第六話 マネしてみた結果……
第六話 マネしてみた結果……
「お母様、この魔法は危険ではないのですか」
周りの木々を吸い込んでしまったのを機に魔法を解除したお母様に尋ねる。
「そうね、試したことはないけど使い続ければ何でも吸い込み続けるわね。
でも、きちんと練習すれば吸わせたい物だけ吸わせることが出来るようになるわよ。
この魔法の欠点は、これで魔物を討伐しても経験値が得られないらしいってことだけね。
きっと経験値の元になる何かも吸い込んじゃってるんだと思うわ。
さあ、セア、あなたもやってみなさい」
気軽に私にやらせようとするお母様。
一歩間違うと術者自身も吸い込みかねない危険な魔法を5歳児にやらせないで欲しい。
こんな危険な魔法は前世ではお目にかかったことすらない。
けど、お母様の目には、私がやるまで許さないという決意があふれている。
仕方がない。
私は集中力を高め、お母様が平地にしてしまった雑木林の入り口の更に先に照準を合わせ、夜空のどこかにある前世の学者たちが言っていた何でも吸い込む黒い星をイメージしてそこにつなげるようにお母様の作った黒い玉より更に小さい黒い玉を出現させた。
ベキベキベキ!
結果は……
お母様の作った黒い玉より小さいにもかかわらず、吸引力は強かった。
危うく自分も吸い込まれかねないくらいの風が吹く。
私は慌てて魔法を解除した。
「お母様。この魔法は本当に危険ではないのですか」
肩で息をしながら聞く私に、呆けていたお母様がハッとなってこちらを見る。
「驚いたわね。あんなに小さい玉なのに凄い威力だったわ。
確かに制御の面でセアちゃんにはまだ難しいかも知れないけど、この魔法の凄いところは相手が物理で来ようが魔法で来ようが全て等しく吸い込んでくれることよ。
どんなにウザい奴でも、この魔法で吸い込めば二度と顔を合わせなくて済む素敵な魔法でもあるわ。セアちゃんも頑張って練習するのよ。
あ、それから、この魔法は一子相伝の特殊魔法だから人に見せちゃダメよ。
もし見せるとしたらそのときは……」
いま、さらっとお母様が過去の殺人を告白したような気がする。
いったいお母様がブラックホールに吸い込ませたのはどんな人だったのだろう。
私はこめかみから冷や汗が垂れるのを止めることが出来なかった。
今日の投稿はここまでです。
続きは明日中の掲載を目指して執筆中です。書き終われば投稿します。




