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第四話 いのち の おもみ 2

急遽会社が休みになったので連投です。


前回人里に出ると言ったな!

出ませんでした_(:3」 ∠)_

悲鳴のした方向に駆けていくとすぐに着物姿の女の子と複数の落武者のような男たちの姿が見えた。


「こ、来ないで!」


「ひゃっひゃっひゃっ、こんなところに一人でいちゃあいかんなぁ、じょうちゃん」


「そうそう、悪ーい男にすぐに拐かされちまうぜ?」


「なぁに、ちょっとオラたちを楽しませてくれれば村に返してやるべ」


………うん、見た目からしてそうだろうなぁと思ったけど、わっかりやすく悪役だな!

ていうか後ろ姿からしてまだ女の子の年齢一桁だろ?

最後のすきっ歯野郎、貴様、ロリコンだな!


どうする?


こういう時には助けに入るのがテンプレなんだけど、相手は3人を

敵の持つ武器は見間違えるまでもなく刃物。しかも槍までいる。

片やこっちは木の棒だ。


普通に考えれば逃げ一択なんだが、見つけてしまった以上女の子を見捨てるのは後味が悪すぎる。


幸いにしてステータスの恩恵でちょっと(・・・・)人間離れした身体能力を俺は持っている。


奇襲で1人倒して、混乱に乗じて女の子を抱えて逃げれば行けると踏んだ俺は音を立てないように槍男の後ろに回り込む。


そこまで行くと女の子の顔が見えた。




は………?




めっっっちゃ美人じゃん!




思わず頭が真っ白になってしまった。

いや待て俺はロリコンではない!俺のストライクゾーンは±3歳!妹より年下は射程外なのだ!


そう、射程がい…いやホント可愛いな!

うん、ロリコンではないが可愛いことは間違いない。


この子が可愛いということはお姉様がいれば絶対に超絶美人に違いない!


これは一刻も早く助けてお姉様を紹介して頂かなければ!


そうと決まればいざ行動!柳、いっきまーす!






〜side 少女〜


しくじった…!


兄上の鷹狩にご無理を言ってついて来て、ちょっとした冒険をしてみたいと思ったのが間違いだった!


まさかこんな近くに賊がいるとは!


必死に逃げたが所詮は子どもと大人。

足場の悪い森の中ということもあって妾は足を取られ、すぐに追いつかれてしまった。


護衛は撒いてきてしまったし、妾に戦う力はない。


先ほどの叫び声で誰かが気付いてくれればいいが、それまで貞操が保たれるか…?

かくなる上は辱められる前に自刃を…


………こわい………やりたいことも沢山あるし、兄上ともっと遊びたい!義姉上ともお話ししたいし、こんなところで死にたくないよ……


「げっひゃっひゃ、なぁオラが最初でいいべな!もう堪らんわ!」


「ったく、程々にしておけよ!」


すきっ歯の男が小袖の裾を捲り、褌をほどき始める。

そのまま覆いかぶさって来ると視界は男の身体でいっぱいになる。


「兄上…」


思わず出た呟きは誰にも届かない。


せめてもの抵抗で目を瞑り嫌な物を見ないようにする。


誰でもいい、誰か、妾を助けて!




「げひゃひゃ、すぐ終わるから…」


ドパァン!


すきっ歯男の手が妾にかかるかというその瞬間、耳に覚えのない音がした。


「あん?」


妾もその音に驚き目を開ける。


男が身体を起こし振り向くとそこには槍の男だったもの(・・・・・・・・)があった。


周りには赤い華が咲いている。


槍の男だったものには頭がなかった。


そしてその背後には一振りの木の棒を持った髪の短い男が間の抜けた顔をして立っていた。






〜side 柳信晃〜


槍の男の頭めがけて力いっぱいに木の棒(相棒)を横薙ぎに振るう。


ステータスのある世界だ。目の前の男たちだってある程度のレベルとステータスを持っているだろう。


下手に手を抜いて反撃されてお亡くなりになりました、なんて洒落にならない。


狙うは一撃昏倒。

意識の外から仲間が一人やられたら他の二人だって動揺するだろう。


そう思って木の棒が槍の男の頭に当たった瞬間、一瞬の抵抗が手に感じられたが、難なく通り過ぎてしまった。




破裂音と共に。




ドパァン!




それはプールに腹から飛び降りた時のような湿った音だった。


「………え?」


思わず声が出てしまったのは仕方ないだろう。


まさか人の頭が水風船の如く弾けるとは想像の斜め上だ!


「与作ぅ!?」


もう一人の鎌の男が叫ぶ。そうか、この槍の男は与作って名前だったのか。なら斧でも持っとけ!という場違いなツッコミを心の中でしておく。


俺だって動揺してるんだ!

まさかこんな簡単に人を殺すだなんて…


だが頭が真っ白になりつつも身体は直前の指令に従うらしい。

俺はゆっくりと女の子にのしかかる男に近づいて行く。


「ひっ…鬼じゃあ!鬼が出たぞォ!」


「うわぁあぁあああ!逃げろぉおぉ!」


それを見た残りの二人は武器を放り投げて散り散りに逃げていく。


この場に残されたのは女の子と俺の二人だけだ。


女の子は座り込んだまま呆然とこちらを見ている。


女の子を助けたというのに、お姉様を紹介してもらわなければならないのに、そんなことなど頭から吹き飛んでしまった。




命を刈り取ることに慣れた?食欲には勝てない?


なんて、なんて、甘い考えだったんだ…


ステータスの恩恵で俺TUEEEEE?バカじゃないのか?それって、こんなに簡単に人を殺せるってことなんだぞ…!そんなことも俺は理解していなかったんだ…!あいつら俺のことを鬼だって言ったな。そりゃそうだ、木の棒で人の頭を弾けさすなんて人の所業じゃない。俺は、人間をやめていたのか…?


ダメだ、頭の中がグチャグチャで整理がつかない。


身体が震える。掴んだ棒の離し方すらわからない。




そんな俺に、女の子から近づいて来た。


「ねぇ…大丈夫…?」


女の子が心配そうな顔をしてこちらを見ている。

何だよ、今の今まで怖かったのは君だろう?それなのに何でそんな顔をしているんだ?


「そなた、顔が真っ青よ?その棒を離せる?」


そう言うと女の子は血に濡れた俺の手に触れ、木の棒(凶器)から指を剥がそうとする。


「初めて人を殺したのね?妾は武家の娘なの。幾人もそなたと同じようになった者を見たわ」


女の子の手が温かい。冷え切って固まった自分の指が溶かされていくようだ。


「そなたは妾を守ってくれた。善いことをしたのよ。だからそんな顔をしないで?」


解かれた指から棒が落ち、それと同時に俺も膝から崩れ落ちる。

そんな俺の顔を彼女はその小さな手で包み込む。


「妾を助けてくれてありがとう。きっとあなたは仏様が遣わしてくれたのね」


そう天使のように微笑む彼女の顔を見て、




俺は彼女を掻き抱き号泣した。

ヒロイン登場!

もう誰だかわかりますよね?


スマホのメモで書いていると結構書いたつもりでも案外短いものですね。

1話あたりの分量をもっと増やすべきか…


そして、早速の評価とブックマークありがとうございます!

これからも拙作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 歴史系のオリジナル主人公とか結構好きなので楽しみにしています。 [気になる点] 以下は自分が気にしすぎてるだけかもしれませんのであまり気になさらないでください。 ただ導入部分なので(中盤と…
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