閑話 スキル けんしょう
スキル検証を本編でやるか悩みましたが、本編だとダレそうでしたので閑話になります。
はい、無事に織田家家臣になった柳藤十郎信晃です。
あの後無一文、身一つで飛び込んできた俺は信長から長屋の一室と数枚の服、一振りの刀を与えられた。
長屋は気を使ってもらったのか、利家くんの隣の部屋を充てがわれた。
俺、利家くん、木下藤吉郎、佐々成政の並びだ。
あの有名な3武将と軒を並べることになるとは、人生何があるかわからんなぁ。
服は下着、小袖、肩衣、袴、足袋の一揃いだ。
まぁ一国の姫君の側仕えであればそれなりの格好が必要って事だね。
刀もそれに合わせて下賜された。
武器名 :無銘・直江志津兼近
武器種 :太刀
攻撃力 :4
技術 :剣術(太刀) >熟練度 100/100 習熟
習熟特典:器用+1
必殺技 :二連撃 >熟練度 250/250 習熟
習熟特典:力+1
必殺技名:二連撃
熟練度 :★☆☆☆☆ 137/200
消費気力:18
詳細 :剣術(太刀)の固有スキル。踏み込みながらの振り下ろしからさらに踏み込みながら斬り上げで追撃する斬撃技。
ついに必殺技キタ!木の棒シリーズには何もなかったけど、きちんとした刀には技が付いているんだ!
必殺技はスキルと違って素振りでも熟練度が溜まる仕様だったので、めちゃくちゃ素振りした。
習熟までは特定の武器を装備しないといけないみたいだが、習熟後はどんな武器でも必殺技が使えるようになったので、普段は木刀で素振りをしている。
とは言え気力の消費が多いのと、無理矢理に身体を動かされるので気力以上にキツい。無理に連発すると体力が削られていく始末だ。普段しない動きを強制的に動かしているから身体がダメージを受けているのだろう。
習熟した段階で身体の辛さは取れたけど、数を打てば疲れてくる為スキルほどは乱発できず、未だに熟練度は★5つのうち★1までしか達していない。
★が1つ増えると必要熟練度が倍になったのは大変だが、消費気力が10%減ったのでどこまで減るのかが楽しみでもある。
さてそうなると気になるのが、クエスト報酬で手に入れた"へし切り長谷部"だ。
信長が装備していた物とまるっきり同じ物を俺が持っているのは誰がどう見てもおかしいので、基本的には道具画面に押し込んだままだ。
武器名 :へし切り長谷部
武器種 :太刀
攻撃力 :5
技術 :剣術(太刀) >熟練度 100/100 習熟
習熟特典:器用+1
必殺技 :圧し切り >熟練度 1/300 習熟
習熟特典:力+2
必殺技名:圧し切り
熟練度 :☆☆☆☆☆ 0/150
消費気力:30
詳細 :剣術(太刀)の固有スキル。全体重を乗せた一撃で、斬るというよりは引きちぎるに近い振り下ろしの斬撃技。相手の防具効果を3無視する。刀の耐久値にダメージ。
忍者がいる世界で外でへしきり長谷部を振るわけにもいかず、室内で"圧し切り"を放ってみた。
その踏み込みは今まで経験したことがないくらい強く、長屋全体が揺れたのではないかと錯覚するほどだった。土間で放ったにも関わらず踏み固められた地面が更に凹むほどの踏み込みで、もちろん身体はガタガタで連発は出来ないし、一撃放っただけで利家くんが飛び込んできた程だ。
そんな物騒な技を家の中でするんじゃないと怒られたが尤もである。が、この刀を外で振るう気にもならず、暫く封印の憂き目にあっているのだった。
さすがに1日中スキル検証をしている訳にもいかず、俺には市の側仕えとしての仕事もある。日が昇る頃に本丸に出仕し警備にあたる。まぁこれに関しては市に限らず武家の女性は基本的に家から出ないので警備といっても女性が外に面した廊下を歩く時に周囲を警戒したり、女性が部屋にいる時は部屋の前で待機しているだけである、本来は。
俺の場合は市の希望で彼女が起きている間は大半の時間を同じ空間で過ごしている。
俺が仕事をしていない夜の時間や、別の仕事で席を外している間に信長の正妻で義姉の帰蝶さんと話した内容を聞いたりと、どちらかと言うと話し相手のような状態だ。
もちろん市には武家の娘としての教育もあり、読み書きに関しては共に学ぶ事が許されている。だってこの時代、草書体の漢文で読めも書けもしねーよ!
読み書きが出来ないと言った時の市の勝ち誇った顔は忘れられない。見てろ、現代の受験戦争を生き抜いた学習能力ですぐに追い付いてやるからな!
