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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(74)「撮影用照明機材」 vol.1「ロケ現場の撮影用照明機材いろいろ」

★「撮影用照明機材」vol.1

「ロケ現場の撮影用照明機材いろいろ」


●ロケ現場の撮影用照明機材

撮影所の証明といえば、ステージセットの天井に設置された大型ライトやスタンド式の大きなライトが思い出されますが、いざロケ撮影の時にはそこまで大きなライトは持ち運びにくいですし、また電源の確保も難しいロケ場所もありましたから、その際には小型の携帯用ライトが使用されていました。

今回は、その「バッテリーライト=バッテラ」等の「ロケ現場で使用されていた軽量撮影用照明機材」のお話です。


尚、例によって情報のほとんどが約30年前ですw

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在しますwwその点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。


●シネキン

「バッテリーライト」を略して「バッテラ」と称されますが、色々な種類のバッテリーライトがある中で、「バッテラ」とは呼ばれずに単独で呼称されるバッテリーライトがあります。

それは「バッテリー式小型撮影用ライト」の代表格といえる「シネキン」です。

正式名称は「シネマキングライト」で、24ボルトのタングステン球が基本でした。また、球を入れ換える事で集光スポット散光フラットの切り替えも可能でした。

自動車用の12Vのバッテリー2個を直列に繋いだ、肩掛け紐の付いたバカ重いショルダータイプのバッテリーがセットになっていて、コードで繋がっていました。

そんなバカ重いバッテリーで、しかもフル充電してあったとしても連続照射時間は10~15分位で、冬場等の気温の低い時やバッテリー自体の劣化によっては、もっと照射時間が短くなりました。

バッテリー残量表示なんてありません。懐中電灯の様に、明るさが無くなってきたらバッテリーの交換時期でした。

ですから、通常の場合バッテリーの予備は複数個用意されていました。

スイッチは、ライト部分の後部に取り付けられた小さなレバースイッチで、このスイッチでオンオフを切り替えていました。

たまに何かに引っかけてスイッチが入ってしまって、いざ撮影に使おうとした時にはバッテリー切れを起こしてしまう事もありました。

30年前には、まだまだ現役で残っていましたし、軽量撮影用照明機材としては主役級でもありました。

今は、流石に現役を退いていると信じますw


●バッテラ

バッテリーライトの略称です。そして、バッテリー式のライトの総称としても使用されていました。

片手で持つことができるハンディータイプのバッテリーライトが主流でした。

「シネキン」と同様に24ボルトのタングステン球を使用していて、ショルダータイプのバッテリーを繋いで使用するのも「シネキン」と同様でしたが、バッテリー自体がニカドに変わっている為に重量が「シネキン」より軽量になっていて、機動性が抜群でした。

30年前は「シネキン」から新型の「ハンディタイプのバッテラ」に切り替わる時期でもありました。

ですから、現場によっては「シネキン」しかないとか、「バッテラ」メインで「シネキン」をサブとかという使用のされかたをしていました。

現在でも使用可能ではあるのですが、ライト自体がLEDへ移行して行きつつある様です。


●ゼネ

この後に紹介するバッテリーを電源にしないライトの為にも、ライトじゃ無いけれども紹介しなければならないのが「ゼネ」です。

「ゼネ」は、正式名称を「ジェネレーター」と言い、「ジェネ」と略される場合もあります。

一般的には移動式の発電機を指す用語です。

30年前の主流は、ガソリン式の「5KWゼネ」でした。

今でも出力は違うでしょうが、工事現場や道路工事の夜間照明の電源として使用されているところを見ることが出来ます。

この「ゼネ」から電源コードを伸ばして撮影用照明機材に電力を供給するのですが、駆動音があまりにも大きくて、同時録音の撮影現場の場合には遠く離して設置する必要がありました。

