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夏のしずく
‐再掲‐
たとえば、暑中見舞いのぶどう
パキッと割れる皮と実の
甘い果汁が溢れて止まらない
もいでは食べ
もいでは食べ
無邪気に茎降り「もっと食べたい」とせがめば
「そりゃ長野のシャインマスカット」と母苦笑い
物の価値ググり
豆鉄砲食らった面見せる我
「味わい食いたけりゃ金稼げ」
母に出された冷し中華に具など無く
せめてキュウリは欲しかったな、と
ずるずる引きずるあの瑞々(みずみず)しさ
惜しむ茎に残るは夏のしずく
ローテーブルをぽつりぽつり濡らしていた
涙も甘くなるのかな




