている。

飢えた平民が大量に押し寄せてこられたら対処するのが難しい。

そうなれば、ココディアに近い領地は荒らされてしまうことが予想される。


そこで考えたのは、結界の内側に門を作ることだった。

しばらくは商人以外の出入りは禁止することにし、

商人のやり取りも二重に建てた門の中に作る商業地区だけで行わせる。

ココディアから来た商人は商業地区を越えてユーギニス側に入ってくることはできない。


こうすればココディアは食料を買うことができ、ユーギニスも魔石を買うことができる。

ココディア側からは商人も平民も入って来れないため治安も守られる。

門と商業地区の出入りの管理は国境騎士団に任せることになっている。


報告書によればあと一週間もすれば完成し、

一か月後にも商業地区で売買できるようになるとある。

ユーギニスの商人にも通達はするが、まずは国の倉庫で保管してある食料を売ればいい。


問題はココディアと話し合いをして、その条件を承認してもらうことだ。

ココディア国内の私に頼る思想もかなり弱くなったと報告が来ている。

レイモン国王なら理解してくれるのではないかと思っているのだけど。



「俺は向こうから言ってくると思うぞ。」


「ココディアから?」


「多分、ルジャイルから食料を買いにくくなっているはずだ。

 同盟を切るということは、商人が離れるきっかけになる。

 高値でも売りたくないと断られてもココディアにはどうしようもない。

 ユーギニスの食料を買えるのであればどんな条件でも受けるだろう。」


「そっか。それだけ大変な状況になってるってことか。

 じゃあ、そろそろ結界の解除に行く準備もしなきゃね。」


結界の壁を作る時には往復で六日間もかかってしまった。

あれは塔を探しながらだったから大変だったとしても、やっぱり五日はかかると思う。

今はお祖父様も元気だし、執務室のみんなにも頼れるけれど…

それでも国王代理の私がいなくなるとなると準備が必要になるだろう。


「ソフィア、結界の解除って難しいのか?」


「あ、俺も気になってた。あれって普通の解除は効かないんだよな?

 どうやって解除するんだ?」


「うん、普通の結界を解除する術式は使っても効かないよ。

 でも解除する方法は簡単なの。

 あの四つの塔の中にある魔石が尽きたら消えてしまうものだから。」


「消える?」


「うん。何もしなくてもそのうち消えるんだけど、すぐに解除したい場合は、

 四つの塔にある魔石を全部外に出せばいい。」


「四つ、全部?」


「あれは四つで共鳴しているから、どこか一つでも残っていれば消えない。」


最初に魔術を展開する時は全部の塔に魔力がないと無理だけど、

一度展開した後はどこか一つでも残っていれば継続できる。

ただし、負担はその分増加するので、魔女が耐えられるように四つに分散してあるのだ。


…魔女が力尽きても、次の魔女が入るまで残りの三人で耐える。

そういう理由で四つに分けたとも言えるけれど。

師匠は別格だったけれど、普通の魔女では数年しか持たない。

いったいあの塔に送られた魔女は何人いたのだろうか。


「魔石を外に出すのか……他には?」


「いや、それだけ。順番も関係ない。全部が空っぽになれば消えるから。

 解除する時は簡単なんだよね。

 まぁ、あの塔のことを知っていて、中へ入ることができなければ解除できないけど。」


簡単だとはいえ、解除されたことは一度も無いはずなんだよね。

最後の一人だった師匠が亡くなって結界は消えてしまったのだから。

私がそれを知ったのはかなり後のことだったけれど。


なんてことを考えていると重苦しい気持ちになりそうになる。

ぐっと急にクリスの魔力が強くなったのを感じた。


「…クリス?」


「疲れている時は早く寝たほうがいい。」


「うん……そうだね」




いつもよりもクリスの魔力が温かくて身体がポカポカしてくる。

気持ちいいなぁと思っていたら、カイルが手を伸ばして背中や髪をなでてくる。

どっちも気持ちよくて目を閉じたら、いつも間にか眠ってしまっていた。


私が眠ってしまった後、二人が相談していたことには気がつかずに。



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