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不穏


「ハハハハハ!どうだこのスピードにはついて来れないだろ!」

ニッグは、残像が残るほどのスピードで、2人を攪乱するかのように、転々と高速移動をした。


「確かに、見違えるほど早くなりましたね・・」

宗方はそう呟くと、刀を鞘にしまい、再び構え直した。


「おうおう、戦意喪失かぁ!?ならば、王子から貰った特製強化薬でパワーアップした俺様にさっさとやられるんだなぁ!!」


「巌水流・・・・・・」

宗方の動きが完全に止まった。


「死ねぇ!!」

そのタイミングを見計らったかのように、矢の如くニッグは突っ込んだ。



泡沫(うたかた)の夢」

その言葉が宗方から発せられると同時に、間合いに入ったニッグの首が、ごろりと落ちた。



「逃げられない、か・・・・・たたみかけろ!」

部下のひとりが、かなわないことを察したのか、逃げた先の罰があるのか、一間開けて覚悟を決めた。


「「「「ううあ・・うぅ・・ウガアアアアアア!!!」」」」

その合図と共に、全員が懐から錠剤を出し、飲み込んだ。

「憐れ・・・人の心を失ったのですね・・・」

「さっきの薬の許容量を超えちまったみたいだな・・・弔ってやるよ」

叫び声を上げながら、肉体が膨張していき、魔物のようになっていく者たちを見て、2人は、少し悲しみを覚えた。


「「「「ガアアアアアアアアア」」」」


「理性があったときの方が、厄介でしたよ」

「フン、気に入らない・・」

一斉に襲いかかってきた、連携もとらない敵に対して、2人が負ける道理もなく、そこからの戦いは、一方的であった。



「こんなもんか・・ところで、あの薬、王子から貰ったとか言ってたな」

リディアは、少し気になることを呟いた。


「ええ、王子の中のどなたでしょうか?」

宗方も顎に手をやり、考え込んだ。


「そういえば、社長、今回の無茶な依頼は第一王子だったよな」

リディアが馬車で服を着替えてるキールに尋ねた。


「うん、そうだね」

キールは、細切れになった服を残念そうにかき集めながら答えた。


「無茶な依頼?」

宗方がその言葉に反応した。



「・・・・・で、今に至るわけだ」

「なるほど・・・少しきな臭いですね」

リディアが説明し終えると、宗方も顔を曇らせた。



「社長、この行方はどう見てるんですか?」

宗方がキールに尋ねた。


「ん?まぁ、なるようになるよ。君たち含め、皆優秀だからなんとかしてよ」

キールは服のボタンをしめながら、話半分でしか聞いていなかったので、適当に流した。


「・・・はぁ、やっぱり社長は何も教えてくれないですよね・・」

宗方はため息をつきながら、キールは秘密主義だからなぁと肩を落とした。


「とりあえず行こうよ。いろいろあったけど旅はまだ始まったばかりだよ」

キールは着替え終えると、いそいそと御者席に乗り移った。


「そうですね、早く帰ってエリーナに聞きましょうか」

宗方は同意しつつ、荷台に載った。


「エリーナって言うとあの副社長か」

リディアもそれに続きながら、エリーナの顔を思い出した。


「彼女は情報戦において最強だからね」

揺れ出した馬車のなかで、宗方はフフッと小さな笑みをこぼした。


「そうなのか?俺も職業柄たくさんの情報を仕入れてきたが、特別なことは何もなかった気がするが・・」

これまでの記憶を思い出しながらも、やはり思い当たる節はなかった。


「エリーナは配達会社グリフォンフライの創立から一緒だけど、その手腕は恐ろしいよ」

宗方が当時を懐かしむように、どこか誇らしげに腕を組みながらうんうんと頷いた。


「多分、社長の見てる世界に一番近い世界を見てるんじゃないかな」

そして少し真剣な顔をして、リディアの目をまっすぐ見た。


「そこまでか・・確かに俺の職業を知っている感じがしたな・・なら聞いてみる価値はあるかもな」

リディアは初めて会ったときのエリーナの反応を思い出した。彼女は暗殺者ギルドを抜け、リディアが追われる身だという事を理解していたのかもしれないと考えた。


「まあ社長の言う通り、まだまだ王都への道のりは長いからね。その間に考え得ることを考えておこう」

そう言うと、宗方は肩の力を抜き、前のめりだった身体を、背もたれにもたれかけた。


「そうだな」

そんな宗方に同意し、リディアももたれかけ、王都の方角を眺めた。


読んでいただきありがとうございます。

評価やブックマークをよろしくお願いいたします。その際、20秒ほどお時間いただければ幸いです。



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