表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/1044

48 服飾系メイド

 うん。魔力があるって最高だわ~。


 コノメノウ様の魔力は一日でわたし二十人分を上回った。それでもコノメノウ様は使ったって感じはしないらしく、いい感じに減ってくれたのぉ~と喜んでいたわ。


 ほんと、どんだけなのかしらね、守護聖獣の魔力って? 人類の味方になってくれて僥倖よね。いや、仲良くされた初代国王陛下、グッジョブよ。


 二十人分に増えたのはいいんだけど、今度は付与するものが足りなくなってしまった。


「ラルド。無理を言って申し訳ないのだけれど、指輪を増産したいの。どうかしら?」


 細工師のラルドを呼び、指輪の増産をお願いしてみた。


「さ、さすがにこれ以上は……」


 ですよね~。一日で作れる数なんて決まっているし。今だって休みなく作ってくれている。無茶を承知でお願いしているのよ。


「指輪を作れる細工師に心当たりはあるかしら?」


 増産できないのなら人を増やすしかない。


「幾人かはおりますが、ここにきてくれる者はいないかと……」


 それもそうか。指輪を専門で作る細工師ってラルドくらい。他は別の細工で食べている。いきなりきてくれる者はいないでしょうね。


「材料は足りている?」


「はい。それは問題ありません。常に在庫を切らさないようにしております」


「では、その材料を半分くらい寄越してくれる? 単純なものをわたしの魔法で創るわ。ラルドは意匠の凝ったものを作るようにしてちょうだい」


 指輪ライターの人気、未だ衰えず。なせいで、お父様から毎日ように催促の手紙が送られてくるよ。


「悪いわね。あなたの矜持を傷つけてしまって。でも、足りないとお父様の立場が危ぶまれるのよ」


 髪か胃のどちらかがね。いや、両方かな?


「いえ、こちらこそ力になれず申し訳ございません」


「あなたが謝ることはないわ。あなたの指輪は素敵だもの。時間があればわたしも作って欲しいくらいだわ」


 今つけている指輪は鉄製の安物。洒落っ気がないからなんかメリケンサックっぽいのよね。せめて銀製の指輪にしたいわ。


「お任せください! 暇をみてお嬢様に似合うものを作ってみせます!」


「無理しないていどにね。あなたに倒れられたらカルディム家に取って大きな損失になるんだから」


「はい! ありがとうございます! 無理せずがんばります」


 まるで説得力はないけど、まあ、無理しないようマクライに言っておきましょう。指輪を作れる細工師はラルドしかいないんだからね。


 すぐに材料を持ってきてくれたので、錬金壺に入れて指輪を創れる付与を追加した。


「惜しみなく魔力を使えるって最高ね」


 わたし六人分の魔力を使ってもびくともしない。いや、今も魔力が溜まるので使い切るほうが大変だわ。ふふ。


 錬金壺で指輪を創り、それにライターの付与を施していった。


「あ、指輪ライターを入れる箱も必要か」


 貴族相手に渡すものだから箱もそれなりに立派なデザインにしなくちゃならない。いや、それはお父様に任せるとしましょうか。王都なら箱を作れる職人なんてたくさんいるでしょうからね。


「アマリア。指輪ライターを包んで屋敷に届けてちょうだい」


 コノメノウ様の魔力が膨大だからアマリアにはわたしの雑用を任せている。でも、もったいないから仕事の支障がない分を籠めさせているわ。いつなんどき必要になるかわからないからね。


「失礼します。お嬢様。そろそろ新しくきたメイドとの顔合わせをお願いできますでしょうか?」


 あ、服飾系メイド(って言っていいか謎だけど)がいたわね。お父様からの催促を片付けるのに集中して完全に忘れていたわ。


「わかった。そう言えば、メイドたちの宿舎はどうなったかしら?」


 なんかもう職人たちまで目を向けられないからマクライに任せていたのよね。


「仮ですができております。本格的には春からとなります」


 職人も職人で足りてないしね。いろいろお願いしすぎて。早く商会が集まってきて欲しいものだわ。


 ……魔力満ちて人足らず、ね……。


「連れてきてちょうだい」


 そうお願いして服飾系メイドが部屋にやってきた。


 一番上は九十。下は七十──って、そうじゃないわね。上は三十歳から下は十八歳かしら? ベテランを中心に集めた感じね。


「挨拶が遅れてごめんなさいね。わたしが、この館の主、チェレミー・カルディムよ。あなたたちの働きには大いに期待しているの。あなたたちの努力は給金で応えるからよろしくお願いするわ」


「はい。お嬢様の下、しっかり働かせていただきます」


 リーダーらしき女性(九十の人ね)が一歩前に出て、手を前に重ねてお辞儀をした。


 よろしくお願い致しますと、他のメイドが合唱挨拶。随分と仕込まれていること。ローラがやったのかしら?


「あとで作業場にいくからわたしの寸法を測ってちょうだい。いろいろ作って欲しい服があるからね」


 まずはわたしの服を用意させていただきます。お妃様からの依頼はもうちょっと先でしょうからね。それまでに必要な服を作っておきましょう。


「畏まりました」


 服飾系メイドが下がり、次はアマデア商会の者ね。あれ? どんな人らだったっけ? 完全に意識に入ってなかったわ。


 まぁ、今から会うんだから構わないか。カモーン、アマデア商会~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