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106 風狸1
風狸という妖怪がおります。
中国の薬学著『本草綱目』によると、山猫ほどの大きさで尾は短く、目は赤く、体には黒っぽい豹模様があると記されており、これは鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にも描かれています。
その昔。
某男が山奥で不思議な光景を目にしました。
木に登った風狸が手にしたものを枝にかざしただけで、そこにいた鳥が生きたまま落下したのです。
――何を持ってるんだろう?
男が風狸を捕まえて手にあるものを奪い取ると、それは何かの実でした。
男は木に登り、風狸と同じことをやってみました。
それと同時。
男は木から落下してしまいました。
この風狸。
手にラッカセイを持っていたのでした。
・ラッカセイ=落花生=落下
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔百鬼拾遺』(こんじゃくひゃっきしゅうい)
・『本草綱目』(ほんぞうこうもく・中国の百科全書的な本草書)