そんな市だが、俺と過ごすようになって少しずつ素が出る時間が増えてきている。
それは2人の時間(女性の世話役はいるよ?空気に徹しているだけで)だけでなく、信長や帰蝶さんといる時間でも少しずつだが増えているようだ。まだまだ人の多いところでは今まで通りだけどな。
一度忙しい政務の合間にやってきた信長が素の市を見て、涙を隠しながら「女神か」と呟いた瞬間、ホッとしたのは内緒だ。本来の市を受け入れてもらえなかったら、家族の前でも仮面を被らなければならないのは不憫どころじゃないからな。
市は市で、嬉しい気持ちと、涙まで流す信長にちょっと引く気持ちがごちゃ混ぜになって微妙な表情だったが、時間が経てば二人の関係もより自然になっていくだろう。
さて別の仕事と先程言ったが、主に雑用と戦闘訓練になる。
雑用に関しては、衣食は女性の側仕えが、住に関しては御館全体を見ている信長の小姓たちが取り仕切っている為、俺にやる事はない。
となると後は本当の雑用で、文を届ける、信長や帰蝶さんへの先触れなど、誰にでも出来そうな内容だ。
戦闘訓練に関しては俺の身体能力を活かした御館勤めの小姓たちの訓練だ。
俺が仮想敵となり、小姓たちが指導役の指示を受けながら俺を取り押さえる、もしくは切り捨てることを目的としている。
指導役からは俺が本気を出すと逆に訓練にならないと言われ、ある程度手を抜くことにしている。これは力加減を覚える事にもなるのでお互いwin-winだ。
力加減の他に収穫だったのが、ステータスによる武器種の判定基準だ。
御前試合の時の考えは間違っていなかった。訓練用の木の槍から石突きにあたる部分を取ったら武器種が大太刀に変化した。どうもその武器を構成している部位があるかどうかが肝になっているらしい。
刃、鍔、柄に関してはあるなしに限らず棒状の物は刀に分類されている。刃や柄はともかく、鍔は小刀や仕込み刀にはなかったりするしな。
一体いくつの武器種があるかわからないが、無事に織田家に仕える事が出来たし、今後木の棒シリーズに頼らずとも色々試す機会も増えてくるだろう。
小姓たちとの訓練の中で俺も槍を使わせてもらったり、体術の基礎を学んだお陰でいくつかスキルが生えた。
技術名:槍術
効果 :槍の扱いが上手くなる。槍に分類される武器を1つ装備する毎に攻撃力+1
取得特典:力+1
技術名:体術
効果 :体捌きが上手くなる。各行動のスタミナ消費にボーナス。
取得特典:器用+1。
技術名:無手格闘術
効果 :無手での戦闘が上手くなる。武器を装備していない時の攻撃力+1
取得特典:敏捷+1、器用+1。
これらを受けて今の俺のステータスはこんな感じ。
〜ステータス〜
名前:柳藤十郎信晃
レベル:14 (862/1400)
年齢:20
所属:織田家
職業:側仕え
称号:織田家の姫の救世主
状態:健康
体力:130/130
気力:130/130
妖力:-
力 :45(39+6)
頑強:36(32+4)
敏捷:31(30+1)
器用:36(30+6)
知力:33
精神:32
幸運:27(26+1)
忠誠:80
技術:剣術(全般)、槍術、体術、無手格闘術、急所突き、投石、解体
必殺技:剣術 / 二連撃 ★☆☆☆☆
〜装備〜
主武器:木刀(攻撃力2+2)
副武器:無銘・直江志津兼近(攻撃力4+2)
頭:なし
胴:木綿の小袖/肩衣(頑強+2)
腕:なし
腰:木綿の袴(頑強+1)
脚:木綿の足袋(頑強+1)
装飾品1:なし
装飾品2:ウサギの後ろ脚(幸運+1)
「藤十郎ーっ!そちらの仕事は終わったかえ?」
疲れ果て死屍累々といった様子の小姓たちを尻目にステータスを確認していると、市がやってくる。
指導役が慌てて小姓たちに礼を取らせようとするが、コテンパンにのされた小姓たちは動けない。
「あぁ、終わったよ。今から片付けるからちょっと待っててくれ」
そう言って手に持っていた木刀を片付けようとするといつの間にか近くに来ていた指導役がそれを受け取る。
どうやら市をそんな事で待たせるんじゃない、ということのようだ。
俺はそれに甘え、市の元へと急ぐのであった。
直江志津一派に兼近という刀工がいたかはわかりません。兼近に関しては作者の創作で完全にフィクションです。
もう一話閑話を挟んだら第二章に行きたいと思います。




