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第二十三話 くじょう ぜんこう 2

いつも拙作をお読み頂きありがとうございます。


誤字脱字以外の大きな変化点はここで記載していきます。

前話で以下の点を修正しました。

・貴人のセリフで「我が家に〜」→「九条家に〜」

・擬音を削除

()った!


俺が"二連撃"で止めを刺そうとした瞬間、身体が急激に重くなり、思わず動きが止まる。


「くっ、身体が…!?」


「げひゃひゃひゃひゃ!戦いの前から既に勝負は決まっていたのだ、間抜けめ!」


そんな俺の様子を見て銀狐(ぎんこ)が下品な笑い声をあげる。

何が起きているのかと自分の状態を確認すると、懐の竹筒から雪が出てきて、俺の体内に潜り込んでいた。



〜ステータス〜

名前:雪

レベル:12(2)

種族:管狐

術者:銀狐(柳藤十郎信晃)

称号:なし

状態:支配(強化)

体力:120/120(20/20)

気力:120/120(40/40)

妖力:58(24)

力 :25(3)

頑強:23(2)

敏捷:31(5)

器用:30(4)

知力:27(4)

精神:25(3)

幸運:13(3)


必殺技:憑依、飯綱砲


「その管狐は我の支配下にある!管狐の本領は呪いよ!身の内から蝕まれてしまえば貴様も一溜りもあるまい!」


そういうことかよ!だがこれを無効化する手段は俺にはない。



〜ステータス〜

名前:柳藤十郎信晃

レベル:19 (1048/1900)

年齢:25

種族:人間

所属:織田家

職業:側仕え/遊撃隊大将

称号:急成長

状態:憑依(呪い)

体力:90/90

気力:90/90

妖力:-

力 :42(26+16)

頑強:29(23+6)

敏捷:25(24+1)

器用:31(23+7+1)

知力:24

精神:28(25+3)

幸運:24(18+6)



呪いで基礎ステータスが半減!?

このステータスでは押し切られてしまう!だけど俺はこんなところで死ぬわけにはいかない!


銀狐が飛びかかって来るのを、俺は転がるようにしながら避ける。


「ちぃっ、片手がないというのは不便なものだな!」


銀狐は即座に体勢を立て直し、まだ体勢が崩れたままの俺に飛びかかって来る。

超集中(スローな世界)で銀狐の動きが遅くなるが、自分の動きもいつもより遅い。

これでは避け切れない。


銀狐の爪が俺に迫る。

利家くんたちとの鍛錬、利定くんや一巴さんとの鉄砲隊談義、恒興ブートキャンプ、信長との部屋飲み。色々な記憶が俺の脳裏に浮かんでくる。それらの記憶の最後に市の笑顔が脳裏に浮かぶ。

ここで俺が死んだら誰が市の笑顔を守るというんだ!その役目は誰にも渡すつもりはない!


「貴様なんぞに、やられて、たまるかよおぉぉ!」


その瞬間、自分の中で何かが弾けた。

銀狐に支配された雪によって抑え込まれていたソレから力の本流が溢れ出し、邪悪な力を押し流してゆく。

その力の発露は体外まで及び、銀狐は思わず飛び退ってこちらの様子を伺ってくる。


『「妖力」が解放されました。過去のレベルアップ分の成長ボーナスを入手します』


システムメッセージさん!クエスト関係以外のお知らせは久しぶりだな!



〜ステータス〜

名前:柳藤十郎信晃

レベル:19 (1048/1900)

年齢:25

種族:人間

所属:織田家

職業:側仕え/遊撃隊大将

称号:急成長

状態:健康

体力:180/180

気力:180/180

妖力:65 ↑65

力 :68(52+16)

頑強:52(46+6)

敏捷:48(47+1)

器用:54(46+7+1)

知力:48

精神:52(49+3)

幸運:41(35+6)


技術:剣術(全般)、槍術、無手格闘術、忍術(刀)、斧術、体術、急所突き、投擲術、解体、隠密、気配察知、夜目、飯綱の法、抵抗 "!"



「ギャンッ!」


新たなスキル"抵抗"の効果か、雪が俺の身体から弾かれ、その衝撃で雪は気絶したようで、床の上に倒れたまま動かなくなった。


「馬鹿な!管狐の憑依を独力で破るだと!?」


「俺はどうやらぶっ飛んだ性能らしくてね!」


呪いの影響さえ解けてしまえばこっちのものだ!

