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84/115

84,デスサイズの男。

 


 素晴らしいタイミング(皮肉だよ)で、二人の都市警察官まで駆けこんできた。


「何事ですか?!」


 すると先ほどのグループの女が、おれを指さして。


「この人、人殺しです!」


 こらこら。人を指さすな。

 違いますよ、おれは第一発見者──と弁解する間もなく、


「現行犯で逮捕する!」


 と手錠を出してくる始末。


 まーてよ。こーれは、仕込みか?

 ノーランを消したうえ、接触しにきたおれに濡れぎぬを着せるという、いわば一石二鳥の策略にはまろうとしているのか、おれは?


 まず、そもそもがこの殺されている男がノーランなのかもハッキリしないしな。

 とりあえず死体の顔貌は、ディーンから聞いている通りの人相だが。


 おれは身を翻し、小窓のところまで移動した。

 あいにく窓は小さすぎて、子犬じゃなきゃ脱出できるサイズじゃない。


「まて逃げるな!」


 と都市警察官が突っ込んでくる。

 おれは格闘戦とか、得意じゃないんだよ。しかしここで警官を凍結させたりしたら、いよいよ敵の思うつぼな気がしてきた。


 気乗りしないが。

 デバフ殺法:第十五の型【物事は大小で決まりません、あしからず】。


 デバフ効果は、『生命体を縮小する』。

 ただしこのデバフ、ほかのデバフとは違い、他人には使用できない。


 まぁ、だからあんまり使うこともないと思っていたが。


 小窓を薄く開け、そこに片手を置いた状態で、自分に付与。

 窓辺へと意識を向けることで、そこに向けて身体が縮んでいく。


 これで小窓から外に出た。

 落下中に【物事は大小で決まりません】解除。


 無事に闘技場の外に着地。


 小さくなったり元のサイズに戻ったりで、どうも頭がくらくらする。

 絶対に脳細胞とか臓器にいいことじゃないよな。多用しないでおこう。


 スゥと落ち合う場所を決めていなかったのは痛いな。

 まさか、警察に追われるハメになるとは思わなかった。


 ひとまず冒険者出張所に匿ってもらうか?


 脳内で歓楽都市ヴィグのMAPをイメージしながら、目当ての建物を目指す。


 レグでは表向き魚屋だったが、ここはまた風変わりな建物だった。

 円柱形で、入口らしき場所がない。


「なんだ、ここは? 誰にも入られたくない、というわけか?」


「なんだ、おまえは?」


 振り返ると、青い髪の長身の男が、買い物袋を抱えて立っている。背中には棒状の武器を背負っていた。


「もしかして、出張所の冒険者イライアスか? おれは本部から来たリクだ。実はトラブルに巻き込まれてしまって。少しばかり匿ってくれないか?」


「トラブル? どんな、トラブルだ?」


「あー。殺人犯に間違えられて」


 イライアスはリラックスした様子で言う。


「そうか。それは大変だったな。こっちに来て早々、まさか殺しの容疑をかけられるなんて。なら事情がはっきりするまで、うちのところで潜んでいるといい」


「ああ、そうしてもらえると助かるよ」


 良かった。出張所側の冒険者が塩対応かもしれないと心配していたが。このイライアスは、話の分かる相手のようだ。


 イライアスは荷物を近くの階段に置き、棒状の武器を手に取った。


「ちょっと待ってくれるか? 悪いね。久しぶりすぎて、あー、展開するのはこうだったかな」


 ただの棒状かと思ったが、これは戦武器シリーズだ。

 展開されると、巨大な鎌刃が出現し、あっというまにデスサイズとなった。


「よし、これでいいだろう」


「あーイライアスさん。どうしてデスサイズなんかを展開しているんだ?」


「それはだなー、リクさん。あんたを警察に突き出すためだよ。俺はな、面倒ごとが大嫌いなんでな」


「……いやぁ、その気持ちが凄ーーーく分かってしまう」



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