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ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
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野外学習

なんやかんやあって6月の半ば。

ついに野外学習という名の地獄の日を迎えた。

バスの中では窓側に座り、乗り物酔いしやすそうなことを理由に静かに寝ていた。あまりに爆睡しすぎてヨダレが出ていたのは言うまでもない。

隣に座っていたリア充は、通路を挟んだ隣にいる友達と話していたらしい。

そして無事に遊園地に到着。

バスを降りて学年全員が集まり、300人の団体が先生の言う注意事項に耳を傾けていた。まぁそんなのは形だけで、大半はこれからのリア充体験に胸を踊らせているはずだ。

俺は昨日の夜から川崎グループから逃げ出す算段を立てていた。この最初の注意事項の説明直後にさりげなく逃げ出すのだ。

そしてこの計画を考えている時に気がついた。グループ分けしないほうがいいと思った。多分仲間外れとかの防止なんだろうけど、ぼっちからしてみれば余計なお世話以上の何物でもない。しんどいわ。つくづく学校の考えることというのはよくわからないと思いました。まる。

さて説明も終わったことだし逃げるとしますか。スタコラサー。


「ちょっとどこ行くのよ」


と思って後ろを向いたら木村に呼び止められた。

なんですかー。俺の逃走経路の邪魔をしないでくださいー。


「なんで呼び止める?」

「伊織が彼氏と一緒に回るからって抜けるのよ」

「伊織? 誰それ? アイマス?」

「私の友達よ。さっきまで一緒にいたでしょ」


周りを見るとその伊織とやらの姿はもうなかった。というよりもどれが伊織なのかわからない。見た目がアイマスの伊織のイメージしかないからお金持ちの幼女しか思い浮かばない。あんなやつ身近にいたら嫌だわ。


「いや、どんなやつか知らんし」

「ふーん」

「ふーんって。で、その伊織ちゃんとやらが居ないのと俺の逃走経路を邪魔するのとどういう関係があるんだ? うさぎのぬいぐるみでも探してるのか?」

「さっきから何言ってんの? さすがにキモイわ。察しなさいよ。私一人なのよ」

「はぁ・・・だから?」

「だからって・・・」

「他のグループに混ぜてもらえばいいんじゃねぇの?」


そうそう。カップルで抜け駆けもアリなら、他のグループに混ざるのもアリだろう。


「みんなグループ単位で行動しちゃってるところにお邪魔するのってなんか空気読めてない感じで嫌じゃない?」

「俺に聞かれても・・・」

「そっか。あんたの周りは常に真空だもんね」

「酸素も二酸化炭素も存在しているよ!」

「まぁいいんじゃないの。どうせ一人なんでしょ? 私が付き合ってあげるって言ってるのよ」

「別に頼んでねぇし。それに川崎にもわざわざ俺をグループに入れてくれたんだから・・・」

「で、川崎くんは?」

「へ?」


さらに周りを見るともうほとんどの生徒が居なくて、残っている生徒の中にも川崎達は居なかった。


「あ、あれ?」

「川崎くん達ならサッカー部の人たちと一緒に行っちゃったよ」

「なんと」


結局俺は人数合わせでしたってことな。川崎なんか爆発してしまえ。ぼっちに人権などありませんでした。

でもまぁこれはこれで結果オーライだな。


「じゃあ俺行くわ」

「どこに?」

「どこって・・・誰もいなさそうなところ」

「だったらちょっと私に付き合いなさいよ」

「付き合うとか軽々しく言うな」


もしも俺がその気になっちゃったらどうするんだよ。

好きとか言われちゃったら簡単にその気になっちゃうんだからな。


「なにさ。せっかく遊園地に来んだからもうちょっと楽しめば?」

「楽しむって言われても、こんなリア充ばっかりのところでどうやって楽しめって言うんだよ」

「素直じゃないよねー。そんなんだからぼっちなんだって」

「ぼっちバカにすんな。仲良くしたい奴がいないからぼっちやってんだよ」

「なんで誇らしげに言うのよ。どう考えても中二病の延長じゃん」

「中二病とは違うだろ。中二病っていうのはもっとだな」

「あのー・・・」


俺と木村が言い合いをしていると、横から申し訳なさそうに女の先生が割って入ってきた。


「せっかくの野外学習なんですし、ケンカはやめて・・・ね?」

「はぁ・・・」


なんでこういう先生って首突っ込んでくるんだ?

究極の接客は『話しかけないこと』っていうように、生徒と円滑に関係を気づく方法も『話しかけないこと』だと思う。特にぼっちに対して。

もしも好きでぼっちやってるのに『先生、みんなと仲良くしてない○○君が心配だなぁ』なんて言われたらもう学校に来ないと思う。で、休んだら休んだで家まで押しかけてきて『どうして学校来てくれないの? みんな待ってるよ?』とか言うんだ。


「先生は何もわかってない。みんながいるから・・・いや、先生がいるから学校へ行きたくないんだ!」

「先生のせい?」

「そうだよ! 俺が学校に行かないのは先生がいるからだよ!」

「やっぱり先生は先生に向いてないのかなぁ・・・先生はただ○○君と一緒にお勉強したかっただけなんだけどなぁ・・・」

「先生・・・」

「○○君・・・」


ガシッ。エンダァァァァァアアア

ってなるわけないじゃん。

また簡単にトリップしてたな。一人でいることが長いとトリップ(妄想)するまでの感覚がすごい短くなるらしい。俺の好きな漫画に書いてた。


「ほら。せっかく恋人同士なんだから仲良く・・・ね?」


は?

俺と木村は謎の発言に対して、互いの顔を見た。

そして先生に向かって一言。


「「付き合ってません!!」」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


遊園地編スタートです。

編っていうほど長くないですけどね。


次回もお楽しみに!

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