俺は小狐丸を構えて銀狐に躍りかかる。必殺技を交えながら、怒涛の連撃で銀狐を追い詰めていく。

銀狐は何とか受けているが、残った爪はへし折れ、全身ボロボロだ。


「今度こそ、終わりだ!」


全力で放った"回転斬り"は、防御しようとした銀狐の左腕ごと首を斬り飛ばし、銀狐の身体はその場で崩れ落ちるのであった。






斬り飛ばした首の元へ行くと、やつは忌々しげにこちらを睨み付けてくる。

流石妖怪。首を飛ばしたくらいじゃ死なないのか。


「本物の九条(くじょう)禅閤(ぜんこう)はどこにいる?」


「くけけ、教えるとでも思ったか?」


俺が問いかけると銀狐は不敵な笑みを浮かべる。


「まぁ俺なら教えないし、期待はしてなかったよ。ではもう一つ聞く。雪にかかった"支配"はお前を殺せば解けるのか?」


「ふん。どうだかな!教える義理はあるまい!」


「そうか、ではもう良い。お前を生かしていても情報は抜けないし、他に良いこともなさそうだしな。流石に細切れにすれば死ぬだろ」


「ぐっ、そうだ!支配は呪いとは違う!術者を殺せば解放される!」


「おっ?しゃべる気になったか。九条禅閤の居場所は…なんだ喋らないのか。てかこの状況で喋らないってことはお前、まさか知らないのか?」


その言葉が図星だったのか銀狐は顔を歪める。こいつが全て仕組んだことじゃないってことか?


「まぁいい、じゃあ最後の質問だ。何故俺に声をかけた?俺に声をかけなければこんな事になっていなかっただろう?」


「けっ、素養があると思ったのは本当だ。我ら妖怪は人間を食って妖力を高める。力を持つ人間を食えばより強くなるからな。貴様は極上の餌だと思ったのよ」


思ったよりしょーもない理由だったな。

もういい、終わりにするか。


()る気になった俺の様子に銀狐は慌てて命乞いをしてくる。


「ま、待て!俺を殺せば九条禅閤の居場所は分からんぞ!」


「どうせ知らないんだろ?もうちょっと表情に出ないようにするんだな」


俺は剣を振るうと銀狐の頭はバラバラになる。

細切れになった頭が溶けるように消えていく途中で、残留思念のように銀狐の声が聞こえてきた。


「彼奴の口車に乗ったのが間違いだったか…!口…惜し…や…」


彼奴?他に黒幕がいたのか?

くそっ、術者の項目に何も書いていなかったから単独犯だと思い込んでいた!