現在では、写真撮影用のストロボ用の大型バッテリーの一部も「ゼネ」と称されている様ですが、撮影所での「ゼネ」はバカでかくてバカ重くバカうるさい発電機を指しますw


●パルサー

いくらロケ現場と言っても、全ての撮影をバッテリー式のハンディライトだけで照明を賄える訳ではありませんでした。

ですが、大型のライトを何本も持って行く訳にもいきません。

その際に活躍していたのが「パルサー」でした。

基本は、タングステンの500ワットハロゲン球を使用して、移動式発電機である「ゼネ」から電源を取って使用していました。

三脚スタンドのヘッドに装着して使用するのが基本でしたが、コンパクトなので24ボルト球を装填して、バッテリーを電源として使用する場合もあった様です。

しかし、流石に照射時間が短いので「ゼネ」を電源として使用する事以外に私は見たことはありません。      

現在でも「パルサー式」とか「パルサー型」という名機としての名前は残っています。


●蛍光灯ライト

照明機材は、大型になる程に消費電力が大きく、また発熱もしました。

ステージセットやスタジオの様な密閉空間で、音を気にする撮影等を行っていると、エアコンも停止させますから、冬場でもライトの熱で室内気温が上昇したりしていました。

その為に、30年前にも既に、少ない消費電力で熱も出さないライトとして蛍光灯のライトが開発されていました。

但し、蛍光灯ライトには「フリッカー」と呼ばれる「光のちらつき」が起きるのが通常でしたから、コマの間に明暗の出来てしまうフィルム撮影は勿論、ビデオ撮影の現場においても撮影用照明としては不向きとされていていました。

その「フリッカー」を抑える安定器を搭載したライトが世に出てくると、撮影用にも「蛍光灯ライト」が登場してきます。


私は、30年前にとある照明チームの照明技師が作った「蛍光灯ライト」を使用するドラマ撮影の現場に立ち会うことが出来ました。

当時としては初めて見る「撮影用蛍光灯ライト」でした。

現在と変わらず、何本もの40ワット直管蛍光灯が並べられたモノで、照明技師の言うには「ドラマの撮影では初めて使用します」と言われていました。


勿論、蛍光灯ですから光量はありますが、熱は殆ど出しません。

当時としての欠点は、拡散率が高くて被写体までの距離を短くしなければならなかった点と、蛍光灯自体が割れやすいので移動に気を使うという点でした。

通常のライトならば長距離の運搬時にも外さない球部分ですが、蛍光灯ライトは流石に外して専用ケースに入れていました。

因みに電球型蛍光灯も発売されていましたが、単なる蛍光灯ですから「フリッカー」が出る為に撮影用には不向きでした。

但し、「安定器搭載の撮影用蛍光灯ライト」でも完全に「フリッカー」を消し去れはしません。

現在でもスタジオ撮影等で残っている可能性はあります。


●LEDライト

蛍光灯ライトと同様に撮影用照明機材として革命的とも言えるのが「LEDライト」です。

蛍光灯ライト以上に少ない消費電力で、蛍光灯ライトの様なフリッカーも無く、蛍光灯ライトと同じくらいの発熱量しか無く、蛍光灯ライトの様な運搬時の破損の心配も無い。

更に、発光色を変化させることも可能なLEDの場合、色付きの透明フィルム等で色を変化させていた白熱球や蛍光灯に比べると撮影用としては有用になってきます。

そして、明るさの明暗である「調光」も可能です。

また、蛍光灯は破損時に有害な水銀を撒き散らす危険性がある「水銀含有物」として、廃棄時にも規制がかけられましたから、家庭用蛍光灯製品をはじめとして、撮影用照明機材も徐々にLEDへ変更されて行く事でしょう。

しかし、LEDライトに欠点が無い訳ではありません。

点による光源の為に、「配光角」つまり「光の照射範囲」が狭いのです。

ですが、徐々に新しい製品が出来て、この「配光角」の問題も解消されつつあります。

あとは、「値段」の問題でしょうねw


●あとがき

「ロケ現場の撮影用照明機材」と言っておきながら、無料な天然の光源を使用する「レフ板」を差し置いて「軽量タイプ照明機材」から照明機材を紹介してしまいました。

まぁ、「レフ板」は別格ですので、別の機会にさせて頂きますw


撮影用の照明機材には、もっともっと種類があります。

しかし、私自身が照明部じゃありませんでしたから、先ずは手に触れたモノから徐々に徐々にw


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