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持論:初対面の評価で今後が決まる


 疑問:キャラクターを立たせる使い方は?



 人間の評価は、初対面でおよそ八割が決まると言っていいでしょう。

 身なりが汚い人よりは、綺麗な人を優遇します。

 口下手な人よりは、口が上手い人の話を聞きます。

 醜い人よりも、美しい人に好感を抱くでしょう。

 普通の人よりは、特徴がある人の方が記憶に残ります。

 もちろん人付き合いしているうちに評価が裏返ることも少なくありません。しかし相手をよく知らない初対面では、目に見える部分だけで評価をしてしまうのが人間です。他に評価基準がないからです。


 小説でも同じです。

 書籍小説でおおよそ見開き二ページ――千文字以内で、読者はその作品の評価を下しているはずです。



 多くの作家さんが陥りやすい罠として、最初に状況や世界観を説明しようとすることがあります。作者さんの力作を、読者さんに楽しんでもらうためには、そうした方が作品のストーリーを読みやすいだろうという考えでしょう。

 しかし身もフタもない言い方をすれば、どうでもいい事です。

 読者さんが見ているのは、キャラクターの言動です。状況や世界観は、キャラクターを通して見ているのです。

 説明は節目節目で入れていけば十分です。

 だから多くの小説作法を書いた読本では、最初にガッツリと説明するのは、やめるべきだとされています。


「冒頭では死体を転がせ」

 小説の書き方を模索していると、よく見られる言葉です。

 これはミステリーの手法なので、殺人事件など出てこない他のジャンルでは通用しない手段ですが、根本的な部分は同じと考えていいと思います。

 個人的にはこれを『インパクト』『謎』『行動方針』の提示だと認識しています。



●インパクト

 キャラクターの言動においてのインパクトとなると、初登場時、いかにその人物を魅力的に魅せるかという一点に尽きるかと思います。実際に人と会った時と同じで、初対面で登場キャラクターの印象は決まってしまいますから。

 しかし一番最初にキャラクターの魅力を出すというのは、不可能です。ある程度の文章量を使って場面を重ねていかないと無理ですから。


 しかし読者にキャラクターの印象を与えることは、可能なはずです。

 善人ならば善人らしく。悪人ならば悪人らしく。

 主人公は主人公らしく。かませ犬はかませ犬らしく。

 単純な性格ならば単純に。ミステリアスな性格ならミステリアスに。思慮深い性格ならば思慮深く。内気な性格ならそれっぽく。

 作品が進んでも性格がブレることがないよう(作中でキャラクターの内面が成長したならまた話は別ですが)、最初の場面でビシッと出してしまう。


 ……言葉で言うのは簡単ですが、実際にやるとなると感覚的な(しかも読み手の感情でまた評価が異なる)ものですから、難しいのですが。


 あと注意が必要なのは、奇抜さが求められてるわけではないこと。

 奇抜なアイディアが目を惹きやすいのは道理ですが、それがなければ作品、ひいてはキャラクターがダメだという認識は違っています。

 むしろ最初からそんな特殊性を出されると、引く場合が多いです。

 小説に求められているのは奇抜な設定ではありません。ドラマです。設定はドラマを盛り上げるための舞台装置です。いくら奇抜でも生かせなければ宝の持ち腐れです。

 そこは勘違いしがちな部分ですが、してはいけない部分です。



●謎

 最初でキャラクターの魅力を出そうと思っても不可能というのは、上記しました。

 ならばいっそのこと詳しいことは書かずに、「このキャラクターはどういう人物?」と読者さんに思わせるのもひとつの手です。

 TV番組でよくやる「続きは六〇秒後」です。

 CMなどではおなじみの「続きはWebで」です。

 話をぶった切って『引き』を作るのも、ひとつの手段です。


 というより、小説において読者を惹きつける方法のひとつは、「情報をうまく隠す」ことです。ミステリーはその典型ですし、他のジャンルでも「次になにが起こるか?」を隠して進行します。(そういう意味では「テンプレ」などと揶揄されるものを迎合されるこのサイトは相当に特殊)

 作家の性として、説明する時は全部説明したくなるのですが、それをひとまず置く。もちろん理解不能な文章になるのは論外ですが、全部説明するのも大きな問題です。


 キャラ描写も同様で、最初から全部を説明する必要がないです。

 話の進展上必要な説明と区別がつきにくいので、難しい部分ですが、「主人公がどういう境遇」で「現在どういう状況にあるか」という流れを最初は説明しがちですが、絶対必要条件ではないです。

 あまりダラダラと続けるのも問題ですが、なんとなく「こんなキャラクター」という輪郭が伝われば、それで十分です。

 むしろ後で書くネタを残すくらいの気持ちでもいいのでは?



●行動方針

 これは絶対条件とは言えないことですが。


 殺人事件が起こったら、探偵・刑事役が事件を解決しようとするでしょう。

 カーチェイスが起こったら、クライムサスペンスなら逃げる方、アクションなら追いついて停止させようとするでしょう。

 少年と少女が出会ったら、恋が始まるでしょうか?

 映画のように二時間少々でピシッと話を終える短いシナリオの時などでは、一番最初の登場シーンで、そのキャラクターの物語での役割はおおよそ出されています。説明しなくてもキャラクターの立場と性格が明らかになれば、それは提示できます。


 物語が進行するとキャラクターの立場が変わることが珍しくないので、必ずしも当てはまるわけではありません。しかし数多くの作品群を見ると、初期に提示されている場合が多いです。

 よくあるパターンでは、一般人の主人公が事件に巻き込まれる話。こういう作品では時系列をひっくり返して、クライマックス部分を冒頭に持ってくる場合が多いです。

 途中経過をすっ飛ばしているので、見る側にとってはなにがなんだか理解できません。しかしその場面に向かって物語が進行し、キャラクターたちが行動することは理解できます。


 明確に明示されていることは少ないです。ですが話の筋を簡略化し、読者にとって理解しやすくするには、最初からキャラクターの言動を通して、物語内での行動方針を打ち出した方がよいかと思います。



 これは「こうすればいい」と言っても理解できるものではないですし、タブロイド化して正解を提示できるものではありません。

 何度も書いて、何度も添削してもらって、試行錯誤の末に作者さんが自分なりの感覚と答えを掴むしかないでしょう。


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