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余り語られない撮影所のあれこれ  作者: 元東△映助
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余り語られない撮影所のあれこれ(193) 「特撮関係者のイベントあれこれ」

★余り語られない撮影所のあれこれ(193)

「特撮関係者のイベントあれこれ」


●あの人に会えるイベント

昔懐かしい俳優さんや女優さん、そして歌手の方々に会えるイベントが、近年多くなっている様に感じます。

歌謡ショーやサイン会等といった昔ながらの定番イベントもありますし、アイドルの握手会といったような直接芸能人と触れ合えるイベントといった、昔よりも芸能人という存在が身近になったイベントが多くなってきたように感じます。

そんな中でも、特撮関係者のイベントにはなかなかに面白いモノがたくさん存在している様です。

今回は、そんな「特撮関係者」のイベントを中心に様々なイベントの形態を語って行きたいと思います。


尚、例によって情報のほとんどが約35年前です。

今となっては変わっていることや、無くなっていることもあります。

また、記憶の内容が30年の間に美化されたり劣化してしまっているものも存在します。

その点をご理解の上、あらかじめご了承下さい。

そして、ここでの意見は、あくまでも個人的な意見です。

東映をはじめとした各社や映像業界の直接的な意見ではありません。

その点を予めご理解ご了承下さい。


●番組名入りイベント

先ず最初に語って置かねばならない事が、この「番組名入りのイベント」の事です。

過去にその番組に出演していたり、更に主演していたとしても「番組名を使用したイベント」を勝手に行う事は出来ません。

「番組名」を使用する為には、その番組の著作権を持つ制作会社に許可を取る必要があるのです。

更に、「番組名」の使用は制作会社の名称も使用することになります。

当たり前の話ですが、制作会社が主催するイベントであれば、許可取りの必要はありません。

勿論、「番組名」も「制作会社名」も絶対使用してはいけないわけではありません。

制作会社の許可を得たキグルミ等のレンタル使用の場合などは、レンタル使用許可申請の際に「番組名」や「キャラクター名」の使用許可も得る事になります。

とある番組に出演していた役者さん達が「番組名」を肩書きに使用することも可能です。

つまり、一般的に見る「役者名(番組名)」といった構成の使用は可能なのです。

そこには、「制作会社名」や「番組名」や「キャラクター名」を営利目的で使用するか否かが関わってくる訳です。

このようなことから、「制作会社名」や「番組名」を冠した過去の出演者だけのイベントというのは、とても貴重と言えるのです。


●ナパーム爆破イベント

近年、特撮好きのファンの間で騒がれているイベントが「ナパーム爆破イベント」です。

「操演」もしくは「特効」と呼ばれる本職のスタッフ(通称『プリンスさん』こと船越さん)が「ナパーム爆破」を実際に行い、その前で写真撮影を行う事が話題なのです。

イベント企画チーム「セットアップジャパン」が開催したイベント「爆破体験ツアー」が有名で、1枠が3名まで(小学生以下は2名まで無料、人数にカウントされず)35000円で「ナパーム爆破×2発」「セメント爆破×1発」の爆発が楽しめます。

数組の参加者と一緒に、同じ爆破を背に写真撮影を行う事になります。

写真撮影は、基本的に自前で行い、プロにお願いすると別途料金が必要となります。

場所は、「特撮の聖地」と言われる「栃木県岩舟」。

ツアーが発表されると、結婚記念の撮影として利用したり、インバウンドの海外特撮ファンが申し込んだりと特撮ファンに熱狂的に支持されました。

特撮ファンにとっては、一般人ではなかなか体験出来ない「ナパーム爆破」や「セメント爆破」を、特別な用意や訓練が無くても実際に体験出来るという夢の様な稀有なイベントであるだけに、反響が大きかったのだと思われます。

この「爆破体験ツアー」の成功を元に、ドラマ版「ウィングマン」の中でも、実際のイベントとドラマにリンクさせて使用されたりしました。


また、特撮イベンターとして有名な「ショッカーO野」さんが主催となって、スーパー戦隊シリーズ等の特撮番組の監督として有名な竹本昇監督と共に「岩舟」はもとより「昭和特撮の聖地」である「寄居」でも「ナパーム爆破イベント」が開催されています。

特徴としては、竹本昇監督の参加によりスーパー戦隊シリーズの中で使用されたロケ地としての「岩舟」や「寄居」の説明付きという稀有さが有るようです。


私は「ナパーム爆破」も「セメント爆破」も撮影現場で幾度となく見て来ましたし「爆風」や「爆音」を体験して来ましたが、それはあくまでも「スタッフとしての立ち位置」であり、流石に「演者さん達の立ち位置」で「爆風」と「爆音」を体験した事はありません。

