第十九話 うきの の たたかい 2
昨日は更新できず申し訳ありませんでした。
納得のいく話が書けず、消しては書き直しの繰り返しで超難産でした。
この話に関しては申し訳ありませんが、あとで加筆する可能性が高いです(話の大筋は変えません)
色々ご意見などはあるかと思いますが、よろしくお願い致します。
信賢を連れて自分の隊に合流した。
「藤十郎様、お戻りになられえええええええ!?」
信賢を見るなり利定くんが悲鳴を上げる。
そういや利定くんの元上司か。
「ん?お主、手前とどこかで会ったことがあるかの?」
「はっ、私は坪内家が次男、喜太郎利定と申します。下津の戦の折には徒士頭として兵衛(信賢)様と共に出陣しておりました」
下津という単語を聞いた途端、信賢の目が泳ぎ始める。最早パブロフの犬状態だ。
その様子を見た利定くんが何やら菩薩の様な笑みを浮かべて信賢に近づいて肩に手を置く。
「兵衛様、お気持ちは大変よくわかります。私もそうでした。でも藤十郎殿はお優しい方ですよ?ここにいらっしゃるということは、兵衛様も弾正忠家の一員。共に藤十郎殿の元で働きましょうぞ」
利定くんの言葉に信賢は落ち着きを取り戻し、お互い肩を叩き合い、側から見ていると友情を確かめ合っているかの様だ。
ただ君たち、俺を出汁に仲良くなるのはいいけど、これ怒られても文句言えない案件だからね?
「さて。兵衛殿は馬を連れてきていますが、その馬は火縄銃の音に慣れていますか?」
「いや、岩倉城にはそれほど数がないですからな。馬を慣らす程の余裕はありませんでした」
火縄銃を500挺も大量発注するのなんて、この時代だと信長くらいだろうしな。
「であれば、今回は別の馬に乗って頂くか、徒士として参戦して頂くしかないな」
「ふむ。藤十郎殿、鉄砲隊を運用しているという噂は聞いておりましたが、実際どういう戦術で行くのですか?」
「あぁ、ざっくり言うと矢合わせの後、鉄砲隊で前衛を殲滅。その後俺と騎馬隊が突撃し、切り拓いた戦線を槍、徒士隊が広げながら戦線を維持するって感じだな」
「槍よりも先に騎馬とは、中々に珍しい戦術ですな」
「敵方の槍隊はうちの鉄砲隊で殲滅するからね。それに槍隊じゃ俺の速さに全くついて来れないし」
「ほぅ、脚の速い馬をお持ちで」
「ん?いや、俺は自分の脚で走っているよ?」
「じぶんのあし」
俺がそう言うと信賢は呆けたような顔でおうむ返しをしてくる。
利定くんはやれやれ、といった顔で肩を竦める。
「兵衛様、藤十郎様についてはそういうものだと思って下さい」
「お、おぉ…喜太郎殿、俺は常識というものを下津で砕かれたと思っていたが、まだ砕かれる余地があったのだな…」
「はは、戦の常識という意味では粉になるまで砕かれるものとお覚悟して下さい」
おいこら、利定。そろそろ怒るよ?
信賢の馬に関しては信長に事情を話し、鉄砲に慣れている馬を一頭準備してもらうことになった。というか信長の馬のうちの一頭だ。
信賢の恐縮っぷりが半端ない。
騎馬大将に話は通し、基本的には騎馬隊の最後尾についてきてもらう事になった。
信安軍もこちらに打って出てくるということで、それを迎え撃つ為に、俺たちは最後の準備に取り掛かるのであった。
〜side 伊勢守家〜
「兵衛め、まさかよりにもよって弾正忠家に寝返るとは…!あの恥晒しめ!」
「まぁまぁ、落ち着いてください、父上。裏切り者の兄上共々弾正忠家を蹴散らせば良いではないですか」
怒り狂う信安に対し、次男である信家が宥めすかす。
家臣団は我関せず状態で信家任せだ。
「鬼柳だか何だかわかりませんが、怖気付いた兄上が誇張したに違いない。400の兵に単身挑んだとか、矢の雨を無傷で切り抜けただの、そんな人間がいるわけない」
馬鹿にしたように笑う信家だが、知らぬが仏とはまさにこのことである。いや、それにより大打撃を受けることを考えると無知は罪の方が正しいだろうか。
ちなみに下津の戦いで信賢と共に逃げてきた兵たちは、降格か、臆病者と詰られたことに嫌気がさして出奔していた為、直接信安親子に物申せる人間は伊勢守家の中には既にいなかった。
「弾正忠軍は約3,000、対する我が軍も約3,000。数の上で同数なら勇猛果敢な我が軍が負ける道理はない!皆の者、我に続けぇい!」
頭領が勢い付けば周りも勢い付く。群衆心理のお手本の様に戦意を高めた伊勢守家は3000の兵で浮野へと向かうのであった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「なんだ、あれは…?」
戦が始まるまではいつも通りであった。
敵軍の最前線には左翼に鬼柴田と右翼に見慣れぬ藤紋の旗。
始めは新参者か、若輩者が戦功を求めて来たのかと思ったが大きな間違いだった。
矢合わせが始まると共に鬼柴田と藤紋の隊は見慣れぬ盾を構え、ほぼ被害を出さずに済ませると、我が軍の先鋒を鉄砲隊で薙ぎ払う。鉄砲隊など実戦で使えぬものと侮っていたが、その結果が先鋒の全滅である。
