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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(58) スタッフルーム 「東映東京撮影所・東映テレビプロ編」

★スタッフルーム

「東映東京撮影所・東映テレビプロ編」


前回で撮影所に帰ってきたロケ隊の帰りつく先が「スタッフルーム」です。

そして、このスタッフルームが映像を創る全ての始まりであり、全ての落ち着き先であり、全ての元凶なのですw

尚、例によって情報のほとんどが30年前ですw

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在しますwwその点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。


●はじめに

皆さんが思うスタッフルームとは、どういった場所でしょうか?

長机が何脚か有って、周囲を椅子が取り巻いている。

監督を含めたスタッフが出入りして、会議や打ち合わせが行われ、壁にはイメージボードや絵コンテが貼られている。

30年も前であれば、スタッフルーム内でも霞がたつようにタバコが吸われ、机には書類や資料の隙間を埋めるかのようにお茶やコーヒーが幾つも置かれている。

確かにそんなスタッフルームもありました。

しかし、全てのスタッフルームがそんな状態かといえば、否です。


●スタッフルーム

スタッフが撮影前の準備から始まり、撮影中のミーティングや休憩や集合場所にも使用し、更にスタッフの荷物置き場でもありました。

広さもまちまちでしたが、東映の場合はほとんどがプレハブ造りの工事現場の休憩所といった雰囲気の場所でした。

基本的に土足で出入りしていました。ですから、出入り口に足吹きマットが置かれているのですが、雨の日等は床が泥だらけになりました。

30年前では喫煙も当たり前に出来て、金属製の薄っぺらな円盤灰皿が幾つも置かれ、吸い殻用のバケツまでありました。

今では、所内の特定の場所でなければ喫煙できない分煙制度を取っているようです。

私は東映以外のスタッフルームも見ましたが、そのほとんどがVシネマ作品であった為に単発作品ということもあり、スタッフルームがきっちり用意されていない制作会社もありました。


今回は、私が各方面で見たスタッフルームの内、東映東京撮影所の東映テレビプロダクションのスタッフルームをご紹介しましょう。


●30年前の東映テレビプロのスタッフルーム

○特撮番組のスタッフルーム

先ずは、東映東京撮影所内のテレビプロのスタッフルームの中でも特撮番組のスタッフルームからです。

30年前のテレビプロのスタッフルームは、二階建てのプレハブの1階部分にありました。

長屋状態のスタッフルームが、テレビプロの事務所と共にメインストリートを挟む様に建っていました。

当時は、「スーパー戦隊」と「メタルヒーロー」のスタッフルームが隣り合わせてありました。

まぁ、当時は「戦隊」のスタッフルームと「作品名(もしくは、単体)」のスタッフルームと呼称していましたw

個々のスタッフルームは四畳半程の広さで、中には応接セットが一組と事務机と事務椅子が一組置かれていました。

そして、ブラウン管式の15インチ程度のテレビが設置されていました。

また、小振りながらも2ドア式の冷蔵庫も設置されていました。

冷蔵庫の中には、ポパイの朝ロケ弁当に付いてきた烏龍茶の余りとか、私物のビールやジュース等が冷やされていました。

たまにはロケ弁当の余りが冷やされている場合もありました。


スタッフルームですからスタッフが出入りしていましたが、東映テレビプロのメインストリートが目の前でしたから、誰でも入って行ける位置に有り、更に土足で出入りできる状態でもありながらも、キャストの出入りはほとんどありませんでした。

まぁ、キャストの控え室に用もなくスタッフが訪ねることがなかったように、キャストもスタッフルームの敷居は高かったのだと思います。

しかし、そんなスタッフルームではありますが、ス監督、記録、カメラマン、照明技師等のメインスタッフの出入りはほとんどありませんでした。

先ずカメラマンを含めた撮影部は、別の建屋に撮影部の事務所がありましたので、そちらで休憩と準備をしていました。

照明部も機材倉庫に事務所がありました。しかし、技師以外はスタッフルームで休憩していました。というかタムロしていました。

監督と記録さんは、テレビプロの事務所で待機したりしていましたし、編集部や録音部へ行っている場合もありました。

装飾部(=小道具さん)、衣装部、メイクさんは、所内に会社事務所を持つ外注協力会社でしたから、休憩と準備は各々の会社事務所でした。

しかし、小道具さんは準備さえ済めばスタッフルームで休憩していた様に思います。翌日の撮影におでん屋の屋台が必要な場合に、小道具さんがスタッフルームにある石油ストーブの上で鍋でおでんを煮ていましたw

勿論、撮影後に残ったおでんは、スタッフルームでその日の酒のアテにして「スタッフが美味しく頂きました」ww

そして、助監督もスタッフルームで休憩していました。

まぁ、メタルヒーローのチーフ助監督は忙しくてほとんど休憩や待機に使用していませんでしたが…

チーフ助監督以外も、セカンド助監督は衣装部さんとの打ち合わせや準備、サード助監督は小道具さんとの打ち合わせや準備がありましたから、それぞれの事務所にお邪魔している場合の方が多かったのですがねw

