表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/127

第百五話:終幕

 世界が、白に染まる。


 セレスティーナ様の最後の命令。

 その言葉を引き金に、彼女から解き放たれた絶対零度の吹雪は、もはや嵐という生易しいものではなかった。

 それは世界そのものを塗りつぶし、無に帰すための、神のため息。


 ライネスティア家の軍勢も律章復興派の狂信者たちも。

 その圧倒的な暴力の前では、等しく無力だった。

 悲鳴を上げる間もなく、彼らの存在そのものが白銀の光の中に溶けて、消えていく。


 私は、その世界の終わりのような光景を、ただ呆然と見上げていた。

 私の愛した人は、もういない。

 私の目の前にいるのは、かつて彼女だったもの。

 私がこの手で破壊すべき、一体の災厄。


 その圧倒的な絶望と静寂の中。

 私は、ゆっくりと右手に握りしめた短剣を持ち上げた。

 月光を浴びて、その冷たい刃が、きらり、と光る。

 それは、彼女が私に託した、最後の希望。

 そして、私に課せられた、あまりに過酷な宿命の象徴。


 私の砕け散った心に、一つの問いが浮かぶ。

 あなたを殺すことが、私の愛の証明だとでも言うのですか。


 答えは、ない。

 ただ白銀の吹雪が、全てを飲み込みながら吹き荒れているだけ。

 その神々しく、そしてどこまでも悲しい光景と。

 短剣を握りしめ、何かを決意した私の悲痛な表情とで。


 ――物語は、静かに閉じる。


 第百五話「終幕」、いかがでしたでしょうか。これにて、第四章「白氷城と偽りの神託」は閉幕となります。長らくお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

 次回、暴走する力の中、彼女が最後に何を想い、何を願ったのか。その心の、最も深い場所が描かれます。どうぞ、お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