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【書籍化・コミカライズ2巻4/16発売】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


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「そこでココディアのことも調べ、ユーギニスがこれからどうするのかと。

 このまま結界の壁を続けていれば、我が国が影響を受ける。」


「え?」


結界の壁でルジャイルに影響が?

それはまったくないとは思っていないけれど、

わざわざ言うということは悪影響があると予想しているということだよね?



「ココディアの平民や貴族がこちらの国に流れ込んでいる。

 ココディアとは考え方や文化が違うし、貴族の亡命は受け入れられない。

 そう言っているんだが、たびたび揉めているのを見る。」


「あーそうですね…申し訳ありません。

 そこまでは予想していませんでした。」


「いや、ユーギニスのせいではないのはわかっている。

 だが、これ以上ココディアが荒れてしまうとわが国だけでなく周辺国に影響が続く。

 ずっと国交断絶し続けるというのはおすすめできない。

 だが、ユーギニスとしては結界の壁を解除した場合、

 またココディア側から戦争を起こされるのではないかと不安が残る。

 信頼関係ができるまで継続しようと考えているのではないかと思ったのだ。」


「はい。来月にでも話し合いを開始するつもりではありましたが、

 実際に解除するにはまだ何か条件を付けなければいけないと思っていました。

 ココディアのレイモン国王は信用できそうですが、

 ココディア国内の問題をこちらに持ち込まれても困ります。

 それに、私がココディアの血をひいていることで、

 ココディア国民の間では私が助けるだろうと思われていることが問題なのです。」


少なくとも、ココディアの国民がユーギニスに押し寄せてくるような事態は避けたい。

しばらくは人の行き来は制限をつけるつもりでいた。


「ココディアの国民がそんな考えなのか。

 それは困るな…無条件でココディアを受け入れられると思われているのは。」


「はい。ですが、レイモン国王はそれも対応すると。

 問題がなくなれば解除する方向で話し合う予定でした。」


ルジャイル国王も私と考え方が似ているようで安心する。

これで助けるべきと言われてしまえば、価値観が違いすぎる。

私が何を問題としているのか、説明しなくてもわかってもらえるのはありがたい。


「それでも不安は残るだろう。

 またココディアが裏切って戦争を仕掛けてくるのではないかと。

 ユーギニス国内でもそういうものは出てくるはずだ。

 このまま結界の壁を維持してもいいのではないかと。」


「その通りです。もうすでにそういう声は聞かれます。

 このまま結界の壁があれば未来永劫平和だと。」


そう考えてしまうのもわかる。だが、この平和は一時的なものだ。

ずっとうまくいくわけではない。



「ココディアから魔石を買わなくても済むのはあと三年といったところか。

 戦争になるのを予想して買いだめしておいたのだろう?

 ルジャイルから海路で送る魔石だけでは足りないはずだ。」


「ええ。陛下がココディアと戦争になるのを予想していました。

 数年かけて買いだめしておいたものとルジャイルからの輸入で…

 もってもあと二年半くらいなものでしょう。」


「だろうな。ルジャイルとしてもこれ以上魔石を輸出するのは難しい。

 ダガルに頼まれて輸出することを許可したが、

 ルジャイルで消費する分を減らすことはできない。」


「それはもちろんです。

 ですので、レイモン国王と話し合って、まずは商人のやり取りだけ復活させる予定でした。」


「同盟は結ばずに、だな?」


「はい。信頼関係を取り戻さずに同盟は結べません。」


王妃をココディアから娶っても同盟関係を続けるのは難しかった。

両国の関係を改善するのは時間がかかる。


「そこでだ。ルジャイルと同盟を結ばないか?」


「え?」


「ルジャイルとユーギニスは陸路ではつながっていない。

 どう考えても戦争になる理由がないんだ。」


「それはそうですね。飛び地を持つのは難しいですから、

 普通は欲しがらないでしょう。」


確かにルジャイルと戦争になる可能性は少ない。無いと言い切ってもいい。

海路で攻め込むほど欲しい理由が両国とも無いだろうし。



「で、ココディアは両国の間に位置している。

 ルジャイルは一度ココディアと同盟を切るつもりでいる。

 王女の無礼によって貴族たちが怒り狂ってるんでな。

 だが、同盟を切れば戦争の可能性は高くなる。

 …そこで、ユーギニスと同盟を結ぶ。

 どちらかかの国がココディアと戦争になったら参戦するという同盟だ。」


「…ココディアを挟み撃ちするのですか?」


「そう!話が早くていいな。

 ココディアだって、二国から同時に攻められるのは嫌だろう。

 どっちか片方にちょっかい出したら、両国と戦争しなきゃいけない。

 これはかなりの抑止力になると思わないか?」


「思います!…ですが、いいのですか?

 ユーギニスとしてはぜひお願いしたいですけど…。」


ルジャイルと取引するようになってまだ数年。

叔父様と王弟か仲良しなのはあるが、それだけで同盟を結ぶことはありえない。

ルジャイルの貴族が黙っていないのではないだろうか。


「だからこその婚約の申し込みだったんだ。イシュラをユーギニスに預ける。

 ただの同盟じゃない。王族同士の婚姻による同盟だ。

 これだったら同盟を結んでも他国から苦情は来ないだろう。

 同盟ありきの政略結婚じゃないんだしな。な、イシュラ?」


「もちろんです。このためにいろいろと根回ししたんですから。」


「政略結婚ではなく、同盟のためでもなく、

 イシュラ王子がエミリアと結婚したいというのであればお受けするつもりでした。

 ですが、エミリアが王族から抜けるのは難しく…。」


「ああ、その辺のことはイシュラから聞いている。

 だからイシュラを婿としてそちらの国で面倒見て欲しい。

 こういったらなんだが、イシュラは優秀な王子だ。

 この魔術具もイシュラが作り出したものだ。

 …この会談をさせるためだけに作り出したものだ。

 書簡では信用されないかもしれないと言ってな。」


「え?この会談のために作ったのですか?」


「そういう男なんだ。エミリア王女と結婚するために、

 自分の意見を通すためにずっと水面下で貴族に働きかけていた。

 これを邪魔するとルジャイル国がつぶされてしまいかねない。」


「…つぶされて?」


「今は王太子よりも優秀なのを隠している。

 だが、邪魔するようなら王太子よりも優秀なことを周りに知らしめるだろう。

 それでまともな王になってくれるならいいんだが、おそらくならない。

 エミリア王女と結婚出来たら、国はどうでもいいとほっとかれる。

 …優秀なんだが、そういう男なのでな…。

 それなら素直に送り出して、両国の平和のために働いてもらったほうがいいと判断した。」


「あぁ、そういうことですか。

 確かにそういう理由で国王になられても困りますよね。」


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