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鳥節(カツオブシモドキ)実験

今回は完全に作品タイトルから外れたことを実施。

 穀物だけでは無く、動物性食品も1度やってみたかった。

 鰹節や金華火腿など、メインで活動する菌種がA.oryzaeで無いことは承知しているが、今回行うのはA.oryzaeでどこまで行けるのかというものであり、あくまでもモドキとなる。

 ただ申し訳ないことに、自身も半信半疑での挑戦だったので、ほとんど写真を残していない。


 材料としては、

①鶏むね肉 - 皮を剥いだ時点での重量1010g

②種麴   - プロテアーゼ生成に優れるとする豆麴用

③こうせん - 種麴の均一撒布目的

を用いた。



 前日時点。

 肉類を扱う上で問題となるのが、とにかく水分量が多いという点。

 日本食品標準成分表では、鶏むね肉の75%が水分とされ、通常の米麴製麴からはかけ離れた数値にあたる。

 一応茹で大豆を用いる豆麴の類なら似たような数値ではあるものの、ほぼ大きさと形が揃っている穀物と肉では、同じ要領でとはいかないだろう。

 今回はある程度の大きさにカット後、茹で上げ、一日扇風機に当てて乾燥させるものとした。


 0日目時点。

 1010gだった鶏むね肉であるが、処理後の重量は560gとそれなりに減りはしたようだ。

 計算上の水分量は55%程度だろうか。

 鰹節であれば何日もかけて熱乾燥を繰り返し、26%程度まで下げるようであるが、それはカワキコウジカビを接種できるからこそであり、通常のコウジカビの成育は困難である。

 もっと乾燥させるべきと思わなくもなかったが、この時点で種切りを実施。

 鍋の中に網を敷き、その上に肉を置き、とりあえずの室とした。



 2日間経過。

 鍋の蓋には水滴がびっしり付いており、こうした余分な水分は今後も拭き取っていくものとする。

 まだ視覚的にははっきりしないものの、結構な発熱が起きていることが感じられる。


 3日間経過。

 当初は布でくるんでいた細かい肉の方では、ほぼ完全に白花が咲き、大きめの塊の方でも順調そうである。



 8日間経過。

 いきなり飛びすぎだろうものの、やったことと言えば蓋の水分を拭き取る程度しか無かった。

 そうした発熱もかなり収まってきたことが感じられ、この日に一応の完成とした。

挿絵(By みてみん)

 白あるいは緑色が付いている部分は、順調にコウジカビが成育できたことを示す。

 それが見られない黒っぽい部分、これは肉同士が重なったような状態で長時間あった場合に多く、細かい肉の方に集中、乾燥が進み匂いは無いものの、触った感触は納豆系の粘りであった。


 断面図はこちら。

挿絵(By みてみん)

 黒っぽくなっているのは乾燥が進んだ徴であり、コウジカビの花付きが良いほどその傾向がある。

 ただ限界もあるようで、大きめにカットしてあった肉に関しては、色の違いがはっきり分かれることとなった。

 通常のコウジカビが肉から水を吸い上げられる範囲としては、3~4mm程度が限度となるだろうか?


 最終的な重量としては368gであり、計算上の水分量は31%ほどとなる。

 ただ肉の厚みの影響が大きく、厚いのは35%、薄いのは27%みたいな差がありそうでもあり、ちゃんと記録を残しておかなかったのが悔やまれる。



 とまぁそんなことより重要なのは味の方である。

 最初は薄めにカットして茄子と一緒に蒸し上げたもの。

 旨味というかは……よく分からない。

 ただでさえ脂の少ない鶏むね肉からさらに脂を除くような作り方、干し肉レベルまで乾燥を進めているせいで、食感はひどいとしか言いようが無い。


 次いで出汁を引いてみる。

 こちらは厚削り節の要領を参考としつつ、倍量を煮てみたのであるが、これがなかなか美味しいではないか。

 汁は濁っており見てくれは悪いものの、少し醤油を垂らせば味は悪くないお吸い物といった風である。

 出汁殻となった肉に関しては、煮ただけあって味も何も無かったのだが、水分を取り戻したことで最低限食感は悪くないものとなった。

 塩こしょうやごま油と合わせればまぁ小鉢程度にはならなくもない。



 今後の改善点を考えるとすれば、まず肉と肉が接しないようにすること。

 乾燥に従い成育限界になったとは思うものの、ある程度納豆菌が繁殖していた様子が窺えた。

 肉をカットする厚みとしては1cm程度が適当だろうか、このあたりは乾燥後にどうなるか、という部分であり確たることは言えそうにない。

 最初の乾燥度合いを強めていき、水分量をさらに落とした状態から始めたならば、さらに容易に、安定して操作が出来るものかと思われる。

金華火腿は2ヶ月の塩蔵を行った後カビ付けするという。

興味深くはあるものの、塩分が絡んだ状況での製麴操作は流石に無理かとも感じ、多分やらない。

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