27. 共同戦線
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memo:
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回想編/ベリィ視点
あと数話なので、後書きの登場人物メモを省略していきます。
食事を終えると、いくらか頭の中がクリアになった。
僕は研究室にこもることにした。
もちろん、彼女の言いつけを守り、夜食を用意する。
研究室を掃除し、寝る時間を忘れないようにーーとはいっても、すでに明け方なので、次に日付が変わるころに眠るつもりだーー時計に音を付与してみた。
研究テーマは決まっている。
彼女を蘇らせることだ。
ところが、いざ研究に取りかかろうとしたそのときだった。扉が吹き飛んだ。
驚き固まっていると、壊れた扉から入ってきたのは、小柄な金髪の少女だった。
彼女は顔を真っ赤にして、涙をぼろぼろこぼしている。
「なんで、ーーなんであの子と添い遂げなかったのよ!」
少女は、勢いよく飛び込んでくると、呆然としているエリアルの胸をぽこぽこと叩いた。
その間もずっと泣いていた。
「わたくしの縁結びはぜったいなの。
あんたたちはこの上なく固く結ばれてるのに、なんで……!」
それから僕たちは、少し話をした。
そして少女がラベンダーの友人であり、綿毛の魔女だということを知った。
彼女は縁結びが失敗した原因を、僕はこれまでの違和感を、それぞれ研究した。
そうして、三ヶ月が経った。
「ーーまさか」
明け方、僕はソフィの声で目を覚ました。
豪奢な金色の髪はぼさぼさに乱れ、ひどいくまに縁取られた目は赤く腫れている。
そして、彼女の腹の音が鳴った。
「食べないのと、暗いのと、寝ないのと、不潔なのはだめだ」
僕は言った。
魔法で吹き飛ばされた。
ぶつけた頭を押さえながら、僕は「ラベンダーの遺言だ」と告げる。
ソフィはきっとこちらを睨み、「それならしかたないわね!」と叫んだ。
彼女は扉のなくなった入り口から駆け出していくと、湯浴みをし、時氷を使って劣化しないようにしておいたラベンダーの料理をぼろぼろと泣きながら食べ、仮眠を取った。
まる一日眠って起きてきたソフィは、深刻な顔をして言った。
「いろいろ調べてわかったの。あの子、呪いをかけられてたんだわ」
「呪い?」
「そう。解析してみて、たぶんだけど"死ぬまで誰にも愛されない呪い"と、もう一つ、なにかがかけられている。
そっちはわたくしの専門じゃないから、わからなかった」
ソフィはうなだれる。
「こんなに目立たなくて複雑な呪いなんて……名無しの魔法使いみたいな性格の悪いやつがかけたんでしょうね」
でもどうして、と、ソフィはぶつぶつなにかをつぶやいていた。
僕は納得した。
ラヴェンディアが亡くなったあと、光に包まれたこと。なにかが弾けるような二つの音。
あれはきっと、解呪の合図だったのだ。




