表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ2巻4/16発売】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

169/194

169

「エミリアが待っていたのは、その人なのね?」


「……はい。」


クリスが予想したのが正しかったらしい。

真っ赤になりながらもうなずいたエミリアに、

もっと早く教えてくれたら良かったのにと思う。



「どうして話してくれなかったの?」


「…だって、迎えに来るなんて無理だと思ってしまって。

 帰国する時には絶対に迎えに行く、結婚しようって言ってくれたのですけど、

 よく考えたら私も向こうも王族だし、当時は国交も無い国でしたから…。」


「あーそういうことか。それは確かにね。

 あの頃、エミリアまだ九歳くらいだったし、そう思うのも無理はないわ。」


「そうでしょう?イシュラもまだ十歳で…二人とも何もわかっていなくて。

 帰国してから会えなくなって、遠い遠い国なんだって理解しました。

 だから…嫌ですけど、政略結婚させられたとしても仕方ないって思って。

 きっと姉様のことだから、選んでくれた相手はおかしな人じゃないと思いますし。」


「だから最初すぐに断らなかったのね。

 エミリアならすぐに断ると思ってたから意外だったのよ。」


割とはっきり自分の意見を言うエミリアなら、嫌なら嫌だというと思っていた。

そう話すと、恥ずかしかったのかエミリアは少しすねた顔になる。


「…王宮で暮らしていたら、嫌でも自分が王族だと理解します。

 ユーギニスに帰ってきたばかりで何も知らなかった時とは違います。

 私だけ何もしないで王族でいるのは嫌ですから…。」


「ふふふ。エミリアは本当にいい子ね。

 そっか。もう一度聞くよ?この結婚は政略結婚じゃないわ。

 向こうからの婚約の申し込みを断っても何も問題ないの。

 そして、婚約を受け入れても何も問題ないのよ。」


「…いいのですか?」


「ええ。といっても、今すぐというわけにはいかないけど。

 王位継承権を持っているエミリアをルジャイルに嫁がせるには条件があるのよ。

 エミリアを王族から抜けさせるのはしばらく無理だし、

 それを待っていたら他からも婚約の申し込みが来てしまいそうなのよね…。


 できればイシュラ王子がユーギニスに婿入りしてほしいの。

 エミリアはどう思う?」


「それは…私としても何の責任も果たせずに他国に行くのは苦しいです。

 せめて政略結婚だというのならいいのでしょうけど…そうではありませんし。

 …婿入りしてくれるでしょうか?」


王族としての責任を果たしていない。

王族の一人として生まれ、そのためにたくさんの税がつかわれている。

だからこそ、王族としての義務があり、公務などの仕事で返さなければいけない。

人によっては、生まれつき高貴なのだから義務などないと考える者もいる。

エミリアが自分で考えた結果、王族としての責任を感じているのならうれしいと思う。


でも私としては、できるかぎり好きな相手と結婚させてあげたい。

相手が王族ならば身分としては問題ない。二国間の関係も良好。

あとの条件はこれからの話し合いによると思うけど…。


「叔父様にも相談してみるわ。

 ルジャイルの情勢もわからないままではなんともいえないもの。

 でも、エミリアのために頑張ってみるからね。」


「ありがとうございます、姉様!」


余程うれしかったのか久しぶりに抱き着かれ、

頭を撫でようとしたら身長が同じくらいで背中を撫でてしまう。

初めて会った時はあんなに小さかったのに、本当に大きくなったんだと感じる。

公務も始めていることだし、どこから婚約の申し込みが来るかわからない。

国内貴族から申し込まれる前にルジャイルと話し合いを終えたい。

横やりが入ってしまわないように、急いで交渉しようと思った。



エミリアが帰った後、もう一度デイビットにお願いをする。


「叔父様に再度連絡してくれる?

 できる限り急ぎで相談したいことがあると。」


「わかりました。すぐに連絡いたします。」



叔父様から返事はすぐにきた。

使者に持たせた手紙をその場で読んで、すぐに返事を書いてくれたらしい。

そこには明日にでも王宮を訪ねるとあった。


子煩悩な叔父様らしく、エミリアの婚約について相談したいという一文を見て、

そのまま王宮に来ようとしたのを叔母様に止められていたらしい。

叔父様らしい話に、その場にいたみんなで笑ってしまった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