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【書籍化・コミカライズ2巻4/16発売】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


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いつも通りに仕事をし、休憩時間に入ったところだった。


「これは…どうしたらいいかなぁ。」


執務室の奥の休憩室で唸っていたら、エマがお茶を淹れてくれる。

修行を終えて、私の専属侍女になって三か月。

周りにも慣れてきた様子で、クリスとカイルの前にもお茶を置いた。


「ありがとう、エマ。」


「いいえ。」


にっこり笑って退室したエマを待つように、デイビットがため息をついた。

さきほど難しい顔をして私に書簡を渡してくれたまま、

ソファに座ることなくうろうろしている。

困って落ち着かないのは私だけではないらしい。


「ルジャイル国とはいい関係を維持できていますが、

 さすがに急にこんなものが送られてくるとは思いませんでしたからね。」


「うーん。どうしようか。

 エミリアには政略結婚させるつもりは無いんだよねぇ。」


ココディアと国交断絶してから二年と四か月。

その間、陸続きでは無いものの海路でつながっているルジャイル国と親交を深めてきた。

ルジャイルからは魔石を、こちらからは穀物などの食料を送り、

今では無くてはならない関係になっている。

そのルジャイル国から突然エミリアへ婚約の申し込みが送られてきた。


十三歳になったエミリアだが、今のところ婚約者もなく、その予定も特にない。

エディとディアナに子が二人産まれればエミリアは王族を離れる予定になっているが、

学園を卒業するまであと五年もある。

去年結婚したばかりのエディたちに子が産まれるのを待ってから、

ゆっくり考えても遅くないと思っていたのだが…。


「相手は誰なんだ?」


「えっとね、王弟の息子?今、十四歳だって。イシュラ王子。

 年齢的にはちょうどいいんだろうけど…。」


「王弟の息子?ルジャイル国王にも三人息子がいたよな。

 普通、政略結婚させるならそっちじゃないのか?」


「そうだよねぇ。王弟の息子なら王族を離れる予定だよね。

 まぁ、エミリアも王弟の娘…になる予定だったわけだけど。

 第一王子だったお父様は即位しなかったし、

 第二王子だった叔父様はもうすでに王族から離れているし。

 エディは王太子代理とはいえ、即位する予定も無いんだよね。」


現在のエミリアは王太子の従姉妹であり、王太子代理の妹。

政略結婚する必要も無ければ、王位継承権第三位でもある。

エミリアのことを考えれば断ればいいのだが、断る理由にしては少し弱い。

断る方向で考えていたら、同じように考え込んでいたクリスから聞かれる。


「なぁ。エミリアは…王子と結婚するとか言ってなかったか?」


「そういえば言ってたね。エミリアが王太子になっても良かったんだけど、

 素敵な王子が迎えに来るからって断られたんだった。」


「それって、もしかしてそいつのことじゃないのか?」


「え?」


そういえばココディアには他の同盟国からも大使が来ていた。

フリッツ叔父様が人質になったまま外交を続けていられたのは、

同じように人質のように大使となっている他国の王族と交流していたおかげだ。

ルジャイル国にも親しい友人がいると言っていたが、

もしかしたらルジャイルの王弟家族がココディアの大使だった可能性がある。


「…叔父様に確認してみようか。」


「離宮から呼ぶくらいなら、直接エミリアに聞けばいいじゃないか。」


「それもそうだね。エミリアなら王宮にいるんだし。」


忙しくてなかなか会う機会がないけれど、エミリアも王宮に住んでいる。

王族とはいえ、将来的には王族を抜ける予定のエミリアは、

本宮に住むよりも静かなほうがいいと東宮に部屋を持っている。

私やエディとは違い王太子教育を受ける予定はないが、

帰国してから受けている王女教育は順調に進んでいると報告は来ていた。


「デイビット、今日のエミリアの予定は?」


「エミリア様ですか…今日はココディア語の授業で本宮に来ていますね。」


「じゃあちょうどいいね。終わったら執務室に来るように伝えてくれる?」


「わかりました。連絡をしておきます。」


「一応、叔父様にも連絡しておいてくれる?

 どちらにしても報告しないで返事するわけにはいかないから。」


「わかりました。」




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