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祝50話

「くそ!どうなっているんだ」

ジューノは、先ほど受けた報告に怒りで震えていた。


「配達の依頼も達成。帝国への抹殺依頼は拒否され、念のための暗殺者ギルドも失敗。思っていたよりやりますな・・・」

老齢の男が、愉快そうに静かに口角を上げた。


「この王国において、王族を差し置いて王都の顔になるなど、あってはならんのだ!」

ジューノは机にドンと拳を打ち付けながら、歯ぎしりをした。


「そうですな。それでは、こんなのは如何でしょうか?」

老齢の男がニヤリと笑うと、次の案を話し出した。


「ほう。おもしろい・・・」

ジューノは話を聞き終えると、下卑た笑みを浮かべた。




それから、二週間弱が経ち、キール達一行は、王都の城壁が見えてくるまでに近づいた。


「おお、やっと見えてきたよ」

キールが声を上げると、荷台のリディアと宗方も乗り出してきた。


「やっとですね・・・・・て、うん?」

宗方が何かを見つけた。


「おいおい、なんか煙が上ってるぞ!」

リディアもそれに気づいたようで、異変を口にした。


「社長、そんな悠長にしてないで飛ばしてくれ!」


「うん、急ごう」

何も気づかなかったキールは、リディアに叱責されてはじめて、真剣な顔で頷き、馬を急がせた。



え、見えなくない?城壁があんなに小さく見えてるだけだよ?超人の身体能力と一緒にしないで欲しい・・



が、内心では、自分と社員の差を実感し、ちょっと落ち込んでいた。



近づけば近づくほど、王都の内から聞こえる悲鳴や、怒号は大きくなっていった。

よく見れば、門から人が我先にと出ようとして溢れかえっており、門の隙間から見える街並みは、家が崩れ、火の粉が上がり、王国の繁栄を残してはいなかった。


「門から入ることは出来なさそうですね」


「そうだな、ならばどうするか・・」

宗方のつぶやきにリディアが同意すると、ジーッと宗方はリディアを見た。


「ここ抜きます?」

うん、と小さく頷くと宗方は、城壁を指さしながら、リディアに尋ねた。


「そうだな、それが良い」

一瞬呆気にとられた顔をするも、リディアはにやっと笑い、肯定した。


2人はほぼ同時に息を吐き、集中すると、宗方は抜刀術の構えをし、リディアは手のひらを前に突き出した。


「『闇の捕食者(ダーク・プレデター)』」

「『海の浸食(マリン・クラック)


黒い礫がと、水の斬撃が、同時に城壁へとぶつかり、大きな音と突風が辺りに降り注いだ。


「やっぱり、お前もか」

「ええ、あなたもですね」

お互いがお互いをなんとなく、直感で精霊の守人であるのが分かっていたかのように、目を合わせた。


「・・・・・」

キールはそんな超常の2人をみて、考えることを辞めた。



砂埃が静まり、見事に分厚い城壁を貫いたその先には、敵の姿が見えた。


「・・・あれが、敵ですか」

「・・・これまた、デカいな」

2人の目の前には、王城と同じくらいの大きさの暴力を体現したような悪魔がいた。


「・・・・・でっけ」

3メートルほどの厚さの石が砕ける事に疑問を持っていたキールでさえも、その大きさに驚いた。





「ここで、いいのか?」

ジューノは老齢の男に連れられ、暗くひっそりとした王城の地下室に来ていた。


「ここは、王城が建てられた当初より、ある隠し金庫です。そこの台座にある宝石を手に持って下さい」

男は、いそいそとジューノに指示を出した。


「こんな部屋があっただなんて、俺でも知らなかったぞ」

ジューノは言われるがままに、部屋の中を見渡しながら宝石に近づいた。


「普段は隠されていますからね。さぁ、拒否反応が出なければ、英雄の資格がありますよ」

男がそう言うと、ジューノは一間おいて、宝石を手にとった。


「なんと見事な宝石だ。力が溢れてくるようだ」

ジューノはその宝石から力を感じ、高揚していた。


「さぁ、その魔方陣の中心に立ち、その結晶を飲み込んで下さい」

男は、淡々と手順の説明を続けた。


「わかった・・・ハハハ、これで俺が超人的な力を手に入れれば、俺が英雄だ!」

いびつな笑みを浮かべ、ジューノは高らかに笑いながら、一気に宝石を飲み込んだ。


ゴクリ


「・・・・・・・何も変わらないが?・・ゴハっ・・貴様、何を・・・」

身体に何も異変を感じず、失敗したのかと男に確認しようと振り返った瞬間、ジューノは口から血を吐き、胸に感じた違和感の原因を睨んだ。


「何、手順どおり、最後のピース。より強い血の心臓を捧げたまでですよ。勇者の血のね」

男はナイフをジューノの胸に刺し、今までに無いほど口角をつり上げた。


ドサッ

ジューノはそのまま床に力なく倒れると、その周りを赤い灰が飛び交い、ジューノを包んだ。


「グァァァァァァァァァァアアアアアア!!!!」

次の瞬間、倒れていたジューノがむくりと起き上がり、筋肉は皮膚を突き破るほど膨張し、灰が皮膚となり、悪魔が誕生した。


「ひひひ、これで悲願が達成する!最後の赤の悪魔『滅びの悪魔』・・ああ!素晴らs」

男は下卑た笑いこぼし、悪魔を讃えようとした。


ブチュっ

悪魔につままれた男の頭が潰れた。


悪魔は手についた、潰れた頭をあーんと飲み込むと、嬉しそうにニヤっと笑った。




グチャ・・グチャ・・ニチャ・・


「まだ・・・足りない・・・」

男の身体を骨の一本も残さず、完全に食べ終えると、悪魔は外へ向かった。


読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや評価よろしくお願いします。

衝動的に書き始めた今作品が、本1冊分といわれる約10万文字まで行ったのは皆さんの応援のおかげです。ありがとうございます。

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