今まで何十年もの間、「ナパーム爆破」や「セメント爆破」の僅かな瞬間の為の体験に数万円の価値が付き、需要が見込めるとは思ってもいなかった関係者はたくさん居ると思います。

そこに目を付けた素晴らしさを称賛したいと思います。

私も特撮ファンとして、画面の中だけで観ていた事を体験出来るという良い時代になったなぁと感じています。


●アクションワークショップ

元JACや元JAEであったアクションアクターやアクションアクトレスの方々が開催する「アクションワークショップ」というイベントがあります。

俳優さん達が演技を教えるワークショップや、現役監督が演技指導をするワークショップというのは、過去も現在も数多く見受けられます。

そして、過去には都市部での「アクションワークショップ」というのは開催されていました。

これは、「アクションワークショップ」を主催するチームが所有する道場等を会場として開催されるイベントというのが一般的です。

ですから、地方都市でこの様なイベントを開催しようとすると、指導者をお呼びして会場も借りて開催しなければならず、資金面的にも参加人数的にもなかなか実現が難しいイベントになってしまいます。


しかし近年、そんな地方にまで「アクションワークショップ」が開催される様になっています。

これは、主催者であり出演者・指導者でもあるアクションアクターやアクションアクトレスが、直接地方へ足を運び「アクションワークショップ」を開催するという形のイベントです。

実際、私は先日「高岩成二さん」の「アクションワークショップ」に参加して来ました。

徳島県という立地でありながら年に役1回程の頻度で「アクションワークショップ」を開催して頂いています。

徳島県徳島市では、3年ぶりの開催でした。

本物の元JAC(現・JAE)のアクションアクターでありMr.平成仮面ライダーでもある「高岩成二」さんと、その奥様で同じく元JAC(現・JAE)のアクションアクトレスで、現在「TEAM☆T.A.W.(Takaiwa Action Widen)」代表の高岩利恵(旧姓:村上利恵)さんのお二人にアクションを指導してして貰えるのです。

私は、高岩成二さんとはきちんとお仕事をご一緒した記憶はありませんでした。

しかし、奥様の利恵さんとは幾つかの番組でご一緒できていました。

そして、私も長年親交のある操演技師であり監督である某レジェンドスタッフさんの監督作品に、最近高岩成二さんが出演し、私も徳島に居ながらにその作品にスタッフの端くれとして参加をしたことをきっかけに、どうしても高岩さんにお会いしたいという事もあって「アクションワークショップ」に参加させて頂きました。

私は、撮影所で助監督をしていた時代よりも太ってしまって、なかなか身体を動かすこともなく、「アクション」には不向きだと分かっていたのですが、受講料をお支払いして参加させていただきました。

私自身は、アクションの腕や足の動きの被写体としての意味は理解しているつもりでしたから、間合いの詰め方や腕の振り方、蹴りの方向性とかカメラ位置を意識してアクションをしていましたが、他の受講者の方々はアクションをする事が主体の様でした。

特に子供の参加者達は、中国武術を習っている子供達らしく、身体も柔らかく、挨拶もしっかり出来ていて、何より元気で明るい子供達でした。

大人達は、一部にアクションを元来なさっている御当地ヒーローの関係者の方もいらっしゃいましたが、その方以外はアクションが好きというよりは、ヒーローが好きという印象を受けていました。

それでも太っている方は私くらいで、私以上に手も伸びていましたし脚も上がっていました。

1時間ほどのワークショップが終了する頃には、皆さんの眼は(私を含めて)キラキラと輝き、顔は高揚していました。

膝や腰がガタガタになって、歳でしょうか翌々日になって筋肉痛に襲われていました。

それでも、内容はとても楽しく、教えて頂いたという感覚もある有意義な時間でした。

皆さんも機会があれば、どなたのアクションワークショップでも構いませんのでぜひ参加してみてください。

アクションを学びたい方は勿論、日頃身体を動かしていない方にとっても、十分楽しめるイベントだと思います。


●トークショー

一般的に多いのが、この「トークショー」のイベントです。

多くの場合、特撮番組に出演していた俳優さんや女優さん、また監督などのスタッフをメインにしての「トークショー」というのが一般的で、出演されたり関わられたりした作品の裏話であったり苦労話などのエピソードが語られるイベントとなっています。

