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第五話 これって英才教育ですか?

第五話 これって英才教育ですか?


 それからの私は、週に2回、普通のお勉強の他に、お母様による魔法の勉強も受けることになった。

 低めに偽装している私の真の熟練度はおそらくお母様を超えている。

 如何に出来ないふりをするか苦労しながら、自分では使ったことがなかった特殊魔法をお母様から教わることもでき、楽しいのだがそれでも木登りの時間が減ったのは悲しかった。

 一方、一度見せれば簡単に再現してしまう私の魔法の才能に、お母様は驚きつつも喜んだ。

「いい、セア。

 亜空間魔法に分類される収納空間の魔法は続きがあるのよ」

 今日も、お母様の講義は一般的な5歳の子供にするレベルを遙かに超えている。

「もしかして、空間を接続して近道を作るんですか?」

 私は前世で職場から脱出を図るためにこっそり練習して、結局監視が多すぎたためほとんど実用出来なかった空間接続魔法(ワープ系の魔法)のことかと思い質問する。


「うーん、その魔法はおそらく実現できないわね。

 入口側の空間を作ることは出来ても離れたところに出口側の空間を設定出来ないと思うわ。

 けど、さすがに私の娘ね。素晴らしい発想だわ」

 いや、普通に今でも出来るし、なんなら、最近屋敷から脱出して木登りするのに多用してますとはさすがにいえない私。でも空間接続魔法は一般に認識されていないことが確認できただけでも収穫だ。

 人前では絶対に使わないようにしよう。

「では収納空間の魔法の先にあるのは何なのでしょう」

「それはね、ここではちょっと危ないからお外に出ましょう」

 お母様はそう言うと、子爵家の裏庭の外れまで私を連れてきた。


「いい、普通の収納空間は収納をイメージして亜空間形成することで出来るの。

 でもね、接続先を何でも吸い込む深淵にすればこうなるのよ」

 お母様はそう言うと左手を前にかざし、前方10メートルほどのところにある雑木の手前に真っ黒い球体を出現させた。大人の握りこぶしくらいの大きさだ。

 するとその黒い球体に向かってものすごい勢いで周りの木々が吸い込まれ、私たちがいるところまで空気の流れが感じられる。

 これ、やばいやつだわ……

 私は瞬間で理解した。前世で天体観測を専門としていた魔法師グループが、星空には何でも吸い込む黒いブラックホールがあることを発見したと言っていたが、お母様の魔法は将に小型のブラックホールだった。

 もしかしたら本物のブラックホールに空間を接続しているのかも知れない……







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