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1014 銭貸し
銭貸しという妖怪がおります。
これは徳島県三好市に伝承があり、節分の夜、銭の入った袋をかついで、神籠岩の奥にある四つ辻に現れたといいます。
このとき頼めば、銭貸しは銭を貸してくれるのですが、次の節分の夜に返さなければ恐ろしい目に遭ったといいます。
あるとき。
某男は返す金を用意できず、ある智恵者に相談したところ、腹の上にお椀を乗せて待てと言われました。
節分の夜。
男が教えられたとおりにして待っていると、そこへ銭貸しがジャラジャラと銭の音をさせてやってきました。
銭貸しが男を見て問います。
「何のまねだ?」
「見てのとおりです」
銭貸しは一言残して立ち去ったといいます。
「ハラワンか……」
・ハラワン=腹の上にお椀=払わん




