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何でもない時間

「ほいっと。これで粗方片付いたか?」


 魔物や動物達は魔力に引かれて集まってくる。

 なので人間の中でも一際魔力の強い4人が集まると、道中は常に戦いだ。

 とは言ってもこの辺りで出るのは精々ゴブリンやウルフ程度であり、ウルフなどの動物は食料に、亜人系の魔物は持ち物で使えそうな物があれば回収し、それ以外を意図的に固めて放置することで他の魔物がビビって近付いて来ないようにする。

 軍が長距離移動する時、無駄な体力を使わないようにする工夫のようだ。

 それでも強力な魔物は普通に襲ってくるが、大半は俺かルシウスどちらか1人で片付く。


「大分進んだので今日中に最初の村までは着けそうですね。」


 帝都を早朝に出て半日、少し日が傾いている。

 その間ずっと歩くか戦うかしているが、タバコで魔力を補給しているからか不思議とあまり疲れてはいない。

 だがレインとソールはそういう訳でもないようで、段々と呼吸が荒くなっているのが分かる。


「少し休むか?」


「大丈夫よ。もう覚悟は決まってるわ。」


 何度かソールに声をかけたが、大丈夫の一点張り。

 ルシウスも心配そうに見てはいるものの、当人が大丈夫と言うなら強く進言出来ないようだ。

 俺と少しだが旅をしたことがあるレインは、ソールよりも少し余裕がありそうだが流石に疲れが出始めている。


「あ、あの、少し休みませんか?」


 多分ソールを気遣ってのことだろう。

 レインが俺達に提案してきた。


「ダメよ。早く行かないと……。」


「ソール、休みましょう。」


「アタシに気を使ってるなら結構よ。」


 疲れと緊張、空腹で気が立っている。

 レインにまで強い口調になっているのに気付いていないな。


「その割には随分余裕が無さそうだな。」


「何ですって!?」


「いいから座れ。」


 レインの隣に無理矢理ソールを座らせたあと、俺はゴブリンたちが持っていた木の棒や木材をかき集めてそれに火をつける。

 その間にルシウスがウルフを手際良く捌き、太い骨に着いている肉をそのまま炙って簡単な昼食を作る。

 肉が焼けるまで待っていると次第にソールの苛立ちは落ち着き、文句は言いながらも大人しく座っていた。


「ほれ、レインに食われる前に腹に入れちまえ。」


「私、人の物まで食べたりしません!!」


「ふふっ……ありがとう。」


 最初にぶつくさと文句を言っていたソールも少し笑顔を取り戻し、目の前に差し出された魔物の肉を1口頬張る。


「お、美味しい……。」


「大した味付けもしてねぇけどな。空腹の時に食う飯ほど美味いもんは無いだろ?」


「ほんと、美味しいですね!!」


「レインさん、それまだ生焼けっす……。」


 それにまたソールの笑顔がこぼれる。

 そしていつものようにレインの世話を焼くソールに戻っていった。


「こういう何でもない時間ってのが旅の醍醐味みたいなもんだろう。先を急ぐのは悪い事じゃないが、いつ死に目に合うかも分からないんだ。楽しみながら旅していこうぜ。」


「……そうね。ごめんなさい。」


「私や一成さんには分からない疲れ等もあるでしょうからいつでも声をかけてくださいね。」


 ルシウスの発言に全員が頷き、暫く休んだ後あらためて俺達は歩き出した。


 それから更に日が傾き、夕刻。


「最初の村が見えてきましたね。」


「おお、あそこか。……煙が上がってるな。祭りかなんかやってるのか?」


「……そんなわけが無いですね。これは、普通じゃないと思いますよ。」


 さっきまで冷静だったルシウスが目の色を変え、1人足早に村へ向かう。

 後ろで見ていたソールとレインもそのあとを追うように歩幅を広げた。


「ラック!!お前はルシウスの後を追え!!」


「了解っす!!」


 ラックを先に行かせ、俺は後ろの2人を置いていかないように2人に合わせて走った。

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