第七話 システム メッセージ
ステータスが無双というには足りないって?
そんな時の為のご都合主義タグさ!_(:3」 ∠)_
あとタイトル変更しました。RPGゲームってなんだよってことで。
結論から言おう。この身体、やはり化け物である。
いざ走り始めると走ると馬の方が先に疲れて休憩が必要という嘘みたいな結果になった。
利家くんは馬を休めながら呆然としている。
「馬より速く走って疲れぬとは、一体全体どんな身体をしているのだ…?」
「いや、疲れてはいるよ?」
だってステータス上はちゃんと気力が減ってるしね。走り終わった時点での気力はちゃんと減って50/80になっていた。
〜ステータス〜
名前:柳信晃
レベル:9 (77/900)
所属:無所属
職業:なし
称号:急成長
状態:健康
体力:80/80
気力:50/80
妖力:-
力 :30(26+4)
頑強:24(19+5)
敏捷:18(16+2)
器用:22(17+5)
知力:21
精神:17
幸運:16(15+1)
忠誠:-
技術:剣術(全般)、急所突き、投石、解体
馬が駆け足で走り続けられる距離は大体15kmくらいと漫画で読んだことがある。
時計を見ると走り出してから30分くらいだから、30km/hで走って気力30消費、と。つまりこの速度なら約2時間半で80kmの距離を走り続けられることになる。
しかも今後レベルが上がる毎に気力も敏捷も上がって行く。そのうち走って1日で本州縦断とかできる身体になりそうだ。
ちなみに気力の回復度合いが知りたくて馬のステータスを見ようとしたけど、家畜化されてても動物は一律でどういう動物か、つまり"織田家所有の馬"くらいしか情報が出なかった。
うーん、そこまで万能ではなかったか…
となると、馬の状態は素人の俺よりも利家くんの方がよく分かっているわけで。
「と…前田殿、馬の様子はいかがかな?」
「うむ、先ほどまでの速さは出ないと思うが…もう一踏ん張り頼むぞ?」
ポンポンと馬を叩くと了解とでも言うように鼻を鳴らした。
今度は馬の速足程度の速度(15km/h)で走りながら気になっていた事を聞く。
「そういえば俺たちは馬がバテるくらいの速度で走ってきたけど、市たちには追いつかなかったな。あっちも相当無理しているわけ?」
「いや、勝三郎殿が乗ってきた馬は三郎様の遠駆け用の馬だ。普通の馬の倍ほど走れるやつよ」
「そんなに違うのか?」
「見てわからなかったのか?あれ程遠駆けに適した美しい馬はおるまいて。今回勝三郎殿に貸し与えたのだって、余程お市様に早く会いたかったらしい。ともすれば三郎様自ら来られようとしていたのかもな」
「一国の主が妹の為に単騎駆けはダメだろう」
「そんなことは皆心得ておるわ。だからこその勝三郎殿で、あの馬なのだ」
そんな事を話しながら走っていると、突如頭の中に聞き慣れない声が響いてくる。
『クエスト「織田家の姫を救え」を達成しました。経験値と報酬を手に入れます。報酬はステータスの道具タブから確認してください。これにより道具タブ、クエストタブが解禁されました』
「ぐっ」
「おい、どうした!?」
その声と共に急激に体が重くなり、思わずよろける。
この感じ、最初の急激なレベルアップと同じだ…!あの時ほどではないが急激なレベルアップをしたのだろう。
俺は慌ててステータスを確認する。
〜ステータス〜
名前:柳藤十郎信晃
レベル:13 (877/1300) ↑4
年齢:20
所属:無所属
職業:なし
称号:急成長
状態:健康
体力:80/120 ↑40
気力:80/120 ↑40
妖力:-
力 :41(37+4) ↑11
頑強:34(29+5) ↑10
敏捷:30(28+2) ↑12
器用:32(27+5) ↑10
知力:31 ↑10
精神:29 ↑12
幸運:25(24+1) ↑9
忠誠:-
技術:剣術(全般)、急所突き、投石、解体
称号:織田家の姫の救世主
備考:織田家の姫の窮地を救った者の証。織田家の人間からの友好度が上がりやすくなる
〜道具〜
へし切り長谷部 ×1
この必要経験値で一気に4もレベルアップって、こないだの山賊や動物に比べて設定おかしいだろ!
それとも急成長の効果が乗っているのか?
