3章エピローグ
そして昼食の前、一旦戻った奥方の間に、執事のミスター・アンダーソンが、銀盆に乗せて来たのは、2通の電報。
1通はウィルフレッド様から、シャーロット様宛。
「お父様はすっかり、お元気になられたんですって――本当によかったわ! ウィルは明後日、戻られるそうよ」
ほんわり頬を染めて弾んだ声を上げる、愛らしいお嬢様を、ほっこり堪能していると
「こちらは、ユナさん宛です」
もう1通の電報を、手渡された。
『前世でも転生してからも――電報貰ったのなんて、初めて!』
わくわくしながら、電文が貼られた、白い用紙を開くと――ミックから
『AR対策は成功した? お土産、楽しみにしてて』
と、まるで暗号みたいな、短いメッセージが。
『AR』……?
あっ! 『悪役令嬢』のことか―‼
心配してくれてたんだ……。
ほっこり――ミックの優しさが、胸にしみて行く。
大丈夫、大成功だよ!
お土産って……『干物』ゲット⁉ やったーっ!
にまにま、密かに浮かれていると
こほん……軽く咳払いした、ミスター・アンダーソンから
「お返事、なさいますか?」
と尋ねられた。
「いえ、大丈夫です!」
明後日には会えるし、こんな事で執事さんのお手を、煩わせるなんて――と、きっぱり断ったら
「シャーロット様のお返事と、一緒に手配しますから、手間にはなりません……ぜひミックに、お返事を!」
と何故か、ぐいぐい進めてくる。
「そうですか? それでは……」
うーむと少し考えて、書いたメモを渡した。
「『大成功! 焚火の準備をして、待ってる』……? 本当にこちらで、よろしいんですか?」
「はい! お願いします!」
干物を焼く時は、匂い対策が大事だから……やっぱ、外で焚火だよね!
確か裏庭の隅に、レンガが積まれた、良さげな場所もあったし。
ジェラルド様や、エマとジェインと……様子見て、アナベラとベティも誘って。
お嬢様も魚介類は、お好きだから――気に入って頂けるといいな♪
にんまり『干物パーティー』に、思いを馳せていると、
「強く生きなさい……ミック」
ミスター・アンダーソンがなぜか、ため息交じりに、呟く声が聴こえた。
『AR問題』も無事解決したし、ウィルフレッド様も明後日戻られるし、ウェディングドレスの仮縫いも進んでいるし――これはもう、結婚式まで、秒読み段階と言っても、過言では……
待って、
(ご一緒に! せーの)『後1人、攻略対象者が……‼』
それはまた、次の機会に。
(ユナの日記より)
3章完結しました。
ブックマークやいいね、評価や感想をくださった方、足を運んでくださった方、心から感謝いたします。
少しでも楽しんで頂けましたら、嬉しいです♪
ただ今4章を、ぐりぐり脳内で、練っている最中です。
『続きが気になる』『読んでみてもいいよ』と思ってくださった方、
ブックマークや、本編の下にあります☆☆☆☆☆から、評価を入れて頂けると、パワーになって――今回もまた、練る速度が、倍速になります!
よろしくお願いいたします。




