表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
17/128

見知らぬ隣人

「紗枝、何してんの?」


突如現れた謎の女。

紗枝と呼んでいるからには、俺ではなく木村の知り合いなのだということはよくわかった。俺に話しかけてくるような知り合いなんてしばらくいたためしがない。


「夏希じゃーん! こんなところでどうしたのさ!」


ん? 誰だ?

今の会話の中で急に知らない奴が参加してきたぞ。

俺の知っている中でこんなキャピキャピ声のやつなんて


「紗枝ってば暗すぎー。一瞬誰かと思ったしー」

「ちょっとねー。夏希、何してんのー?」

「今、ジェットコースター乗ってて、これからゴーカート乗りに行くんだー」

「えー! マジで!?」


いました。

完全に俺の隣で座ってる奴が犯人でした。

こいつ雰囲気変わりすぎだろ。

さっきまでテンション最底辺だったのに、今は翼が生えちゃってるよ。フライハイだよ。

ってゆーかゴーカートって大人も乗れんの?


『ほら、俺のゴーカートが空いてるぜ』

『ちょっと・・・乗り心地すごいね』

『ほら。もっとハンドルに力入れないと運転できないぜ?』

『ちょっと振動すごいー!』


って感じのゴーカートだろ? マジでリア充最低だな。そして俺も最低だな。


「ここで一人で居るんだったらー、紗枝も来ない?」


やっとだ。この長かった戦いがここで終止符を打たれようとしている。

やっとスッキリするわー。まだ体調は気持ち悪いけど。


「いやー、私はちょっとパスするわ」


なんですとー!?

いやいや。行きなさいよ。さっきまで散々ケータイいじってたじゃない。

暇なんでしょ? 暇なら暇って言ってしまったほうが楽になるわよ?

つーか行けよ! 行っちゃえよ! むしろ行ってください!!


「えー」


ほら友達も残念そうじゃん。

アイコンタクトを試みようとチラッと横目で見た。

こっち見てねぇや。


「ちょっと気分悪くてさ」

「大丈夫? 一緒にいようか?」

「あ、ううん。大丈夫だから。夏希はみんなと遊んでてよ。せっかく遊園地来たんだし」

「そう? じゃあなんかあったらケータイで呼んでね? すぐ来ちゃうから」

「うん。ありがと」

「じゃあねー」


うそーん。行ってしまわれた・・・

これから俺はどうすれば・・・

そんな視線を隣に座っている、別人と化した木村に向けていた。

すると目が合う。


「何よ」

「何よじゃねぇよ。一緒に行けよ」

「別にいいでしょ。私はちょっと疲れたからここに座っているの。別にあんたの看病をしてる訳じゃないんだからね」

「もう完全にツンデレだろ」


言ってから気づいたのだが、蹴られると思い、足に力を入れた。まぁ足の甲には力を入れても踏まれた痛いので、念でガードした。硬だ。雰囲気ね。

・・・・・・・・・・・・?

いつまで足をオーラで包ん(だつもり)でも蹴りが来ない。

恐る恐る目を開けてみた。


「・・・蹴らないの?」

「・・・蹴って欲しいの?」

「いや、勘弁してください」

「ふん」


またケータイをイジる作業に戻る木村。

なんだこれは。

さっきの人に会ってからまるで別人のように・・・正確にはジェットコースターに乗ってからか。頭をいい具合にシェイクされたのか?

と思っていると、木村が俺のことを横目で見た。


「別にツンデレとかじゃないからね。ただあんたがこうして具合悪くなってるのは私のせいだし、一人にしてあとでブーブー言われるのが嫌だからこうやって一緒に居てあげてるんだからね。そこんとこ勘違いしないで」


人はこれを『ツンデレ』というんだ。勘違いしているのは木村だ。

ここまで来たら、意外に頑固な木村はテコでもギアスでも動かないだろう。


「わかった。俺も紳士だ。隣に座ることを許してやろう」

「なにそれ。キモッ」

「キモイとはなんだ。失敬なやつめ」


やっぱりコイツ嫌いだ。めんどくさい。

めんどくさい奴は嫌われるぞー。

それからまた少し沈黙が続いた。

なんか気まずいなぁ。気まずさマックスだぜ。こんなことなら大人しく休んでれば良かった。


「ねぇ」

「ん?」


さっきのキャピキャピ木村さんはどこへ行ったんですかー?


「ちょっとオタトークしてみない?」

「はぁ? こんなところでか?」

「だってすることないじゃん」

「無くは無い。ただしお前が居なくなればの話だ」

「結局無いんじゃん」


話が通じない。

・・・ダメだこいつ。早くなんとかしないと。


「だいたい、お前は学校でオタクだってのをバレたくないんだろ?」

「まぁそうだけど・・・」

「それに俺と話してていいのかよ。俺とメールしてるのだって隠してるんだろ?」


言葉だけ聞いていれば、隠れて付き合っているカップルのようだが、もちろんそんな事実はない。

もしもそんなことを言うやつがいるならば、全力で叩き潰すしかない。この世から消滅させてもだ。


「・・・いいじゃん。暇だししようよ」


こいつは隠したいのかどうかもよくわからん。

リア充の考えることはぼっちにはわからんな。滅べ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


意外と仲良しですねww


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