表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/115

69,ただの喧嘩じゃ?

 

 ──リク──


 鍵で、暗号解読器を開ける。


 その中のクリスタルを確認すると、コア機関の印が刻まれていた。


「これで、コア機関が関与している『かもしれない証拠』にはなるようだな」


 動かぬ証拠とまではいかないが、これで〈王〉も、〈紫陽夢〉掃討から手を引く『言い訳』ができることだろう。


 というわけで、おれたちは地上に戻った。

 全身に浴びたドロドロを洗い落とすため、スゥ、ルテフニアがいったんパーティ離脱。

 というか、ルテフニアは戻ってきてくれるか不明。


 こっちは時間が惜しいので、ひさびさの『外の世界』でくたびれた様子のエンマを連れ、〈王〉を探す。


 すぐに見つかったのは、〈王〉の軍。兵たちがなぜか手持無沙汰の様子で、立っている。

 ヒマそうだね。いいことだ。


「すみませんが。〈王〉はどちらに?」


 と、兵の一人に声をかけたとたん、敵意まるだしの目で見返された。


「何者だ? 〈王〉を狙う刺客か? 連行する!」


 取り押さえられそうになったので、とっさにビー玉を当てて、凍結デバフ付与。


 ところで凍結デバフも、人体に影響を残さないよう調整できるようになった。もちろん必要なときは、そのまま命を奪うこともできる、が。


 エンマが叫ぶ。


「兵士を氷づけにして、どうするんですかぁぁぁ!」


「だって、悪気はないんだよ」


 当然、ほかの兵たちが取り囲んできた。たしかに凍結したら敵性行為と見なされるのは致し方ない。

 おれが困っていると──となりのエンマはゴミ箱を全力で探している──ケイが速足でやってきた。


 兵たちに鋭く命じる。


「この方は、閣下の個人的な客人です。無礼を働くこと、私が許しません」


 とたん兵たちが恐れをなした様子で、謝罪して散っていった。

 さすが〈王〉の右腕。


「どうもケイさん。ちょうどよかった。〈ガーディアン召喚函〉破壊工作にコア機関が関与している『動かぬ証拠』を見つけたんだ。是非とも〈王〉に提示し、〈紫陽夢〉掃討を中止してもらいたい──ところで、いま兵たちは何をしていたんだ?」


「待機中です」


「てっきり〈紫陽夢〉の拠点に総攻撃をしかけているのかと思っていたが──いや、待機中で良かったんだが」


「はい。はじめは総攻撃のはずだったのですが。〈紫陽夢〉のリーダーが姿をあらわしまして。ちょうどハーラン様が自ら指揮を執っている部隊のところに」


「で?」


「〈紫陽夢〉リーダーのヴェンデルは、ハーラン様とは古くからの付き合いがあります。ざっくらばんに言うなら、お二人は親友同士でした。その親友同士が戦場で出会えば、何が起きるか」


 ヴェンデルはハーランと蹴りをつけたそうだったし、ハーランもなんだかんだで、最後は自ら戦いたがる性格に思える。


「あー、決闘的な?」


「はい、まさしく。ハーラン様は全軍に命じられました。自分たちの決着がつくまでは、攻撃を中止するようにと」


「それで、決着は?」


 ケイは、どことなくウンザリした様子で言う。


「あなたのお力でしたら、お二人を止めることができるかもしれませんね」


 ということで、ケイの案内で、ハーランとヴェンデルの決闘現場まで向かう。

 そこは、ただの通りだったが、いまはギャラリーも多い。つまり〈紫陽夢〉のメンバーと、〈王〉の兵たちだな。


 予想していたとおり、ハーランとヴェンデルは激突していた。

 だた少し予想と外れていたのは、血なまぐささがないことか。


 ヴェンデルが、燃えるクレイモアを叩き込みながら、


「とっとと、お前の顔をぶん殴って、そのにやけたツラを潰してやればよかったよ。だがようやく、それが実現できそうだ!」


 それに対して、身軽に回避しながら、目で追うのも難しい速度の槍の突きを放ちながら、ハーランが煽り返す。


「お前にそんな大それたことができるのか? おい、おれにはまだ指一本、触れることもできてないぞ」


 この激しい戦いのとばっちりで、まわりの建物は崩壊していく。

 だが当人たちは、お互い、まだほとんどダメージを受けていないが。


「……これ、もうただの喧嘩じゃないのか」


 凍結デバフの出番でーす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