「トークゲスト」と呼ばれる出演者と司会者によって構成されるのが一般的ですが、時には司会者自身がメインテーマとなる作品の出演者であったりスタッフであったりする場合もあり、その場合は一般的な司会者が進めるトークショーよりも面白くなる場合が多いのですが、その分、進行役としては機能しない可能性も秘めていたりします。

このことから、司会者役を別に置きながら「トークゲスト」の「聞き手役」として作品の出演者やスタッフなどの関係者を置いたり、作品自体の関係者では無いもののその作品の事や周囲の事を少しでも知っている人間を置いたりして進行する「セッション形式」の「トークショー」が開かれる場合もあります。


勿論、「トークゲスト」も一人とは限りません。

複数人の「トークゲスト」を有するイベントも存在します。

中には複数の作品の出演者やスタッフが一同に介するイベントというものも存在します。

基本的に「トークゲスト」が多い程に観客も多く、参加費も高くなったりしますが、「トークゲスト」がビッグネームであれば単独出演でも観客が多く、参加費も高くなったりもします。


一般的には出演者が高齢だったり、アクションや歌とは無縁であったりすると「トークショー」や「トークイベント」となる事が多いのですが、中には「トークショー」と「歌謡ショー」や「トークショー」と「アクションショー」を組み合わせたイベントというのも存在します。


●ライブイベント

「ライブイベント」と言っても様々な形態があります。

「歌唱ショー」「アクションショー」「ライブビューイング」「上映イベント」などなど、観客の目の前で繰り広げられるイベントの総省が「ライブイベント」なのですが、そう言ってしまえば「トークショー」も「ライブイベント」になってしまいます。

そういった意味で、この「ライブイベント」は「歌唱ライブイベント」を取り扱います。


さて、特撮関係のオープニングやエンディング曲を歌われていた方々は、往々にしてアニメ関係のオープニング曲やエンディング曲を歌われている方と重なりますが、それだけにコアなファンが多く、「ライブイベント」を開催すると一定数の観客が参加されます。

大半は首都圏での「歌唱ライブイベント」なのですが、大都市圏に拡大してイベントを行う場合もあります。

また、特撮番組の出演者と共に「歌唱ライブイベント」と「トークイベント」を組み合わせてイベントを行う場合もあります。

中には、特撮番組の出演者が劇中で挿入歌として歌唱している所謂「持ち歌」を披露してくれる場合もあります。


「ライブイベント」の中でも「特撮」や「アニメ」の曲の「歌唱ショー」は特に盛り上がります。

それは、聞き馴染んだ曲が「生歌」で聞こえることだけでなく、その歌詞の内容がその場を盛り上げるに十分過ぎる「特撮番組」の曲や「アニメ作品」の曲であったりするからに他なりません。


●ヒーローショー

子供の頃から現在まで続いている「ヒーローショー」も立派な「イベント」です。

というよりも、寧ろ「特撮のイベント」の代表格として「ヒーローショー」は切っても切れないイベントなのです。

昔は、デパートの屋上や大きなイベント会場のステージで行われる子供向けの集客イベントとして定番なものでした。

「ヒーローショー」の基本は「アクションイベント」です。

ヒーローとなるスーツや着ぐるみと、悪役となるスーツや着ぐるみがアクションをします。

そこにストーリーを持ち込み、「ヒーローショー」らしさを演出します。

このヒーローが、テレビで観ているヒーローであれば、そのスーツや着ぐるみをヒーロー番組の製作会社や制作会社から委託された会社から借り受けます。

その借り受けの際にヒーロー番組の名称の使用権も併せて契約書を交わします。

まあ、費用も掛かる事ですから、メインとなるヒーロースーツや着ぐるみは借用しても悪役は自前のスーツや着ぐるみで代用する場合もあります。

メインのヒーロースーツや着ぐるみと悪役のスーツや着ぐるみだけを借りて戦闘員や悪役幹部は適当という「ヒーローショー」もありました。


御当地ヒーローショーも立派な特撮関係の「ヒーローショー」イベントです。

御当地ヒーローの場合は、当たり前の事ですが制作会社の許諾を受けなくともスーツや着ぐるみを使用出来ます。

そして、地元としての地方でのイベントが中心というのもあり、大都市圏に拠点を置くイベント会社とは違い大きな交通費も上乗せされません。

また、集客力という点ではテレビのヒーロー番組とは違いがあるものの、比較的安価に出演を頼める事から、出演依頼をするスポンサーとしても地元のイベントには比較的頻繁に出演依頼する事が多い事も御当地ヒーローショーの特徴となっています。


