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第五十話 勉強会と理由

 神代のおかげで会長は静かになったので、俺達はようやく勉強し始めた。

 幸太は一之瀬に教わりつつ勉強して、俺と神代は黙々と取り組む。

 しばらく勉強を進めていると、やっぱりどうしてもわからない問題が出てくる。

 神代に聞こうと頭を上げると、会長が持っている教科書の影からチラチラと見ていた。

 勉強しているのが退屈なのか、どうやら教えてあげたいといった視線を感じる。

 こんな時どうするのが正解か……答えは決まっている。

 当然、俺は無視して神代に聞いた。


「神代、少しいいか? この問題を教えて欲しい」


「この問題ですか? ここは……」


 問題の解き方と、その問題の基礎になる部分を丁寧に教えてもらった。


「助かった。ありがとう」


「どういたしまして」


 そう言って、俺達はまた勉強に取り組む。

 そんなやり取りを神代と何回か繰り返していた時だった。


「すまん。この問題……」


「どこでしょうか!?」


 俺が神代に教えてもらおうとした瞬間、俺の言葉を遮って会長が聞いてきた。


「っ……えーと……ここなんだが……」


 俺は驚いて、そのまま会長に質問してしまった。

 会長は一瞬問題を見ると、俺の教科書を手に取って、ものすごい速さでページを捲っていく。

 おそらく速読というやつだ。

 全てのページに目を通した会長は、教科書を閉じて俺に返してきた。


「五十六ページをやると、わかると思います!」


 俺は言われたページを確認する。

 そこには基礎問題と少し簡単な応用問題が載っていた。

 一応この問題もやったんだけどなぁ……。


「その問題は少し面倒なものです。ノートに補足の説明を入れてますのでどうぞ」


 神代は困っていた俺の様子に気づいて、ノートを貸してくれた。


「……助かる」


「むー! どうしてわかちゃんばかりに聞くのでしょうか!? 私も混ぜてください!」


 そんな俺と神代のやり取りを見ていた会長は、我慢の限界がきたようで、駄々を言う子供みたいになってしまった。


「……先程邪魔しないでくださいねって言ったばかりなのに」


 神代は呆れた様子で手を頭に当てている。


「天ヶ瀬君もなんで私に聞かないんでしょうか!? こう見えても私! 学年一位です! もっと質問してくれていいですよ!?」


 そういえば速水がそんなことを言ってたな……。


「会長は一度見ればすぐに解けてしまうじゃないですか……」


「え? 一度見れば解けるのが普通でしょう?」


 会長は不思議そうな顔をして、とんでもないことを言ってきた。


 嘘だろ……速水が化け物って言うのも納得だわ。

 ドン引きしていると、会長が俺を見てきた。


「じゃあ! 教えないので構って下さい!」


「勉強してるので……」


「む~!」


 俺が断ると、会長はふくれっ面で不貞腐れてしまった。

 俺と神代は顔を見合わせて悩んでいると、幸太が話しかけてきた。


「俺も疲れたから、少し休憩しね?」


 確かに時計を見ると、勉強を始めてから一時間過ぎていた。


「私も幸君の意見に賛成です。それに聞きたいこともありますし」


 一之瀬も幸太の案に賛同したので、俺と神代は仕方なく同意した。


「では! お話をしましょう!」


 休憩と言う言葉を聞いた会長は機嫌を直して提案してきた。

 特に何かしようと決めていなかったので、俺達は会長の案に乗った。




「思ったんですけど、天ヶ瀬君と会長って仲が良いですね」


「あ、陽香も思った? というか仲が良すぎると思う」


「……私もそう思います」


 会長と俺以外の奴らが、全員そんなことを言ってきた。


「俺はそんなこと思ったことないんだが……。というか一之瀬も俺と同じような感じだろ」


 初対面なのに強めの抱擁をくらった一之瀬のほうが、仲が良いと言えるような気がする。


「すみません、言い方を間違えました。男の人なのに会長と仲が良いですよね?」


「どういうことだ?」


「会長が男の人に対して、そんな風に絡んだりする話を聞いたことがないので」


「嘘だろ?」


「現に幸君に対して、そんなに絡んでないじゃないですか?」


 一之瀬の言う通りで、生徒会室に入ってから会長が幸太と会話をしたのは一回だけ、それ以上の会話をしていない。

 俺は真偽を確かめるため、神代のほうを見た。


「……そうですね。一之瀬さんの言う通りです」


 神代は俺と目を合わせず、横目で斜め下を見ながら申し訳なさそうに答えた。

 まじか……。

 神代の言葉を聞いて、俺の気分が沈んでいく。


「こういうのは本人に聞くのが一番早いぞ。ってことで、どうなんですか会長?」


 幸太が何の気兼ねもなしに会長に質問した。


「それは天ヶ瀬君が私に興味がないからでしょうか?」


 会長は少し考えながら、そう答えていた。


「興味がないって言うのは?」


「大体の人は初めて私と話すとき、会長だからなのか敬意の眼差しで見てくるんです。その他の意味を持ったものもありますけど、ほとんどがそれですね。でも、天ヶ瀬君は私を見て驚きはしましたが、それだけです。まるで私のことに興味のないような」


 いや、嫌悪っていう感情は持ってるんですが……。

 そのまま三人は黙って会長の話を聞いている。


「それが私にはとても不思議で、彼に興味を持ったからですね!」


「……だから俺の性癖を知りたいと?」


「はい! でも、恋とかそう言ったものではないので、勘違いしないでくださいね? あ! 今のちょっとツンデレっぽくないでしょうか!?」


「しない上に、ぽくないから。そしていい迷惑だ」


「残念。天ヶ瀬君の性癖にツンデレはなかったみたいです……」


 会長はまた俺の性癖を知ることができず、しゅんとなって残念がっていた。


「この話は終わりで、休憩も終わりだ。あと少し勉強したら俺は帰る」


 俺が話を打ち切ると、幸太と会長が嫌そうな声をあげる。

 しかし、一之瀬と神代が賛同してくれたため、勉強を再開した。

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[一言] 気になりかけは恋の始まり ふふふw
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