100 百花繚乱
ブレン様が帰り、穏やか……でもない日々が戻った。
「お父様からの催促が止まることを知らないわね」
いったいどんだけ喫煙者がいるんだか。肺を患わす前にタバコ税を設けることを提案したいわ。
まあ、ブレン様にかけていた手間と魔力を指輪に向けられる。さっさと創ってもっと穏やかな日々にしないとね。あらよっと。
できた三百個の指輪を箱に詰めてもらい、特急で王都に運んでもらった。
「お嬢様。ラーダニア様が面会したいそうです」
「わかったわ。アマリア、あとはお願いね」
部屋はいろいろ散らかっているので談話室に場所を移した。
談話室はメイドの休憩室も兼ねているので、休憩中のメイドがいた。
うちはアットホーム(ブラックって意味ではありませんよ)な職場。休憩中は上も下もない。わたしがきても場所を譲ったり畏まったりする必要はないわ。
それでも一礼するのはローラの教育でしょうね。なので、わたしも軽く頷いて応えておく。
「ラーダニア様、どうかしましたか?」
就業中のコノハに紅茶を出してもらう。あら、ミルクティーなんて出るようになったのね。
「国より手紙がきて保湿水の許可が降りました。これは薬医局からです」
ラーダニア様から手紙を受け取り、中を読ませてもらった。なになに。
「ゴズメ王国から薬師がくると書いてありますけど、ラーダニア様もご承知で?」
「はい。チェレミー様のところで工房を構えさせてもらえるようお願いしろと指示されています」
「わたしは構わないですけど、またなぜに?」
わざわざこの国で工房を造る必要もないでしょう。珍しい薬草が生っているけじゃないのに。
「薬医局は、チェレミー様の付与魔法を欲しているのだと思います」
あー言われてみれば確かにそうね。分離とか……なんだ? わたし、薬の知識ないからさっばりだわ。
「薬を提供していただけるならこちらも協力致しますよ」
ギブ&テイク。そちらが出すならこちらも出しますわよ。お互い、いい関係でいるために、ね。
「ありがとうございます。こちらも協力していただけるのなら提供させていただきます」
それはなにより。話がわかる相手は好きだわ。
「保湿水、とてもいいものだと報告が上がっています。王都にも送ろうと思うので追加をお願いしてもよろしいでしょうか?」
わたしはまだ若いので夜眠る前にぺちぺちやるくらい。報告してくるのはメイドたちです。
「はい。すぐに用意致しますね」
「ありがとうございます」
薬医局が工房を造りたいと言うけど、もうラーダニア様に工房を与えている。必要なものもアマデア商会を通して用意してもらっている。お陰で館から職人町に移っちゃって、一緒にお風呂に入れる機会が激減。悲しいわ~。
「ラーダニア様、お風呂に入ってますか?」
おっぱい以外をよくよく見たらなんかくたびれている。髪もちょっとベタついているわ。
「あー……二日前に入った記憶がある、かな?」
このエロフ、毎日お風呂に入るってことしないものぐさエロフなのよね。
椅子から立ち上がってラーダニア様を嗅ぐと、ちょっと香ばしい臭いがした。
「四日は入っていませんね?」
下手したら六日は入ってない臭いだわ。ちなみにわたしは臭いフェチではございませんが、臭いのは許せない質ではあります。
「コノハ。お風呂の用意をしてちょうだい。ラーダニア様をお風呂に入れるわよ」
「畏まりました。すぐに」
「あ、いや、お風呂なら一人で……」
「入らないからこんなに臭いんですよ。もっと小まめに入ってください」
わたしならいつでも付き合いますから。
逃げられないようラーダニア様の腕をつかんでお風呂場に連行した。
脱衣場にはコノハとラティアがスタンバってくれており、コノハが手慣れたようにラーダニア様の服を脱がした。
うん。相変わらず綺麗なおっぱいよね。埋もれてみたいわ。
わたしはラティアに脱がしてもらい、ラーダニア様の腕をつかんでお風呂場に向かう。うん? 想像したより柔らかくない?
「ラーダニア様の胸、やけに柔らかくありません? エルフはこれが当たり前なのですか?」
ラグラナやマゴットのおっぱいは弾力が凄かったわよ。
「チェレミー様、そんなに強く握らないでください」
おっと。思わずわしづかみしちゃったわ。
「失礼しました。ですが、この柔らかさは異常ではありませんか?」
もう一度わしづかみにして、コノハのおっぱいをわしづかみにしてみた。うん。ほどよい弾力でバインバインしてみたいわ。
「こ、個人差はありますが、エルフは子ができないと乳は張らないんです」
へー。エルフはそんな構造しているんだ。ふっしぎー!
「だから胸が浮いていたんですね」
他のおっぱいはそんなに浮力はなかったけど、ラーダニア様のおっぱいはプカプカ浮いていた。
まったく、おっぱいは謎が多いわよね。もっとよく観察しないと。
「胸が浮くってどんな感じなのです?」
わたしの胸だと浮くもなにもない。今日もおへそがよく見えるわ。
「チェ、チェレミー様の胸は愛らしくていいと思いますよ」
「この胸を愛らしく思える方とは仲良くしたいとは思えませんよ」
わたし、貧乳派と仲良くできる自信がないわ。きっと巨乳のよさを熱く語ると思うわ。
ラティアとラーダニア様が気不味そうに視線を逸らしている。貧乳を気に病んでると思われたかしら?
「コノハ、ラーダニア様を洗ってあげて」
自分の貧乳に興味はありません。わたしに百花繚乱を見せるのです。




