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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(26) 特別編「バレ隠し」

★特別編 「バレ隠し」


連休ということもあって週末のニチアサ後にアップする内容も既に書き上げ、(前回に引き継き「メタルヒーローシリーズ」の撮影現場に関してですよw)昨晩の「スローな武士にしてくれ」を観てしまうとウズウズして、少し前に書いた「隠す」ということの重要性を「特別編」でお届けしようと思います。


尚、例によって情報のほとんどが30年前ですw

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在しますwwその点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。


●バレ≠見切れ

被写体であるキャストや風景は、被写体ですから写って当然ですが、それ以外のモノや者がカメラのフレーム内に写ってしまうのを「見切れ」とか「バレ」とかと呼びました。

因みに語感として被写体の一部がフレーム内に収まり切れずに「切れ」てしまう場合も「見切れ」と呼ばれていますが、この場合は「写ってしまうことで撮影の裏側がバレてしまった」訳ではないので、「バレ」とは呼びません。

尚、「バラし」は解体の意味で、「バレる」は動詞ですw


現在はテレビに出ている「見切れ芸人」さん達のお陰で「見切れ」が広く認知されましたから、多くのスタッフでも「見切れ」と呼ばれますが、当時の撮影所内では「バレ」の使用頻度が高かったと思います。


●バレ隠し

「バレ」てしまうそのモノ達がフレーム外に出せれば良いのですが、どうしてもフレーム外に出せない、アングルを変えても出せない場合があります。

こういった場合は「バレ隠し」を行います。

「見切れ隠し」と言うのかどうかは知りませんw


●物で隠す

ベッドシーンなんかが一般的ですが、写ってはいけない部分なんかの手前に花瓶やその他の物を置いて「バレ隠し」をします。

あまりにもあざとい物は置けませんが、それでも隠していることがバレバレな物も多くあります。

この場合も、バレてしまうモノを隠すことの方が重要なので、あざとくとも仕方ありませんw

特撮作品では余り見かけませんが、セットの一部にカメラの後ろのスタッフやカメラマン自体が反射して写ってしまう場合等はありますので、苦肉の策として手前に物を置いて「バレ隠し」をすることもありました。


●反射

前項でも書いた「反射」ですが、セット内は勿論、ヒーローや怪人のスーツなんかでピカピカに反射しそうな素材を使っている場合があると「バレ」が出来てしまうかどうかを確かめなければなりません。

ほとんどはカメラ助手のピントマンのお仕事で、撮影部さんしか持っていない撮影用の「つや消しスプレー(マットスプレー)」を吹き付けたりします。このスプレーですが、通常は照明や太陽光で光ってしまう「ハレーション」を防止する為のスプレーです。

まあ、ハレーションも一種の「バレ」です。

但し、このスプレーは最終手段です。

油分の多いスプレーでしたので、被写体自体に塗装剥がれ等の破損をしてしまう可能性があるから…と、いう表向きの理由とスプレー自体が高いとか後始末の拭き取り作業が意外と面倒だからという裏の理由があったりしますww

ステージセットの場合等で、カメラマンの後ろで反射してしまっている壁等の場合は、ハレーション切り(ハレ切り)と呼ばれる黒い布の板をかざして、反射をして写ってしまうモノを黒くして「隠して」しまうのです。

このハレーション切り(ハレ切り)も一種の「バレ隠し」であると言えるでしょう。


●服装

同じ原理で、カメラの近くに居て「バレる」危険性のあるスタッフは、黒い服装を着て「バレ隠し」対策をしているのが一般的でした。

助監督なんかは、服が汚れることもありますから黒い服装が良いと教えられたことがありますw

反射する以外でも「見切れ」をしてしまった場合でも誤魔化せる服装という利点もあります。

私が今も黒っぽい服装を無意識に選んでしまうのは、30年前のこの習慣が原因だと思われますww

ジーンズ(デニムパンツ)もブルーよりもブラックを選んでしまいますww


●ピアノ線隠し

特撮番組の場合は、ピアノ線を使って吊りによる撮影をする場合があります。

小さな被写体を吊るす程度から人や大きな物体を吊るす場合までのさまざまなケースがあります。


この場合は、被写体だけれど、被写体自体から吊るす為のピアノ線が出てしまっているので、明らかな「バレ」です。ですから「隠す」ことをしないといけません。


小さな被写体の吊るしは、ピアノ線自体が細いので「バレ隠し」自体がいらない場合もあります。ほとんど「バレ隠し」をしますが…


現在では「CGで消しますか?」と言って簡単にピアノ線を消してしまうみたいですが、30年も前ではCG使用は高くて、とても簡単にピアノ線消しを頼めることはありませんでした。


ピアノ線の消し作業の件は 余り語られない撮影所のあれこれ(12)「今は使っていないだろう助監督の道具vol1(ポスカ)」で説明していますので、バックナンバーを参照してくださいww



「バレ隠し」の方法はまだまだあると思いますが、基本的な事を書いてみました。


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― 新着の感想 ―
 割と最近のSF映画で、木星をバックに宇宙基地内のシーンを撮ったら女優さんのドレスが青色だった!  窓のブルーバックを急遽木星の書割りに変えて撮影した、なんて部署間の意思疎通が出来てなかった作品もあり…
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