余談ですが、私は個人的に操演さんの作業場に入り浸っていたりしましたww

制作部は、元来テレビプロの事務所が定位置でしたが、人によってはスタッフルームに出入りしていましたし、休憩していました。


応接セットに4人。事務椅子と折り畳み式のパイプ椅子を拡げても最大7人程の居場所しかありませんでしたが、専用控え室があったにも関わらずJAC(=現、JAE)の若手が出入りするなど、撮影終わり等にはスタッフルームの表にまで人が居ましたw


毎朝、テレビプロの事務所から鍵を借りて開け、撮影が終了したあとに鍵をかけて事務所に返すのが一般的でしたが、日中は開け放たれていました。

その日中にスタッフルームを使って打ち合わせをしていたのが、次の話数の監督、美術、プロデューサー等でした。


余談ですが、スタッフとキャスト達はそれぞれの制作した番組がテレビ放送される際には、スタッフルームで集まって放送を観る場合が多かった様に思います。

撮影自体が休みになる場合が多い日曜日に放送されていたメタルヒーローシリーズは、撮影や撮影準備でもなければ集まりませんでした。しかし、撮影のある日曜日であれば放送時間を考えて撮影開始時間をずらしてくれるぐらいのことは、当時の香盤表を作成していた石田チーフ助監督がいくら○○でもしませんでしたww

その点、スーパー戦隊の方は金曜日の夕方の放送でしたから、撮影後に観ている事が多かったと思います。

メタルヒーローのスタッフやキャストも、スーパー戦隊の放送をリアタイ出来る時には観ていて、隣り合わせのスタッフルームで笑ったり悔しがったりしていました。しかし、流石にスーパー戦隊の放送時間を考慮して撮影時間を入れてくれている訳はなくて、観られるのはたまの事でした。


○他の番組のスタッフルーム

東映テレビプロは、特撮番組以外の番組も制作していました。

「はぐれ刑事」「HOTEL」をはじめ「土曜ワイド」や「火曜サスペンス」等も制作していましたから、その作品毎にスタッフルームがありました。

連続ドラマのスタッフルームは、定番のスタッフルームとして前途した二階建てのプレハブのスタッフルームの一角にありました。

基本的には、応接セットと事務机と椅子の一式のあるプレハブのスタッフルームは他のスタッフルームと同じでした。

それに対して「土曜ワイド劇場」等の2時間ドラマやスペシャルドラマのスタッフルームは、前途した二階建てプレハブとは違った場所に作られていて、微妙に広さや形状が異なっていたと思います。

特に2時間ドラマやスペシャルドラマ等の単発の作品であればロケによる撮影が多く、地方ロケが中心となる場合もありました。

そんな作品でも撮影所内に一応スタッフルームとしての場所は確保されているのですが、ほとんど使用しないで撮影を終了する場合もありました。


地方ロケの撮影の場合、旅先の旅館やホテルに長期滞在する場合もありました。そんな場合は、ホテルの部屋が簡易のスタッフルームというかミーティングルームとなりました。

長期滞在ロケの場合は、メイクルーム代わりの部屋とか衣装室や更衣室代わりの部屋等が用意される場合がありましたが、そんな場合でも流石にスタッフルームは用意されてはいませんでした。

ですから、監督の部屋とかチーフ助監督の部屋とかがミーティングルームに当てられました。

そんな部屋の中ではなくて、宴会場や食堂の一角でミーティングした記憶もあります。


●現在の東映テレビプロのスタッフルーム

現在の東映テレビプロのスタッフルームは、昔のプレハブ造りから造り直され、新しい白い建物になっています。

建設現場の仮設事務所感は拭えませんが、六畳間ぐらいの広さになり、土足出入りなのは仕方ないのですが禁煙ということもあり比較的キレイでした。

事務机と椅子に加えて、折り畳み式の長机が置かれていたり3人掛けのソファーや長椅子が置かれていたりとレイアウトはさまざまなのは昔と変わらないのですが、30年前と大きく違うのが絵コンテやイメージボードが貼り出されたりしている点でした。

30年前にもVシネマのスタッフルーム等では貼り出されたりしていましたが、絵を描ける監督やそれを依頼するスタッフが居ない場合が多く、ほとんど見かけませんでした。

これは「絵コンテ」を切る専門スタッフが出来たということもありますが、それだけCG等の現実に無い仕掛けで撮影を進めなければならない現場の混乱を避ける為とも言えるでしょう。


30年前のスタッフルームがそうであったように、このスタッフルームからも多くの夢が紡がれていくのでしょう。


●あとがき

「東映テレビプロ」のスタッフルームについては、まだまだ語れていないこともありますが、そこは追々語るとしましょう。


今回は「東映テレビプロ」だけを見てきました。

まだまだスタッフルームには、制作先によって違いがありましたので、次回以降でも語って行こうと考えています。

尚、次回も東映のスタッフルームですが、今は無き「第二制作」や「東映Vシネマ」のスタッフルームをご紹介する予定です。

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