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帝都からの指示

「領主様!!侵入者です!!」


「ふわぁ……。私の朝の貴重な睡眠を邪魔するとは……。すぐに首だけ持ってこい……。」


「それが恐ろしく強い2人組でして……。」


「良いからやれ。私はもう少し寝る。」


 領主が両脇の女と共にまた二度寝をしようとした瞬間、ドカンという轟音と共に屋敷が揺れる。


「な、何だ!?」


「奴ら手当り次第屋敷を破壊しているようでして……。」


「も、目的は何だ!!」


「それが……。」




「トロッコを使わせろー!!ついでにドワーフの待遇良くしろー。」


「人権解放をついでに言うの聞いたことないですけどね。」


 俺とルシウスは屋敷にいる近衛兵を倒しながら、片っ端から部屋を開けて柱を壊し続けた。


「早く要求に答えないと屋敷が崩れるぞー?」


「ほんと、屋敷が崩れるのが先か、領主が出てくるのが先かってとこですね。これだけ破壊したらもう屋敷はもたないと思いますが。」


「てか何で柱壊してんの?」


「一成さんがそうした方が手っ取り早いって言うからやってるんでしょうが!!記憶失ったんですか!?」


 俺達がそんな言い合いをしていると、奥からドタドタと走ってくる音が聞こえ、正面の扉が勢いよく開いた。


「貴様ら何が目的だ!!」


「トロッコの使用。」


「ついでにドワーフの人権解放です。」


 どうやらこの小太りな寝間着姿の男が領主らしい。

 後ろにいかにもな近衛兵2人連れてるからな。


「と、トロッコ程度使わせてやる!!だからもう屋敷を壊すのをやめてくれ!!」


「ドワーフの人権解放がまだですが?」


「そ、それは認められん!!」


「一成さん、多分この柱が折れると屋敷崩れますよね?」


 ルシウスは屋敷の中央にある大きな柱を指さしている。

 その柱に俺がもたれかかると、絶妙なバランスを保って辛うじて立っていた柱がミシミシと嫌な音を立て始めた。


「俺がうっかりもうちょっと力を込めると折れちゃいそうだな。」


「よ、よせ!!この屋敷はドワーフ共に作らせた私の誇りなのだ!!」


「自分が力を借りた人間達を虐げていたとは笑えますね。」


 領主は俺とルシウスの様子を見て慌てふためき、必死に頭を下げて謝っている。


「俺もルシウスも別に謝罪はいらねぇんだよ。必要なのは誠意だけだ。」


 俺は柱に少しづつゆっくりと力を加える。

 今度は柱だけでなく屋敷全体がミシミシと音を立て始め、今にも崩れそうだ。


「分かった!!お前達の要求は全て飲む!!だから勘弁してくれ!!」


 その言葉を聞き俺は柱から離れ、ルシウスが逆側から少し力を加えて斜めっていた柱を元に戻した。


「俺達暫くこの辺に居るだろうから、この街の知り合いに何かあったら知らせるよう言っとくわ。」


「そうですね。それではもうここに用は無いので退散しますか。」


 そして俺とルシウスは領主の屋敷を後にした。




「……帝都に報告しておけ。」


「宜しいのですか?ドワーフの力を弱めるのは帝都からの指示だったはずでは?」


「奴らがドワーフ領を出た後にまた追い込めば良い。お前達は気付いていなかっただろうが、奴らは剣聖と転生者だ。私達程度が勝てるレベルの人間では無い。」


「剣聖と転生者!?という事は巫女の旅が始まったという事ですか?」


「帝都からの知らせは来ていないがそういう事だろう。今は大人しく従っておけ。」

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