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第百十七話:援軍到着

 私が、自らの魂を対価とすることを決意した、まさにその時だった。

 城の外から、これまでとは比較にならないほどの地鳴りのような雄叫びと、鋼がぶつかり合う激しい音が響き渡ってきたのは。


「な、何事です!?」


 書斎に駆け込んできた老執事の顔は、驚愕と、そして信じられないものを見るような戸惑いの色に染まっていた。

 私はセレスティーナ様の眠るベッドの傍を離れ、彼と共に城壁の上へと駆け上がった。

 そして、眼下に広がる光景に息を呑んだ。


 城を包囲していたはずの律章復興派の残党たちが、今や逆に完全に包囲殲滅されていたのだ。

 雪原を埋め尽くすのは、燃えるような真紅の軍旗。掲げられている紋章は鉄色の盾と、交差する二本の戦斧――ツェルバルク家のもの。

 その軍勢の先頭で、一人の少女が巨大な戦斧を、まるで小枝のように軽々と振り回し、敵兵を文字通り紙切れのように薙ぎ払っている。


「イザベラ……様……」


 彼女が率いるのは、もはや、ただの軍隊ではなかった。

 一人一人が一騎当千の鋼鉄の肉体を持つ、狂信的なまでの戦士の集団。彼らは鬨の声の代わりに「ハイル・マッスル!」という謎の賛歌を叫びながら、残敵を蹂躙していく。

 もはや、それは戦いですらなかった。

 ただの一方的な殲滅。


 やがて静けさを取り戻した城門の前で、イザベラ様は馬を降りた。

 そして、生き残った兵士たちに何かを命じると、ただ一人、ゆっくりと城の中へと、その歩みを進めてくる。

 その燃えるような真紅の瞳は、まっすぐにこの城の最も高い場所…玉座の間を見据えているようだった。


 彼女は敵ではない。

 だが、味方でもない。

 彼女のその瞳に宿る光は、ただ自らが信じる「正義」を遂行するためだけの、絶対的な覚悟の色。

 そして、その「正義」の刃が、今、セレスティーナ様に向けられようとしていることを、私は直感していた。


 第百十七話「援軍到着」、いかがでしたでしょうか。絶望の戦場に、あまりに強力で、そして、予測不能な援軍が、到着しました。

 次回、第百十八話「二人の救世主」。リリアとイザベラ、それぞれの「正義」が、ついに、激突します。どうぞ、お楽しみに。


ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

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