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その13 ポンコツお肉強盗団


「みのりん、めがろ丼じゃなくて、モンスターのメガロドンだよ。〝めがろなサメサメ〟だね!」

「海洋モンスターね、私も初めて見るかも」


 カレンとミーシアの説明を聞きながら辺りを見回すとそれはいた。

 烏賊宮城の外周を回る巨大なモンスターは、十メートルはあろうかという巨大なサメだ。


 うわー、あんな怪獣、ガスボンベでも口に放り込んで狙撃して爆発させないと退治できないんじゃないですか。


「え? 何、これ読むの? えーと、あたし乙姫さま十六歳、人よりちょっとおっちょこちょいで――え? これ違ってた?」


 慌てたお付の人から新しい紙を受け取る乙姫さまことカレン。こんな朝早くからアルバイトとはご苦労様です。


「こっちか。私、この烏賊宮城に来てみんなと出会って、初めてイカ道の楽しさを知りました、イカンツァー――これも違うって?」


 カレンはめんどくさくなったのか、紙を丸めて捨てて直接台詞を言う事にしたようだ。


「どうやら〝めがろなサメサメ〟が烏賊宮城の周りのイカたちを食べまくっている犯人みたい。これを冒険者たちで退治して欲しいんだって」


 ボクたちが調査をする前に出てきちゃったんですね、何しろボクたち一切調査らしい事やってませんでしたからね。

 せっかちなサメです。


「乙姫さまからの依頼である、冒険者の皆様は受けてくれるかな?」


 とはお付のお爺さんだ。


「うんいいよ!」


 またもやカレンが依頼を出してカレンが受けた。


「さて、どうやって倒そうか?」


 サメモンスターは烏賊宮城の周りをぐるぐる回ってイカを捕食している。

 どうやら烏賊宮城の膜の外側の、完全に海の中にいるようだ。あっち側にいられたら呼吸できないじゃないか。


 海の中の海洋生物に陸上生物が立ち向かうとか、無理ゲーじゃないのだろうか。

 烏賊宮城の人たちがボクたちの周りに集まってきた。


「何とかしてくれ! あれだけ宴会で飲めや歌えやしたんだ。まさかあんたたち、戦えないなんて事ないだろうな!」

「そんなの食い逃げと同じじゃないか!」

「戦えないなんて言ったら、烏賊牢にぶち込むぞ!」

「一生烏賊働きでこき使ってやる!」


 烏賊牢とか烏賊働きとか、いちいち気になる単語を織り交ぜないで下さい。


 陸上生物が海洋生物に立ち向かうのが無理ゲー?

 ふふん、確かに普通なら無理ゲーでしょう、そうかも知れません。


 しかしボクたちを見くびってもらっては困るんですよ。

 ボクたちお肉強盗団を舐めてもらっては困ります!


 ボクたちにはカレンがいるから大丈夫なんですよ!


 カレンがロングソードを構えた。

 さあやっちゃって下さい!


「スパイクトルネード!」


 結論から言うと、何も起こりませんでした。


「ねえみのりん、海の中って風の精霊はいるのかな?」


 水流の精霊ならいるんじゃないですかね。


「あはは、ごめんねみのりん。水の中じゃ風の精霊を集められなくて、私の一撃剣はサッパリ使えないみたい、盲点だったね!」


 ま、まさかのカレンの戦力外通告!

 いつだってボクたちの最大戦力だったカレン、それが最初から使用不可だと!?


「おいおい、まさかあんたたち――」


 烏賊宮城の人たちの目が怖い。詰め寄って来てます、詰め寄って来てます。

 やめてくださいそんなに詰め寄って来ないで下さい。イカ+詰めるでイカ飯を思い出してしまうんですよ。


 しかし大丈夫、ボクたちは大丈夫なのだ。

 こういう危機にあの子がいてくれてれば! と願ってた人物がいたはずです。そう、その子がいれば一発解決、そして彼女はここにいるのだ!



 大地より火炎来たれり――

 天より火炎来たれり――



「ミーシア! お願いします!」

「フレイムオーバーキル!」


 結論から言うと、何も起こりませんでした。


「ねえみのりん、やっぱり火って水をかけたら消えるよね」


 消えないと消防車が燃えてしまいます。


「あーごめんねみのりん、水の中じゃ炎系魔法はサッパリ使えないのよ」


 そうですよねー。

 終った――ボクたちは烏賊牢にぶち込まれるのだ――


「だから私が言ったでしょ、普通の火の魔法は水中じゃ使えないんだって。でも鬼火は水の中で使えるんだよ!」


 鬼っ娘摩鬼! あなたが今初めて輝いて見えました!

 そうですよね! ファイアーボール? やっぱり鬼火ですよ、鬼火サイコー!


 鬼っ娘摩鬼はワカメを炙っている。


「ちょっとお聞きしますが……何をしているんですか……」

「だから私は戦闘用の鬼火は全然無理だとも言ったよね?」


 どうしてドヤ顔で出てきたんですか!

 やっぱり鬼火は禁止です! ファイアーボールです!


 向こうで走ってたマーシャがこけている。いいんです、あの人はあれでいいんです。


 烏賊宮城の人たちの目が血走っている。

 いや、まだ諦めるのは早い。まだだ、まだ試合終了ではないのだ。


 ボクたちにはまだ最終兵器があるじゃないか。

 その最終兵器はポケーっとタコの足の刺身をもぐもぐしていた。まだ食べてたんですか。


「これは食後のデザートじゃが」


 デザートずるい!

 いやそんな事より魔王ちゃん、あのメガロドンをなんとかしてもらえませんか。


「しかたないのう」


 魔王ちゃんはつかつかとメガロドンの方に歩み寄っていく。

 本当に今回魔王ちゃんが一緒にいてくれて助かりました。ビバ! 魔王ちゃん!


 頼みましたよ最終兵器魔王ちゃん!


 次回 「巨大サメの口にはやっぱり爆発物だよね」


 イカっ娘、危険なフラグを立てる

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