まぁ済んだことはしょうがない。妖怪も人間と同じで共謀もする。その際支配、術師関係にある必要はない。勉強代として覚えておこう。




頭が消えると銀狐の体も溶けるように消えていった。


これで終わったと判断した俺は雪の様子を見に行く。



〜ステータス〜

名前:雪

レベル:2

種族:管狐

術者:柳藤十郎信晃

称号:なし

状態:通常

体力:20/20

気力:40/40

妖力:24

力 :3

頑強:2

敏捷:5

器用:4

知力:4

精神:3

幸運:3


必殺技:飯綱砲



ふぅ。無事に支配は解けているな。良かった良かった。


「キュ、キュゥ…?」


「お。起きたか。安心しろよ?もうお前を支配していたやつは死んだ」


「キュウン…」


「お前は操られていただけだ。だからそんなに落ち込むなよ」


俺が雪をあやしていると、貴人の男が俺に問いかけてくる。


「お、終わったのか…?」


「えぇ。残念ながら禅閤様の居場所は分かりませんでしたが」


「そうか。私は二条関白。九条禅閤の娘婿だ。まさか九条家に妖が住み着いていて、禅閤様に化けているとは…」


念の為ステータスオープンをかけると、確かに二条(にじょう)関白(かんぱく)晴良(はるよし)で健康な人間となっていた。


「いつから化けていたのかはわかりませんが、銀狐の口ぶりからすると禅閤様はまだ生きておられると存じます。出来るだけ早く捜索した方がいいかと」


「そうであるな。だがどこから探せばいいか…」


「キュキュー!」


俺たちがどうしたものかと考えていると、雪が声を上げてアピールしてくる。


「雪、どうした?」


そこである事に思い当たる。


「そうか、お前は元は禅閤様に使役されていたのか!じゃあひょっとして居場所がわかるのか?」


「キュッ!」


「見つけられたらお手柄だぞ!二条関白様!こいつが大まかな位置を教えてくれます!」






その後、雪の案内により無事に九条禅閤は見つけられた。

入れ替わってから半月程だったらしく、衰弱はしているものの命に別状はなかったのは幸いだ。


数日後、起きて話ができるまで回復した九条禅閤からは感謝され、褒美を聞かれたので陰陽術の伝授を頼んだが、やはり数日でどうにかなるものではないらしい。


その代わりに陰陽道の基礎が書かれた巻物をもらう事になった。

これで基礎を学び、次京都に来た時に実技を学びに来るようにとのことだ。


次京都に来る予定なんて、それこそ史実だと10年先なんだけどなぁ。


クエストタブで確認をすると、どうも偽禅閤に教えを乞うかどうかで分岐があったらしい。今も継続中となっていて、「玉滑りの籠手クエスト」ばりに長丁場になりそうだ。


また九条邸にいた女中を含めた他の妖怪は禅閤が使役している者達なんだとか。力が強くなく野で生きていけない妖怪を人に化けさせ働かせているのだとか。

そういった連中は今回の件では銀狐に逆らうことが出来ず、日々ビクビクと過ごしていたそうだ。






こうして俺の初めての京都での顛末は幕を閉じた。

信長的には実りの少ない上洛であったかもしれないが、俺にとっては違った。


結局陰陽術を習得することは出来なかったが、習得のきっかけになるアイテムは入手できた。それに妖力開放まではいったので個人的には満足だ。




尾張に戻った信長は家中に戦の準備を進めるよう触れを出す。

実りの少ない中でも何かを感じる事があったのだろうか。まだ俺は何も聞かされていない。


だが時は1559年。桶狭間の合戦の1年前だ。

いよいよ信長が全国に羽ばたく事になるあの戦がやってくる。

その戦に自分が関わる事になるのだと思うと、何とも言えない高揚感に胸躍らせながら日々を過ごす事になるのであった。








のぶあき は ぎんこ を たおした!




〜ステータス〜

名前:柳藤十郎信晃

レベル:25 (948/2500) ↑6

年齢:25

種族:人間

所属:織田家

職業:側仕え/遊撃隊大将

称号:急成長

状態:健康

体力:240/240 ↑60

気力:240/240 ↑60

妖力:78 ↑13

力 :80(64+16) ↑12

頑強:63(59+4) ↑13

敏捷:60(59+1) ↑12

器用:65(57+7+1) ↑11

知力:60 ↑12

精神:65(62+3) ↑13

幸運:50(44+6) ↑9


技術:剣術(全般)、槍術、無手格闘術、忍術(刀)、斧術、体術、急所突き、投擲術、解体、隠密、気配察知、夜目、飯綱の法、抵抗


必殺技:剣術 / 二連撃 ★★★★★、回転斬り ★★★★★、圧し切り ★★★☆☆

槍術 / 二連突き ★★★☆☆

無手格闘術 / 正拳突き ★★★★☆、回し蹴り ★★★★★、後回し蹴り★★★☆☆

忍術 / 鎧貫き ★★★☆☆

斧術 / 兜割り ★★★☆☆


〜装備〜

主武器:無銘・直江志津兼近(攻撃力4+2)

副武器:忍刀・無銘(攻撃力2+1)

頭:なし

胴:木綿の小袖/肩衣(頑強+2)

腕:なし

腰:木綿の袴(頑強+1)

脚:木綿の足袋(頑強+1)

装飾品1:市のお守り(幸運+5)

装飾品2:竹の小筒

これで京都編は終わりです。

いよいよ桶狭間の合戦に入って行きます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリー、世界設定は良かった [気になる点] 人質の居場所を知ら無いって所から、共犯者が居るのかと疑った後に「単独犯だと思い込んでた!」 は少し無理が有るように思う
[一言] 矛盾点がそう解消されたか… 全部が信用できるかと言うと勿論出来ないが 大体この時代の狐は一枚岩で銀弧程の比較的大物なら最悪神(ウカノミタマ)から指令されてる可能性がある のでほぼ単独行は有り…
[一言] いよいよ桶狭間ですか。楽しみですね!
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