第三話 穏やかな顔でした。
血走りの軍と徳川軍が西軍本陣笹尾山へ総攻撃をかけている頃、
本多忠勝は、単身で徳川家康に進言しに参った。
「家康公、これ以上攻めるは深追いとなり東軍全体を危険に晒す事この上ありませぬ
ここは秀忠様の援軍と合流しまして十分兵を補充、休ませてから追い討ち
すべきです。
小早川秀秋殿は東軍へ寝返りましたが、戦況は未だ五分と五分で御座います。」
「そちの申すとおりじゃが、家長が本日中に片を付けたがっておる。
協力してやれ。」
「・・・・・」
「平八郎(忠勝)どうしたのじゃ」
「家康公、本日は勝利したあかつきには白米をご一緒に食べとうございます」
「おーそうじゃの、白米はわしのこ、こう、」
「・・・貴様・・影武者ではないか!家康公は麦飯が大好きなのじゃ」
「家康公は何処におるのか申せ!」
「そ、それは、、」
「申さぬかぁあ!」
「家長に任せておる!」
(家長、正体がバレてしまったぞ!どう、
答えればこの場をおさめられる・・・・わしには分からん)
本多忠勝はこの時、家康公は家長の手によってこの世にいないと
直感で感じとった。
「わかり申した。急な用がある故、影武者殿、御免」
本多忠勝は徳川家長のもとへ走り出した。
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徳川家長は中田軍の敗れ去った焼けただれコゲ臭い西軍本陣にいた。
「申し上げます。福島正則殿、石田三成めの死体を確認致しましたが
中田玄白めの死体見つかりませぬ。」
「逃げたか、兵をまとめよ!宇喜多隊へ攻撃を開始する」
福島正則と石田三成の首が運ばれてきた。
(三成殿は穏やかな死に顔じゃの、それに比べ福島殿は苦痛と憎悪にまみれた
怒りの顔じゃ。二人の死ぬ時の思いが込められておる。)
「血走りの軍!整列!方円の陣を組め!騎馬砲兵は弾薬がない馬は
騎馬隊として左右に並べ!宇喜多隊と正攻法にて正面から戦う!」
(次こそは決着をつけて頂かないと私にも時間があまりない。)
家長は騎馬戦車に乗り込むと宇喜多隊に狙いを定めた。
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僕は宇喜多秀家の軍に逃げてきた。石田三成を犠牲にして
「中田殿、暫く休まれるが良い。神は全ての人を愛してくださいます。」
僕とくノ一部隊と弥助と武蔵は明石全登さんと小西行長さんの
キリシタン部隊に合流。共に戦うこととなった。
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【正攻法】
奇襲や計略など用いずに正面からぶつかり合う。
正々堂々とした方法。




