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ぼっちデイズ  作者: シュウ
六章
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うぜぇ

渡辺が色々と暴露った(ゲロった)あとの昼休み。

木村が姉さんと昼飯を食べるということで、吉川さんの隣の男子の席に座った。

ここ最近は木村と姉さんと吉川さんの3人で食べるのが習慣になっている。

とは言っても、姉さんの隣の席には俺が座っているもんだから、実質4人で食べているように見えなくもない。ちなみに俺は会話には参加してません。

俺がこうしておとなしくしているのは、自分の席を離れたところで行く宛もないし、席を離れたら離れたで、木村から『どこいったの?』とか『やっぱり迷惑?』とかっていうメールが送られてくる。その様子を見てケラケラと笑う姉さんと、『ラブラブですねぇ』なんて言って茶化してくる吉川さんへの対応がちょっとめんどくさい。


「でさ、昨日のテレビでさー、ドッキリとかやってたわけよ」

「あの飲み会隠し撮りってやつ?」

「そうそう。あんなのやられたら人間不信になっちゃうよねー」

「あれは芸能人だから許されるんだと思うなー」

「うわー・・・私芸能人にだけはなりたくないわー」

「大丈夫だよ。紗枝の頭なら芸能人になれないから」

「そんなことないってー。木村さんにはまだおバカ芸人としての道もあると思うなー」

「二人ともひどっ!」

「「アハハハ」」


穏やかなガールズトークをBGMにしながら昼飯のパンを食べる。


「おい。今のどういうことだ? 木村って頭悪いのか?」

「・・・・・・」

「なぁ、おいって」

「食事中は静かに」


そんな穏やかな昼食タイムに水を差すような男が渡辺以外にいるだろうか。いいえ。いません。

俺の席と窓の間に無理矢理座り込んで、女子3人の会話を聞きながら、俺に解説を要求してくる。

マジでうっとおしい。

今の会話内容でわからないとか、どんだけ観察力ないんだよ。

木村が頭悪いのは周知の事実なのに、それに気づいてないであろう渡辺はちょっとおかしい。


「木村がバカだから、そっち系の路線しか目指せないよねーって話。あとどっか行け」

「そんなに頭悪いのか?」

「本人に聞けよ。目の前にいるんだから」


そう言って渡辺とともに木村を見ると、ものすごい眼力で木村がこっちを見ていた。

聞こえてたのか・・・バカのクセに地獄耳とか。


「・・・聞こえた?」

「バッチリと」

「でもお前がバカなのは事実だろ」

「だからって渡辺にまで言うことないでしょ」

「こいつが聞いてきたんだから仕方ないだろ。攻めるなら渡辺を攻めろよ」

「嫌よ。私、渡辺とそんなに仲良くないし」

「えっ!?」


木村から渡辺に50のダメージ。


「そういえば紗枝と渡辺が仲良くしてるところなんて見たことないわね」

「うはっ」


姉さんから渡辺に20のダメージ。


「渡辺くんって仲良しな人いるの?」

「い、いるし!」


吉川さんから渡辺に10のダメージ。


「渡辺ってぼっちだったのか」

「お前と一緒にすんな」


俺から渡辺へこうげき。ひらりとかわした。

これだけ精神攻撃を受けていたら誰かが『もうやめて! 渡辺のライフはゼロよ!』とか言って飛び出してきそうだが、こんな面白いいじられキャラを放っておく3人娘達ではない。

よって攻撃は続くと思ったのだが、渡辺の顔を見ると、心無しか笑っているように見えなくもない。

ホントMだとこういうときは役立つよな。精神的ダメージが少ないし。豆腐メンタルとは無縁なんだろうな。


「俺だって友達ぐらいいるし!」


そう言って俺の肩を組む渡辺。


「えっ、ちょっとやめてください」


そう言って渡辺の腕を肩からどける俺。


「いや、俺ら友達だろ?」

「友達(仮)だろ」

「『(仮)』ってなんだよ。『(真)』とかだろ」

「それと俺、誰かにからだ触られるの嫌なんだよね」


そしてうなだれる渡辺。

やはり男からの精神攻撃は心に響くようだ。ざまぁ。


「あんたらホント仲良いね」


ニヤニヤとした笑みを浮かべて木村が言った。

えっ? どこが? どこが仲良しに見えたんですか?


「仲良しだよねー。私も2人みたいな友達が欲しいなー」

「私と吉川さんは友達でしょー?」

「木村さん・・・」

「吉川さん・・・」


見つめ合ってエヘヘと笑い合う木村と吉川さん。

それを見ていた姉さんが『ムッ』と声を上げた。まーた嫉妬してんのか。


「・・・私だって紗枝と付き合い長いし」

「伊織と私は親友だもんねー」


笑顔でそう言う木村の顔を見てホッとしたのか、伊織ちゃんもエヘヘと笑った

その二人を見ていた吉川さんがボソッと呟いた。


「木村さんと織田さんみたいな友達が欲しいなぁ・・・」


そういえば吉川さんの友達ってあんまり見たことないかも。

どんな人いるのかもーとか思ったけど、吉川さんが友達と一緒にいたのって、学校祭の時以来見たことがない。

羨ましそうに木村と姉さんを見ている吉川さん。

そんな吉川さんは、どこかしら寂しそうな雰囲気を醸し出しているように見えなくもなかった。


「お、俺とお前は友達だよな?」

「だぁってろ!!」


渡辺うぜー・・・


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いて頂けると嬉しい限りです。


本日より予約投稿になります。

毎日13時更新を予定してます。


次回もお楽しみに!

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