そしてステータスの伸び率がヤバい。もう素の頑強がほぼフル装備の利家くんを超えてしまっている。結局攻撃力と頑強の関係性はわかっていないけど、これ本気で殴ったら鎧ごと爆散とかないよね?今度こそトラウマになって立ち直れなさそうである。
新しく道具タブを見るとゲームのアイテムボックスのように複数のマスがあり、一振りの刀が表示されていた。
これをタップしたら出てくるのかな?でも突然虚空から剣が現れたら怪しいどころの騒ぎじゃないぞ。あとで一人の時にでも開けよう…
「おい、柳殿!藤十郎!大丈夫かと聞いているのだ!?」
考え込んでいた俺の肩を利家くんが揺さぶってくる。わざわさ馬から降りてきたのか、この子、いい子だなぁ。と、いかんいかん、感傷に浸っている場合じゃなかった。
「あ、あぁすまん前田殿。大丈夫だ。立ち眩みのようだ」
そう言うと利家くんはホッとした顔をする。
「ならば良い。まったく、実は無理をしていたのか?」
「いや、走ることに関して問題ない。いきなり虫の知らせがしてな。どうやら市が清洲城に到着したらしいな」
「何?貴殿は占術の類が使えるのか?」
俺がシステムメッセージ?の情報を伝えると利家くんは驚愕の表情をする。
「いや、そんな技術は持ち合わせていない。ただ何となくそんな気がしただけだ」
そう言うと利家くんはなんとも言えないといった顔をする。ちょっと苦しい言い訳だったかな?
「……つくづく貴殿は不思議な男よの。神隠しにあい、現界したらお市様の窮地を救い、あのお市様があれほど懐く。その上尋常ではない身体を持ち、神通力でお市様の状況を見通す。実は神仏か妖の類ではあるまいな?」
なんかとんでもないことを言い始めたぞ。人間離れした身体になってきたことは否めないが、まだ人間をやめた覚えはありません!
「俺は人間だよ。と言うか神仏と妖を同列に語ったら罰があたりそうだな?」
「ははっ、それもそうか。神罰仏罰は御勘弁頂きたい」
そう和やかに会話を締めると一路清洲城を目指して駆け続けるのだった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「これが清洲城か。立派な平城だな!」
目の前には三の丸まである立派な城郭を備えた城がそびえ立っていた。現代の清洲城は再現城だし、令和のご時世城郭なんてどこも残ってないからな。
歴史を重ねた城の雰囲気もいいけど、建物はやっぱり使われてなんぼだな。この雰囲気はこの時代でないと体感できないなぁ。
「そうだろう?あの城は三郎様自ら改修に携わり、その天守は三重、その屋根は千鳥破風と向唐破風を取り入れており…」
やべぇなんかスイッチ入った。
いや俺も城は好きだからそのご高説賜りたいんだけど、今は市を待たせてるからな。
「前田殿、その話は後でじっくりしよう。今は城に向かうのが先だろ?」
「む、それもそうだな」
あからさまに残念そうな顔をする利家くんに思わず笑いが出てしまう。
「前田殿は城が好きなんだな」
「それはもちろん!いつかは己の城を持ちたいと思うのは男子たる者当然のことだ!」
うぉぉ、目がキラッキラッに輝いてる。
「いつか己の城を建てる時のために城のことを学ぶのは楽しくてな!戦術や算術もその為と思えば苦にならん!」
あー、何か前田利家が算術が得意ってのはこういう背景があったのね。
しかし背が高くて、強くて、頭が良くて、イケメンとか天は何物も与えすぎィ!クッソ悔しくない、悔しくなんてないんだからな!
結局キラキラした目の利家くんの話を聞いているうちに大手門についた。
「前田又左衛門利家である。織田家の客人を連れて参った」
利家くんが番所に近付きそう言うと脇門から入っていくので、俺もそれに続く。
話を聞いていると三の丸に利家くんの家があるらしい。15歳にして家持ち。くっ、ここに来て更に優位性を積み上げるだと…?もうやめて俺のライフはゼロよ!
しばらくすると長屋の集まる一角に着いた。この中の一軒が利家くんの家らしい。
「又左衛門様!おかえりなさい!」
家に着いた途端に中から女の子が出てくる。年頃は市と同じくらいか?
「あぁ、まつ。ただ今戻ったぞ」
なん…だと…?まつといえば前田利家の正妻じゃないか!それがこの年から同棲しているだと…?
ふっ、利家くん、いや利家さん。あなたは俺より遥か高みにいるようです。
そんな敗北感に打ちひしがれている俺に対し、利家くんは優しく言葉をかけてくる
「さて、三郎様に謁見する前に身形を整えねばな。お市様に身綺麗になれと言っておいて、自身が野人では道理が通らんだろう?俺とまつで世話をしてやるから俺の家までついてくるといい」
そう言ってニカッと爽やかスマイルを決めて家に入っていくイケメンに俺は肩を落としてついていくのだった。
作中の清洲城のデザインは作者の予想と趣味で作られたフィクションです。
しかし物語の進みが遅くて申し訳ない。まだ第一部だから色々と説明臭い話が多くなってしまいました…。
第一部はあと1〜2話で終わらせる予定です。
急激に伸び始めたブックマークと評価の数に感動しております。
他の書き手の方たちが喜んでいた気持ちがわかりました。ありがとうございます<(_ _)>
今後とも本作品をよろしくお願い致します!




