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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第2章

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85 絶対服従

「……お嬢様。なにをなさっているのですか……?」


 陥没したものを指でほじくっていると、ランがおずおずと尋ねてきた。


「え? この子のが陥没しているから出してあげようかと思って。どうしたのかしらね?」


 いや、そういうのがあるのは知っているけど、見るのはこれが初めて。つい興味本意でほじくり出そうと思ったのですよ。


「お嬢様。少ないですが、そういう者もいるのですよ」


「そうなの? でも、これでは授乳が大変ではないの?」


 これ、赤ちゃんは吸えるものなの? 吸引力が凄いの? ちょっと試してみたいわ。


「影は子を作りませんから問題ありません」


 人権がないってことか。可哀想なことね。代わりに吸ってあげたいわ。


「大きいのに残念ね」


 宝の持ち腐れね。まあ、わたしにはお宝でしかないけど!


「お嬢様。胸は大きさではありませんよ」


「胸は望まれてきたから大きくなったのよ」


 それが進化と言うもの。貧乳はステータスではあっても実用性はないのよ。まあ、未熟な膨らみも嫌いではないけどね。


 わたしはEかFが好みだけど、おっぱいを差別したりはしない。みんなちがってみんないい。わたしは、すべてのおっぱいを愛するわ。


「こっちの女は傷が多いわね」


 エロい体はしているけど、なんだか穢らわしいって感じがするわ。


「おそらく潜入員でしょう。体を使ってその家に入り、協力者を作るのでしょう」


 なるほど。なかなか業の深いことをさせるじゃないの。わたし、そういうの嫌いだわ。


「王宮もそんなことしているの?」


 やっているのなら付き合い方を考えさせてもらうわ。


「いえ、やっておりません! わたしたちは選ばれた存在なので!」


 それはそれで業が深いわね。洗脳と言う手段を取っているんだから……。


「……嫌いだわ……」


 手段としては認めるけど、わたしの主義からは反する。わたしの側にいるならわたしのやり方でやらせてもらうわ。


「この二人を館に連れていって、わたしの配下にするわ」


「お、お嬢様。それはさすがに……」


「わたしにケンカを売ったことを後悔させてあげるわ」


 おっぱいを悪さに使う者をわたしは許さない。女性を物扱いするのも許さない。拗らせた童貞は醜いものを嫌うの。汚す者は万死に値するわ。フフ。


「ラン。自害するものはあった?」


「はい。あとは、自害する催眠なり魔法なりをかけられてないかです」


「それは大丈夫よ。傀儡の指輪には自害防止も施してあるからね」


 おっぱいが血で汚れるなんてあってはならない。そんなこと、わたしがさせないわ。


「見張っている者はいるかしら?」


「失敗と悟れば即座に逃げます。もういないかと」


「玄人はこれだから嫌ね。もっと足掻いてくれたらいじめてあげたのに」


 裸吊りとかちょっとやってみたかったのに。男はボロクソに殴って吐かせるけど。


「ラン。この二人に服を着させて。わたしも手伝うから」


 特にブラジャー(この世界にはあるんですよ)をつけるのは任せて。やってみたかったのよ。


「いえ、わたしがやりますのでお嬢様は休んでいてください。夜更かしは体に障ります」


 確かにそうね。ブラジャーつけは諦めるわ。今回はナジェスのための遠出だしね。


「一人で大丈夫? 誰か呼ぶ?」


「このくらい問題ありません」


 この子もどんな訓練を受けてきたのかしらね? まだ十七歳だというのに。これだから人権がない時代は嫌なのよね。


「じゃあ、先に休ませてもらうわね。あなたも終わったら休みなさい。無理して起きる必要はないわ。朝は一人で準備するから」


 たまには一人でやらないと後々困るからね。


「このくらいで参る訓練はしておりません。時間どおりに起床します」


 この子もプロ意識が高いわね。


「わかったわ。じゃあ、お願いね」


 するなと言ったっていつものように起きるでしょうからね。無駄な問答は止めておきましょう。


 毛布を丸めて身代わりとしたものを退け、ベッドに上がった。


 疲れもあったのでしょう。瞼を閉じたら眠りに落ちてしまい、次は揺り起こされて目覚めた。


 ……がっつり眠っちゃったわね……。


「おはようございます。いい天気ですよ」


 昨日のことがウソのようにいつもと変わらないラン。どこにも乱れがないわ。かえって哀れになってくるわね……。


「おはよう。あの二人は?」


「目覚めております」


 視線を向けた先に二人が立っていた。


 傀儡の指輪で目に生気は宿ってないけど、仕掛けられた催眠や魔法は効いてない。帰ったら排除する付与を施しましょうかね。


「名乗りなさい」


 二人の前に立ち、命令をする。


「葉の六です」


「枝の四十三です」


 名前すら与えられなかったか。惨いことをする。


「今このときよりあなたはコノハ。あなたコズエよ」


 陥没少女がコノハでエロいのがコズエよ。


「あなたたちはわたしのものよ。自ら死ぬことも殺されることも禁止よ。必ず生き抜きなさい。これは絶対の命令よ」


「わかりました」


「わかった」


 傀儡の指輪に絶対服従の付与を施した。


 パン! と手を叩いて二人を正気に戻した。


 元の記憶とわたしの命令が渦巻いているのでしょう。激しく戸惑っているわ。


「わたしは誰?」


 そう尋ねると、二人が土下座をした。


 ……なんか転生者が関わっている臭いがするわ……。


「チェレミー様です」


「ご主人様です」


 教育の違いかしら? それとも序列かしら? コズエのほうが下っぽいわね。


「そう。あなたたちの主。わたしのためにあなたたちはいる。異論は?」


「ありません」


「ないです」


「よろしい。ラン。あなたの下につかせるわ。二人を使いなさい」


 ラン一人じゃ大変でしょうし、配下とさせましょう。


「畏まりました」


 ランや二人の手を借りて、朝の支度を始めた。

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