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ぼっちデイズ  作者: シュウ
四章
86/128

デデーン

「姉さんかっこよかったな」

「うん。私も惚れ直した」


あのあと教室に戻った俺と木村と伊織ちゃん。

教室に入るなり、木村が数人の友達から質問攻めにされた。


『紗枝ってオタクだったの?』

『どんなアニメが好きなの?』

『マンガ派? アニメ派?』

『オタクとかキモくね?』

『どうして隠してたの?』


などなど。

今にも逃げ出しそうなぐらいに困っている木村。

そんな木村を助けたのは、先ほど木村の親友だと公言した伊織ちゃんだった。


『あれは私の勘違いだったのよ。夢と現実がごっちゃになっちゃってさー』


そう笑いながら言う伊織ちゃん。

もちろん周りがそれで納得するはずも無く、質問攻めは止まらなかった。


『いい加減にしなよ・・・言い間違いだって言ってんじゃん』


小さく、かつ怒気を含んだ声で伊織ちゃんが言うと、俺の背中に変な汗が流れた。これが覇気か。彼女には覇王の素質があるのかもしれない。

その怒気に押されるかのようにして、木村に質問攻めをしていた生徒は『変なこと聞いてごめんね』と謝ってから散っていったのだった。

あんなん見せられたらもう『伊織ちゃん』だなんて可愛い呼び方できないわ。

これからは『姉さん』と呼ぶことにした。ちなみに『ねえさん』ではなく、『あねさん』が正しい呼び方であることは言わずもかな。

そんなこんなで木村と今日の朝のことを思い出しながら帰っていた。


「まぁなんにせよ木村のオタクがバレなくて良かったな」

「うん・・・ってあんたがうっかり言わなければ問題なかったのよ!」

「いやいや。親友親友って言ってたからもう知ってるもんだと思うじゃん」

「私のオタク趣味を知ってるのはあんただけだって。他の人には言えないっての。バカじゃないの?」

「バカじゃないですぅ。だいたい何が親友だよ。隠し事があるのによく親友なんて出来るよな」


親友ってのはなんでも話せるような関係じゃないの?


「あんたは親友どころか友達がいたことないからわからないのかもしれないけど、親友にだって言えないことの一つや二つあるもんでしょ」

「例えば?」

「・・・オタク趣味とか」


ダメだ。よくわからん。

『親友』ってのはどこからが親友なんだ? 付き合いが長ければ『親友』になれるのか? それとも濃度?

『親友』という肩書きはどうも曖昧な感じがする。それこそ『友達』と『知り合い』の肩書きと同じ臭いがする。


「じゃあお前のオタク趣味を知ってる俺はお前の親友?」

「いや、あんたとは親友じゃなくて・・・恋人同士でしょ?」


赤くなりながら言う木村。それにつられて俺もちょっと照れる。

改めて再認識されるとちょっとは恥ずかしいもんだな。


「と、とにかく伊織と私は親友なのよ!」

「あーはいはい。わかったから大きい声出すな」


今日のことを思い出して嬉しそうに笑う木村。

まぁなんにせよ大事にならなくて良かった。

こいつにとって姉さんは大事な支えって感じだもんな。


その時。


俺と木村の横をとても素敵な痛車が通り抜けていった。

うわー。イタタタタ・・・

しかも苺ましまろってか。キャラはわかんないけど、金髪の幼女押しってことはなかなかのロリコンと見た。

でもあの車って高級車だよな。だってボンドカーみたいなだもん。

と思っていたら、その車が俺と木村を追い越した辺りで止まった。

そしてその車から一人の男性が降りてきた。あら。なかなかの好青年。渡辺といい勝負だけど、どう考えても年上としての魅力がある分、こっちの好青年のほうが上だ。

そんな近所のおばちゃんみたいなことを考えていると、その好青年がこちらに向かって歩いてきた。

そして木村が全力で逃げ出した。


「おい! どこ行くんだよ!」


振り返りもせずに逃げる木村の背中に声をかけたが、効果はなかった。


「あぁ・・・紗枝・・・」


ふと後ろから木村の名を呼ぶ声が聞こえたので振り返ってみると、さっきの好青年が、少し寂しそうに木村の背中を見ていた。

この人、知り合いかなんかなのか?

好青年が俺を見て声をかけてきた。


「君は紗枝の知り合い?」

「はぁ。まぁ」

「あ、君もオタクだね。一目でわかるよ」


そういうあなたもオタクですね。車でわかります。

ってかなんでオタクってわかったし。俺ってそういうオーラ出てんの? 

ってゆーかこの人誰?


「あのー・・・」

「あ、ごめんごめん。僕は紗枝のお兄ちゃんやってます。木村・ヴィ・ブリタニアだ!」


ニッポンポン!のポーズをとって派手にマントを広げる仕草をするブリタニアさん。


「なんでギアス・・・」

「我の命令に従えっ!!」

「いや、C.Cと契約してから命令してください」

「君・・・」


やべっ。いつものノリで突っ込んじゃった。怒られるか?


「なかなかいいノリしてるじゃないか。及第点をやろう」

「はぁ・・・」


なんか変な人に絡まれた。

ところでこの人誰だ?

さっきなんか言ってたような・・・ダメだ。思い出せない。ブリタニアの印象が強すぎて思い出せない! これがギアスの力か!


「そんなことより、君と紗枝はどういう関係かね?」

「どういうって・・・あなたこそどういう関係ですか?」

「さっき言ったじゃん。紗枝の兄だよ」

「兄・・・」


は?

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


兄、参上!


次回もお楽しみに!

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