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第十二話 新魔法をぶっつけ本番で試すのは止めましょう

第十二話 新魔法をぶっつけ本番で試すのは止めましょう


 更にひどかったのが魔法の授業である。

 最初の一ヶ月は魔法理論で実技を伴わなかったから、真面目な何も知らない生徒を演じていた。

 ことが起きたのは入学後一ヶ月と少したった最初の実技の授業である。

 魔力測定の結果、 


 名前 セア・シーラム

 職業 シーラム子爵家三女

 適性魔法 特殊魔法(強:熟練度99) 全属性魔法(並:熟練度9)

 スキル 木登り(強:熟練度99)


 と言うことになっているが、本当のステータスは……、


 名前 セア・シーラム

 職業 ドラゴンイーター 全てを欺く者 破壊の魔女 空間の支配者 シーラム子爵家三女 聖女のタマゴ 熟練聖女 聖女の中の聖女 超聖女

 適性魔法 聖魔法(超神強:熟練度∞×2) 全属性魔法(神強:熟練度∞) 特殊魔法(超超神強:熟練度∞×3)

 スキル 護身術(神強:熟練度∞) 格闘術(神強:熟練度∞) サバイバル術(神強:熟練度∞) 木登り(神強:熟練度∞) 崖登り(神強:熟練度∞)


 である。


 ついに特殊魔法が聖魔法を上回り「超」が二つも付いてしまった。∞は二倍しても三倍しても∞だと思うが、なぜか×2や×3が付いているし、意味不明である。

 そして特殊魔法を極めすぎた結果、ステータスは隠蔽だけでなく改ざんできるようになった。これで無駄なスペースのある不自然な表記ともお別れである。

 と、油断していたのが悪かった。表記は自然になっても手加減が上達したわけではなかったのだ。


 ステータス測定後に得意魔法をまとにぶつけて実力を測る授業となる。

 一人一人、名前と今から使用する魔法名を言ってから魔法を放っていく。

 ステータス測定の能力が高いほど、後から試技を披露するため、特殊魔法99の私は一番最後だ。

 私の一つ前に全属性魔法(強:熟練度79)をたたき出した宮廷魔法師団長長男のアブドル・アブラハム侯爵子息がファイヤートルネードを放ち、まとが溶けかけるほどの威力に会場がどよめいた。アブドル君は得意顔だ。


 そしていよいよ私の番……

 特殊魔法の攻撃というと最高威力は今のところお母様から一子相伝で継承したブラックホールだが、あんな危険な魔法を学園でぶっ放すわけにはいかない。

「セア・シーラムです。得意な特殊魔法には(ご覧に入れられるような)攻撃魔法はありませんので属性魔法の雷玉を使います」

 嘘は言っていない。一部心の声で真実を覆い隠したが……


「「「はあ、」」」

 私の言葉に周囲から落胆の声が漏れる。皆さん熟練度99の特殊魔法に期待していたようだ。

 私の属性魔性は全属性だが熟練度9と言うことになっているから、威力も押して測った結果の落胆だろう。


「では行きます。雷玉」

 私はできる限り威力を小さくした雷の魔法を発動する。と言っても真実の熟練度は∞だ。

 悪い予感に冷や汗が出る。

 慎重に威力を絞って形成しつつある雷玉が予想以上の大きさになりそうだ。

 どうする、どうする私……


 そうだ、こんな時こそ困ったときの特殊魔法だ。

 先週の日曜日に砂漠で練習したブラックホール魔法の新たなバージョンである過重力型ブラックホールを練習中に偶然見つけた縮小魔法を試すときだ。


 これまで通常のブラックホールは空間に亜空間の穴をつなげて形成していた。

 しかし、重力魔法の練習中に気がついたのだが、重力魔法は時空間に大きな影響を与えていることを利用して、空間の限界を超えて高重力を発生させると通常の時空間が破れてしまいブラックホールが発生する。

 新たなブラックホール魔法の完成した瞬間には一瞬の感動を覚えたが、砂漠に新たなクレーターが生じたときには冷や汗が止まらなかった。後から土魔法で修復するのにも大変な目にも遭った。

 そして、この新型ブラックホール魔法が完成する直前の高重力下で、物体は色調が赤変するとともにサイズがドンドン小さくなることに気がついたのだ。

 つまり、新型ブラックホールを作る直前で止めれば、物体を縮小できるのだ。

 これを試さない手はない。







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