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【書籍化・コミカライズ3巻発売中】ハズレ姫は意外と愛されている?  作者: gacchi(がっち)


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「ソフィア様のおかげで領民たちが飢えなくてすむようになったと、

 父が喜んでいました。」


「そういえば元子爵はそのまま領主代理になってくれているのよね。」


「はい。王家に領地を返上したおかげで税が軽くなったこともあるんですが、

 ここ数年は寒さに強い作物の育ちが良くて領民を飢えさせずに済んでいると。

 いつかソフィア様にお礼を申し上げたいと思っておりましたので、

 このような機会をいただいて感謝しております。」


「そうだったんだ。それもあってオイゲンは二人を選んだのかもしれないね。」


ハンベル公爵領にはなったが、エドガー叔父様が領主の仕事をできるわけもなく、

王家から領主代理を任命して任せていることになっている。

実際にはずっと領主だった元子爵が一番領地に詳しいだろうと、

そのまま領主代理の仕事をしてもらっている。


エドガー叔父様は一代公爵だから、その後はまた王領にもどる。

爵位と領地は王家に返上したことにはなっているが、

お祖父様の考えでは元子爵家に返すつもりなのではないかと思っている。


「ウェイとフェルはどうして騎士になったんだ?」


「父の勧めです。私たちが騎士になる前から冷害が続いていました。

 遠くないうちに領地を返上することになるだろうと。

 父は戦前の生まれで結婚が遅く、年がたってから私たちが産まれました。

 戦争で国が荒れた時代の苦しさを良く知っていて、

 この国を安定させた陛下にご恩をお返ししなければとよく言っていました。


 それなのに税を納められなくなり、爵位を返上しなければならなくなりました。

 恩返しもまともにできないことを悔やんで、

 私たちには国のために何かできるように騎士になりなさいと。」


そういえば、元子爵はお祖父様とあまり年齢が変わらなかった。

それなのにウェイとフェルはまだ三十半ばという感じに見える。

戦争を知っている人たちは、あの時代の苦しみをよくわかっている。

お祖父様に恩返しをという気持ちは当然なのかもしれない。



「元子爵はとても真面目で、領民思いの方だと聞いているわ。

 冷害が続いたのは元子爵のせいではないもの。

 領主代理になった時も、領民たちは誰も反対せず、

 それどころかほっとして喜んでいたと。

 あんなに良い領主は他にいない、変わらずにいて欲しいという声が多かったそうよ。

 今も領主代理としてよく働いてくれていて、本当に助かっているわ。」


「…そのようなお言葉を。父が聞いたら泣いて喜びます。」


「私らではソフィア様をお守りすることはかないません。

 ですが、足手まといにはならないようにします。

 自分のことは自分で守ります。何かあれば、すぐにお逃げください。」


「ええ。二人を信用するからこそ、置いて逃げることにするわ。

 もちろん、よけいな争いが無いことが一番だけど。

 …ねぇ、いい匂いがしてきた。もう食べられる?」


「はい。もう大丈夫だと思います。毒見はどうしましょうか?」


「あぁ、一応形だけな。俺とカイルが先に食べてから姫さんが食べる。

 姫さんは猫舌なんだし、少しくらい冷ましたほうがいいしな。」


「ソフィア、どれがいい?」


「選んでいいの?じゃあ、この焦げ目がついたのが食べたい!」


「なんで焦げたのを。」


「だって、王宮じゃ焦げたのは出てこないもの!」


「それもそうか。取ってやるからちょっと待て。」


カイルが毒見をしたあと、私が食べやすいようにクリスが木皿にのせてくれる。

枝が刺さったままの大きな魚がこんがりと焼けて美味しそうな匂いがしている。

少しだけ冷めるのを待ってかぶりつくと、厚めの皮がパリッとして、

焦げた皮の下にはふっくらとした白身があった。


「おいしい!すごくおいしい!」


焼きたての魚なんて初めて食べた。

私が枝を持ってかぶりつくのを心配そうに見ていたウェイとフェルが、

美味しいと言ったからかほっとした顔になった。

暗くなった夜空の下、焚火を囲んで食事をするのも初めてで、

大きな魚だったのにあっという間に食べ終えてしまった。


「お腹いっぱいか?」


「うん!いつもよりも食べた気がする。あ、携帯食食べなかった。」


渡された携帯食は固く焼かれたパンのようなものと干し肉だった。

スープと一緒に食べるものらしいが、お魚だけでお腹いっぱいになってしまった。


「それはそのまま残しておいて、また後で食べればいいよ。

 食事の度に休憩するわけにはいかないから。

 馬車で移動している時に食べようか。」


「そっか。何度も休憩するのは無理だもんね。

 ウェイ、フェル、お魚ありがとう!おいしかったわ。」


お礼を言ったら二人ともうれしそうに笑ってくれた。

旅は始まったばかりだし、戦争を止めるために来ているのだけど、

一緒に旅をするのがこの五人でよかったと思えた。


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