そして鉄砲隊の斉射が終わったら右翼に異変が起きた。右翼の隊が真っ二つに裂けていくのだ。
全く訳がわからない。
「鬼、か…?」
信賢の言葉が思い出される。
下津で400の兵が1人の鬼に敗れたと。
まさに今その再現がここ浮野で行われているのではないか。その考えを振り払う様に私は軍を立て直すために指示を飛ばすのであった。
〜side 弾正忠家〜
「ははは、藤十郎がまたやったか!」
「もうここまで来ると嫉妬すら起きません」
三郎様が笑うと又左衛門殿がそれに返す。
最早弾正忠家で藤十郎殿を侮る人間も妬む人間もいないだろう。
侮るにはその武功が大きく、妬むには武勇が最早人のものではなく、あれだけ意識せず敵を作らない者も珍しいだろう。
「しかし藤十郎がまた戦功を上げすぎると他の者に機会がなくなってしまうな。勝三郎、そろそろ彼奴を呼び戻せ。又左、内蔵助、暴れ足りぬだろう?精一杯暴れて来い」
「「ははぁ!」」
弾丸の如く飛び出していく二人を見送っていると、三郎様は先程までの楽しげな雰囲気から一転してひどく真面目な顔をする。
「しかし藤十郎の武勇は疑うべくもないが、少々大きすぎるな。適当な役職を与えて後ろに下げるか?」
「それも良いかと。あまり藤十郎殿に頼りすぎても他の者から不満がでましょう。それに藤十郎殿さえいれば勝てると兵が慢心するのもよくありません」
「強すぎるのも考え物だな」
苦笑する三郎様に対し、私は頷き返す。
一度戦場に出れば尋常ではない速度で敵武将を討ち取ってくる。
余りにも速すぎるその速度に勝るどころか並ぶ者もいない。
幸にして本人がそこまで野心がないので、下がれと言われれば大人しく従うし、当の本人は動かしやすくて良い。だがそうすると今度は藤十郎の元で働いている者たちの運用が難しい。
既に鉄砲隊は特殊すぎて他の隊での運用が難しく、指揮する将を選ぶ。生半可な将では使いこなせず持て余してしまうだろう。
まさかこんな悩みを抱えるとは、藤十郎と出会った頃には考えもしなかったと、恒興はこの先の藤十郎の扱いを考えながらも呼び戻す合図を出すのだった。
結果的に浮野の戦いで信安を始め、1500以上の将や兵を失い、息子の信家が降伏したことで織田伊勢守家は滅びた。
先鋒隊として活躍した藤十郎信晃は僅か一刻程で早々と本陣へと下がったが、柳隊だけで500近い敵を討った事を考えると信長や恒興が懸念もわからないでもない戦果である。
この戦いにより尾張は弾正忠家によって統一されることになる。
尾張の大うつけと呼ばれた織田三郎信長の急速な成長は近隣諸国の大名に驚きを以て伝わり、その立役者とも言われる柳藤十郎信晃の名もまた広まっていくのであった。
この活躍が今後どの様な影響を及ぼすのか、それを知る者はまだいない。
のぶあき は うきののたたかい に しょうりした!
〜ステータス〜
名前:柳藤十郎信晃
レベル:19 (1048/1900)
年齢:22
所属:織田家
職業:側仕え/小姓
称号:急成長
状態:健康
体力:180/180
気力:180/180
妖力:-
力 :68(52+16)
頑強:58(46+12)
敏捷:48(47+1)
器用:53(46+7+1)
知力:48
精神:52(49+3)
幸運:41(35+6)
忠誠:95
技術:剣術(全般)、槍術、無手格闘術、忍術(刀)、斧術、体術、急所突き、投擲術、解体、隠密、気配察知、夜目
必殺技:剣術 / 二連撃 ★★★★★、回転斬り ★★★★★、圧し切り ★★★☆☆
槍術 / 二連突き ★★★☆☆
無手格闘術 / 正拳突き ★★★★☆、回し蹴り ★★★★★、後回し蹴り★★★☆☆
忍術 / 鎧貫き ★★★☆☆
斧術 / 兜割り ★★★☆☆
〜装備〜
主武器:無銘・直江志津兼近(攻撃力4+2)
副武器:忍刀・無銘(攻撃力2+1)
頭:鬼面前立の兜(頑強+3)
胴:仏胴(頑強+3)
腕:玉滑りの籠手・仮(頑強+2、器用+1)
腰:佩楯(頑強+2)
脚:脛当て(頑強+2)
装飾品1:市のお守り(幸運+5)
装飾品2:ウサギの後ろ脚(幸運+1)
いざ無双物を書き始めると、どこで周囲とのバランスを取らせるかというのがいかに難しいかと、合戦における無双の表現を書き分けるだけの自分の力量のなさの両方を思い知らされました…
かなりあっさりですが、一先ずこれで尾張統一です。
いよいよこれから他国の戦国武将との戦いが始まります。
これからも精進して行きますのでよろしくお願い致します。
第二章で出てきた城と合戦場の地図を作ってみました。
うまく見れるかな…
https://33376.mitemin.net/i472908/
青字 →信長方
赤字 →敵方
家マーク →城
焚き火マーク→合戦場
使用ツール:GMapTools, Phonto
大良の戦いは本文に名前は出てきていませんが、道三救出の為に向かった信長が撤退戦を強いられた場所です。
稲生の戦いで出てきた名塚砦は縮尺の関係で稲生の戦いのアイコンと丸被りでした。




