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ぼっちデイズ  作者: シュウ
四章
89/128

ぼっちの朝は遅い

日曜日。

それは大半の国民が休日となる日である。

そんな俺も土曜日の夜からゲーム三昧と洒落込み、余裕の寝落ちをして朝・・・というか昼を迎えた。

こんな自堕落な生活ができるのは、この土日の休みだけである。

逆を言えば、この土日のために学校へと出向いているようなものだ。

課題や宿題は平日の学校で終わらせて、家に帰って土日を遊び尽くす。

遊び尽くすと言っても、ゲームしまくってるだけなんだけど、俺にとっては有意義な時間だ。

リア充共が色々とお出かけやらなんやらをしてしまうこの連休に、家でのんびりと羽を伸ばすのはとても大事なことだ。

しかし今日は何やら隣の部屋が騒がしい。

まぁ弟が友達でも連れ込んでいるのだろう。騒がしくても仕方ないことだ。

あいつはなんやかんやでコミュ力が高いし、浩一くんという名の友達もいる。あ、可憐ちゃんとやらもいるけど、あれも友達なのか?

きっと弟もリア充の予備軍なのだと思う。こんな早い段階からリア充の素質を見せつけるなんて、我が弟ながら恐ろしいものである。

とりあえずは、スタンバイ状態になっていたパソコンを立ち上げて、セーブだけしてシャットダウンしておく。セーブは大事だからな。『セーブに罪はない』っていうぐらいセーブするのがコツだ。

階段を降りて一階に行くと、ラップにくるまれた俺の朝ごはんらしきものがテーブルに置いてあった。

これはイジメなのか?

朝ごはんのメニューは、鮭の塩焼き、玉子焼き、白飯、味噌汁だったみたいなのだが、味噌汁以外の3品が、一つのどんぶりにまとめられている。食べにくそうな雰囲気しか出ていない。

俺はハァとため息をついてから、レンジにどんぶりを入れてチンした。

味噌汁は、鍋に入っているので、火にかけて温める。


「ふぁぁあああ・・・」


大きな欠伸とともに、大きく手を上に上げて伸びをすると、ちょうどレンジがチンとなった。

レンジから取り出して、醤油をぐるぐるとかけて、味噌汁を器に入れてリビングのテーブルへと運ぶ。

テレビをつけて、何かアニメはやっていないかと見てみたが、こんな日曜の昼間に何もやっているはずがなかったので、とりあえず録画しておいた深夜の大学のアメフトの試合を見ることにした。

アメフトのルールはアイシールドで覚えた。

ボケーっとしながら朝ごはんを食べながらアメフトを見る。

これでそばにPSPでもあろうものなら、テレビ見ながらご飯食べながらゲームしながらという究極の『ながらタイム』が始まってしまう。これをすると母さんにガチで怒られるので、今回はゲームは無い。

意外と食べやすいこのどんぶり。鮭の骨の置き場所が無いのが難点だが、横にティッシュを置いてそれでカバーした。

そして予想以上にサクサクと食べ終わってしまい、CMだらけのアメフトの試合を流し見すると、食事タイムが終了した。

台所で食器を洗い、その足で洗面所で顔を洗って歯を磨く。

さっぱりしたところで、部屋に戻ってパソコンを起動。


「いや、ちょっと待てよ」


パソコンを起動中に、たまには違うゲームでもやるかと思い直し、デスクトップ画面が写ったパソコンを即シャットダウンさせる。

そしてPS3を起動させて、入れっぱなしになっていたFPSをやる。CODだ。

そろそろ新作が出るんだけど、次のって18禁なんだよな。

どうしてこれは買えるのに、次のは買えないんだ。日本はおかしいと思う。

と思っていても何も始まらないので、とりあえずマルチに潜ってしばらくゲームを楽しんだ。

相変わらず弟の部屋は騒がしかったが、ヘッドホンを付けている俺に死角は無かった。

しばらくアメリカ語での無線情報を聞いたり叫び声を聞いたりしていると、アメリカ語が話せるような気がしてくる。でも『UAVオンライン』なんて言葉を使う機会がない。

たまに現実世界で飛行機が飛んでたりすると過剰反応しちゃうのはこのゲームをしている人間の(さが)だと思う。ヘリコプター見たら『コブラ来た!』とか思うもん。

軍事系と言えば、オスプレイって全然何か知らなかったんだよね。

結構有名になってきてるから調べてみたけど、あの攻殻でよく出てくるあの乗り物のことだったね。てっきりBLなことかと思ってた。

そんなくだらないことを考えながらゲームをしていると、あっという間に時刻は4時を回っていた。

日が沈み始めていて、寒さも増してきていた。

布団にくるまっているけど、コントローラーを握る手が冷たくなってきたので、PS3を消して手を布団の中に入れて温める。

動画でも見ながらあったまろう。そう考えてパソコンをつけた。

そして気がついたらマインクラフトの世界にダイブしていた。

手は依然冷たいが、ゲームをやるからにはこの冷たさは必要なものなのかもしれない。

もしも足が動かなくなってしまったら、俺は引きこもりになるかもしれない。いや、確実になると思う。だって足が動く今でも半ひきこもり生活だもん。

ふと気がつくと、弟の部屋が静かになっていた。

そうだよな。暗くなってきたんだから、おこちゃまは帰る時間だもんな。

しばらくサクサクサクカツカツカツという音を聞きながら作業をしていると、ふと人の気配を感じた。

顔を上げて部屋の入口を見てみると、そこにいたのは木村と吉川さんだった。


「・・・・・・」


完全に目があったけど、俺は夢だと信じ込む決意をした。

だっているわけないもん。夜ふかししすぎたのが原因だと思う。だから幻覚とか見ちゃうんだ。うん。そうに違いない。

そう信じ込んでマイクラの世界に再びダイブしようとしたとき、装着していたヘッドホンが取り上げられた。


「おはようございまーす」

「おはよー」


顔を上げると、木村と吉川さんが笑顔で俺のことを見ていた。


「・・・どうしているんですか?」

「弟くんと遊んでたのよ」

「・・・じゃあ俺、関係なくない?」

「そんなこと言わないで遊ぼうよー」


俺の布団を剥がそうとする吉川さん。


「ちょ、寒いからやめてくださいー」

「あったかそうね」

「バカ、入るなよ? フリじゃないぞ」

「わかってるわよ。ほら。起きなさい」

「起きてます」

「起き上がりなさい」


んだよ。お前は言霊でも使えるのかよ。挙句の果てには『跪け』とか言って、絶対服従させるんでしょ? アブノーマルかよ。


そう言った木村の後ろに、弟が姿を現し、小さくニコッと笑ったのが見えた。

くそっ・・・あいつの策略か・・・

どうせ悪気はないであろう弟に少し苛立ちを覚えたが、木村・吉川ペアの猛攻に耐え切れなくなった俺は、着替えるために部屋から2人を追い出した。

そして電気をつけた部屋でノロノロと着替え始めるのであった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


珍しい組み合わせの二人からの襲撃。


次回もお楽しみに!

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