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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(24) 「ビニテとニッパと色ガバとリャンメン」

★「ビニテとニッパと色ガバとリャンメン」


2週続けての「シリーズ」にしないのが、ひねくれ者の私。


今回は、助監督というよりも操演さんの持ち物としての「ビニテとニッパ」と操演さんの仕事に付随して助監督として必須だった「色ガバとリャンメン」を取り上げようと思います。

閑話休題だと思ってお付き合い下さい。


尚、例によって情報のほとんどが30年前ですw

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在しますww

その点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。


●ビニテ

ビニールテープの略称です。


市販されているビニールテープは、色も様々で幅も様々ですが、撮影所で使っていたのはよく見かける普通の幅のもので、色は「黒」が基本でしたが「赤」や「グレー」や「黄色」を用途別に使い分けていました。

ビニールテープは、本来「絶縁テープ」と呼ばれるものですので、配線の繋ぎに絶縁として巻かれるものです。


撮影中の現場で使う配線は色々ありますが、絶縁としてビニールテープを用意しているのは、照明さん、小道具さん、操演さんでした。


照明さんは「黒」の一択でした。


小道具さんは様々な色のビニールテープを使っていましたが、「黒」以外の色を使うのは、絶縁では無くマーキングや仮止め用でした。


操演さんのビニールテープの使用に関しては絶縁が基本です。色は小道具さんと同様に「黒」を基本としていますし、マーキングや仮止め用には他の色を使う場合もあります。


撮影部さんは、紙製の粘着テープを使っていたように思います。


助監督の私もビニールテープを所持していましたが、別に必須ではありませんでした。操演さんや他の部署の手伝い用だったりします。そして、私のビニールテープも基本は「黒」でした。そのビニールテープにカッターで深く切れ目を入れて、いちいち切らないでもよくしていましたw

撮影は時間勝負でしたから「待ち」を嫌いました。ですから「テキパキ」と仕事をこなさないと叱られましたww

だからこその「切れ目」でもありましたw


どの部署も「黒」を基本とするのは、もしもビニテを使用した箇所がカメラに写っても気にならない様にする為か、分からないように「隠す為」でした。

実は「隠す為」は重要です。

重要なので、別の機会に改めて「隠す」をテーマに語りたいと思います。


●ニッパ

ニッパーの略称(厳密には略称になっていないww)


言わずと知れた工具です。

基本的に撮影現場では、操演さんぐらいしか持っていません。(私は持っていましたがww)ですから、操演さんのアイデンティティーとでも思われる程の工具でもあります。

配線を切る。銅線を剥く。ピアノ線を切る。番線を切る。そして、ビニテを切る等のハサミ代わりにも使っていました。

硬いものから繊細なものまで切るのですから、刃の噛み合わせ、刃こぼれには特に気を使っていました。


サード助監督のズボンの後ろポケットには「カチンコ」と「台本」が基本でしたが、操演さんのズボンの後ろポケットには「ニッパ」と「台本」が基本でした。

「ニッパ」を撮影現場に持って来ていない操演さんは、特撮仕事の無い操演さんw と思われる程、操演さんが持っていて当たり前な工具です。


尚、当たり前ついでですが、工具は高くて良いもの程長持ちしますし、作業効率も上がります。但し、いくら高い工具でも手に馴染むモノでなければ本末転倒ですが…

因みに多くの操演さんはバネの付いていないニッパを使っていましたが、私は握力がないので、バネがないニッパでは番線ぐらいになるとカット出来ませんでしたから、バネ付きのニッパを愛用していました。


●色ガバ

「ガバ」は「ガバチョ」の略称。

「ガバチョ」は「ガムテープ」の業界用語。

「ガバッ」と取って「チョ」っと貼り付けるので「ガバチョ」と呼ばれるというのが定説です。

「バミリ」と言う場合もありますが、「バミリ」は立ち位置等をマーキングする為にT字状やX状にガムテープを貼る行為による場合のガムテープのことで、「バミリテープ」とも言われます。

動詞としては「バミる」という言い方になります。

ですから、用途限定のガムテープのことになります。

漢字にすると「バミる」=「場見る」だと言われています。

この「バミる」ことは、ガムテープ以外にカチンコ用のチョークやビニールテープが使われる場合もありましたが、ガムテープ以外でもマーキング自体を「バミリ」と呼んでいました。