近年では「ヒーローショー」にも変化が見られる様になって来ました。

「アクションショー」としての「ヒーローショー」が減り、「撮影会」や「握手会」といった「ヒーローショー」が増えています。

これは、「ヒーローショー」のメインであるヒーローのスーツや着ぐるみさえあれば開催できますし、適役等の多人数での出演者も必要ありません。

また、「アクションショー」のようなアクションの練習やストーリー、段取りなどを準備する手間が省けますし、アクションの心得のない者であってもスーツや着ぐるみを着用してヒーローを演じることができますから、出演者としても人選に幅ができるメリットもあります。

更に、大きな会場のスペースがなくとも開催できるといったメリットもあります。

このようなことから、出演者の人数やスタッフの人数が最小限にできる人件費が抑えることができますし、ヒーローのスーツや着ぐるみのレンタル代金の削減、また会場費の削減、更に会場に機材や人員を運ぶための運搬費や交通費などの経費も削減できます。

これらは、スポンサー側にしてみても集客要素であるテレビ番組のヒーローによる「ヒーローショー」を安価に呼べることになりますので、イベントを企画する会社としても今まで呼ばれることもなかったような会場からも出演依頼を得ることが出来るというような状況が作れるというメリットもあるようです。


●ゲスト

イベントには「集客を図る」という目的もある以上、様々な「ゲスト」が用意されます。

中には「シークレットゲスト」という方も存在しますが、基本的には「こんな稀有なゲストが出演予定です」という「ゲスト」を前面に出して集客を図る場合が一般的です。

「上映イベント」で出演者や監督やスタッフが「ゲスト」として呼ばれたり、その「ゲスト」に「トークイベント」のようなイベントを付加したり、そこまではいかなくとも短い時間のコメントなどを頂いたりといった付加を得て、イベントしての集客を図る場合もあるのです。


中には、既に一線を退いた俳優や女優さんを「ゲスト」に招いたり、既に現役を引退して一般人になっているかつての出演者やスタッフを「ゲスト」に招いたりして「稀有なイベント」感を打ち出すイベントも存在します。

また、そのような一線を退いたり現役を引退した「ゲスト」本人がイベントを主催するという例もあります。


しかし、どんなに過去の出演者を集めてスタッフを集めても、それだけでは「作品名」を看板に掲げることはできません。

つまり、「作品名」を冠したイベントというのは、実は「稀有なゲスト」以上に「稀有なイベント」足りえるのです。


●あとがき

惜しい事に大都市では様々なイベントが開催されますが、地方ではなかなか魅力的なイベントが開催され難いという特徴があります。

人口として大きな大都市では「集客率」が高くなることは自明の理ではあります。

イベントもボランティアという場合はありますが、殆どは営利です。

つまりは「利益」が出てはじめて「イベント」としてして存在意義を得るのが本来の姿なのです。

その為にも「ゲスト」や「演出」といった「イベントの内容」と、その周知としての「ネームバリューとしての看板」や「宣伝」、そして「費用の削減」などといった点の考察が必要となってきます。

そういった意味からも「地方」でのイベントには「リスク」が伴います。

しかし、その「リスク」という一般論にこそ「新たな活路」を見出す方々もいらっしゃるのもまた真実です。


そして、「イベンター」と呼ばれる「イベント企画者」や「イベント企画会社」は、いつでも「新たな」「魅力的な」企画を考えだそうとしています。

SNSの時代になっている現代、魅力的な「イベント」の発信は、拡散され「行きたい」と思える「イベント」になっている時代でもあると思います。


世の中には様々な「イベント」が存在します。

製作会社である「公式」が主催する「イベント」から、手作り感満載の「イベント」まで多種多様な形態があります。

しかし、こんなに「イベント」が多様に存在する時代自体が「恵まれた時代」であるということを皆さんには分かって欲しいと思っています。

情報社会となった現代において「イベント情報」を多く得ることができるようになったことも、昔は少なかった「イベント」が現在で多岐に存在出来て来た要因のひとつかもしれません。


皆さんも現在のような恵まれた情報社会から得られる「楽しそう」と感じる「イベント」に、経済的に許される範囲で参加されることをお勧めします。

それは「同好の士」を見つけられたりする機会かもしれません。

そして、そんな「同好の士」の存在は、更に「イベント」を楽しくしてくれると思います。

どうか、そんな様々な「稀有なイベント」を楽しんで頂きたいと思います。

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