聖ルシア教会
「おめぇらなぁ……。」
俺とルシウスはジークの指示により、硬い瓦礫の上で正座させられていた。
「ジークさん!!これには深い訳が!!」
「そうだぞ!!あの馬鹿巫女が!!」
「この期に及んで言い訳かぁ!!」
「「うぐぅ!!」」
防衛隊長ジークベルト。
得意な魔法、重力操作。
地点だけでなく、人間個人に対しても使用出来る。
「てめぇら俺を怒らせる度1Gずつ重くしてやるからな!!」
絶対に怒らせちゃいけない人を怒らせたようだ。
全身に既に2Gかかっており、正座させられている地面が凸凹なので脛が非常に痛い。
昔の拷問のようだ。
あとルシウス、お前鎧着てんのずるくねぇか?
足具のおかげで大したことねぇだろう。
「あ、あの、防衛隊長殿……。」
「おお、ブルとランスじゃねぇか。お前らは一部始終を見てたんだよな?ちょっと話聞かせろ。」
先程までの鬼の形相とはうってかわり、いつもの面倒臭そうな表情で2人を連れてジークは離れていく。
「お、俺達は……?」
「てめぇらは暫くそこで大人しくしてろ。」
そう言って部下の1人を手招きし、俺達の見張りに置いた。
「くっそ、あの馬鹿巫女のせいで。」
「一成さんが加減もなく全力出すから私も力を使わざるを得なかったんですよ!?」
「俺のせいにしてんじゃねぇよ!!」
「隊長ー。」
見張りが力無くジークを呼ぶと、後ろを向いたままジークが指を鳴らす。
それと同時に俺達の体にかかる重力がまた増える。
「うぐぉ!!」
「な、何もしてないじゃないですか!!」
ルシウスが意見したと同時にまた指を鳴らされ、重くなる。
「ば、馬鹿ルシウス!!抵抗するな!!」
「そ、そうですね。ここは何も喋らないのが正解だった……。」
最早俺達は重力がかかりすぎて土下座になりかけている。
両の手を地面に付けないと体勢を保つことが出来ない。
首を前に傾けることすら辛いので、ジーク達が話している様子は見えなかった。
「全くてめぇら。俺の仕事を無駄に増やしやがって……。」
そう言って話し終えたジークがこちらに歩いてくる音が聞こえる。
もうそろそろ耐えるのがきつくなってきたので解除して欲しい。
「はぁ……。」
ため息をつきながら気だるそうにジークが手を叩くと、俺達を襲っていた重力は瞬時に解け、一気に体が軽くなる。
俺とルシウスは一気に疲労感に襲われ、地面に崩れ落ちた。
「誰が足崩していいって言った!!」
「「はいぃ!!」」
最早軍隊である。
いや、軍隊だったわ。
直ぐさま崩れた体勢を正座に戻し、重力が無くなった分、背筋を正してジークを見る。
「一成。お前のやった事は国家反逆罪に匹敵する大罪だ。これから帝国の詰所まで連れていく。だが、俺個人としては、黙認されてきたお上様による犯罪にメスを入れてくれた事は感謝してる。」
「ジークさん。それを隊長が口にするのはあまり宜しくないかと。」
ルシウスが反論すると、ジークはルシウスに睨みを利かせ答える。
「確かにその通りだが、お前が一成に対してあの場で行った行為は隊長として相応しかったか?」
「うっ……。」
「ハッキリ言ってお前の実力ならここまでの被害を出さなくても全員制圧できたはずだ。それでもお前が一成に固執したのは……まぁ、おおよそ検討は着く。結果的に被害規模は大きくなったが、容疑者は確保し死人は0だ。お前が一成の力に合わせて、全く同じ力で返したからだろう?」
「はい。そうです。」
建物が吹き飛ぶほどの破壊があって死人が一人もいないのか。
俺の疑問が顔に出たのか、ジークは解説してくれた。
「お前らの同等の力がぶつかった時、行き場を失った力は今回の場合上方向へ集約した。そのおかげで建物だけが崩れ、人には影響が出なかったんだよ。」
「ルシウスお前、そこまで計算して……?」
「当たり前ですよ。中にまだ人は残っておりましたし、ソールもレインさんも遠くない位置にいました。」
何も考えず全力をぶちかました俺とは違って、あの状況でも冷静だったのかこいつは。
今回ばかりは己の自分勝手さに自責の念を抱く。
「まぁ一成もだが、アーデルハイトもこれから裁判にかけられる。実質的にお前らの目的は果たせたわけだ。」
「そうなのか?」
「当然だ。地下に居たであろう女達が、口を揃えて拉致監禁されたと俺達の聴取に答えてるからな。そしてお前らの狙い通り、マーリンとレインの件は現行犯だ。言い逃れはできん。地下を本格的に調べるのはこれからだが、もう既に殺人の証拠も上がってる。」
「んじゃあアーデルハイトは死刑か?」
「いや、まだわからん。帝国貴族クラスを裁けるのはアイツらしか居ない。そしてその裁判は世界で1番公平で平等なもんだ。」
「アイツらってのは?」
「聖ルシア教会。世界最大の宗教団体であり、帝国内の重大な裁判を全て執り行う組織だ。今回もそうだろうな。」
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