この「ガバチョ」はほとんどの部署が使用していました。

特に照明さんとサード助監督は、「ガバチョ」の輪の中に紐やベルトを通して腰や肩に提げて、常時持参していました。

尚、撮影現場にあるガムテープは「クラフトテープ」と呼ばれる「紙のガムテープ」ではなくて「布ガムテープ」がほとんどを占めていました。

それは、道具が無くても切りやすく、重ね貼りが可能で、粘着力もある程度あるので細かな場所にも貼り付けられて、紙ガムテープよりは剥がしやすい。という特徴が、撮影現場に合った利便性を持っているからなのだと思われます。


その中でも、一般的な色以外の色付きの「ガバチョ」のことを「色ガバチョ」、「色ガバ」と呼んでいました。

「黒」「白」を基本に、「赤」「青」「黄色」や「銀色」等も用意されていました。

特に小道具さんと操演さんとサード助監督が、多くの色を所有していました。

これは、ヒーローや怪人、ロボット等の色に合わせて用意されていて、普段は簡易補修等に使用されていました。

そして、ヒーローや怪人やロボット等に弾着を仕掛ける際には、そのスーツの色に合わせた「色ガバ」を弾着を仕掛ける部分に貼りました。

これは、スーツへのダメージ軽減とスス等の汚れを容易に取る為でした。

色が微妙だったりすると、「色ガバ」の上から「ポスカ」を塗って誤魔化していましたww

ですから、レギュラーのヒーロースーツや武器の色にできるだけ合わせた「色ガバ」と「ポスカ」は必須でしたw


●リャンメン

「両面」の中国読みで「リャンメン」で、「両面テープ」のことです。

「両面」という呼び方だけでは、撮影現場に置いてあるモノで「両面」のモノがある程度存在することから、道具を特定し辛かった為、呼び方を変則的にしたかったのでしょうね。

麻雀用語として「両面」=「リャンメン」と呼ぶことから、「リャンメン」と呼ばれるようになったようです。

特定した呼び方を作られるだけに、撮影現場では毎回少量の使用ではありますが使用頻度が高く、ほとんどの部署が1本は持っていました。


「リャンメン」は一般的な「ガバチョ」と同じ幅のもので、厚みが0.2ミリ程度の肉厚の「一般用布両面テープ」の一択でした。

撮影部さんは基本的に「紙両面テープ」を持っていましたが、たまに別部署に「リャンメン」を借りる場合もありました。

「リャンメン」=「布両面テープ」は「紙両面テープ」と違って、手で切りやすく、肉厚でしたから「加工」も可能でした。

「リャンメン」は、剥離紙を剥がして使用するのは当たり前ですし、普段は両面テープの用途での使用の範囲で使っていましたが、肉厚なだけに折り畳んで厚みを作って、何かの芯にしたり、持ち上げ用の「セッシュー物(「セッシュー」は「箱馬」の回を参照)」にしたり、という本来の用途以外でも使われていました。

それは「接着力のある融通の効かない硬い粘土」という感覚でした。


照明部さんとサード助監督では、前途の「ガバチョ」の紐通し物の中に「リャンメン」が1本は入っていました。


弾着等の際に、「色ガバ」と同様の使い方をする場合がありますが、「ガバチョ」よりも肉厚の為に「衝撃緩衝材」としての効果も期待出来ました。

但し、「リャンメン」には色付きのモノは無くて「リャンメン」で弾着の基部を作った際にはポスカで誤魔化すのは必須でした。

コレが塗り難いww 粘着面に塗るのですから当たり前ですw




今回は閑話休題な話でしたが、撮影現場では当たり前の様に使用されている「略称」のある道具達ですので、必ず撮影現場では見かけるモノばかりです。

まあ、「ニッパ」が撮影現場に有るのは特撮作品ぐらいかなw




さ~て、次回はアレの予定ですww



●補足

元操演部の友人から補足を頂きました。


「操演部のニッパーは特殊なので補足させておくれ」

操演というのは「操作演技」の略なので爆発や弾着効果もやるけど、メインはピアノ線で役者さんや怪獣や模型やら松村さんやらを吊りあげて操作演技させる部署で。

ニッパはピアノ線を切る為。ビニテは切ったピアノ線の先で演者さんを傷つけないよう保護する為に使う為の必携アイテムなんよ。

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>松村さんやらを吊りあげて …。
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