不安
すみません、忙しくて、寝てました
「社長、グランツさんは大丈夫ですかね」
ロイとグランツが悪魔を倒し、王都に帰っている頃、配達会社グリフォンフライでエリーナはグランツの身を案じていた。
「大丈夫だよ、グランツは元冒険者だよ?何があってもなんとかしてくれるよ」
「何がって・・やはり何か起きているのですね。となると悪魔関連でしょうか・・グランツさんの割に依頼に行ってから戻ってくるまでに日が経っていますし」
「グランツの事だから旧友に会ってのんびりしてるだけかもよ。そんなに眉間に皺を寄せてても良いことないよ」
キールは自分のつるっつるの眉間を指さし、気の抜けるいつもの声でエリーナに言った。
「社長が全部話してくれたら、こんな心配事もなくなるのですが・・・」
エリーナはこれまでに何度言ったか分からない愚痴をこぼし、それを全く意に介さないキールを見て、諦めの表情とともにため息を吐いた。
数日後、さらにエリーナの不安をかき立てる情報が耳に入ってきた。
「保安局の兵士が大きめの規模の軍隊を編成してシュアルに向かうらしいぞ。さらに各冒険者ギルドにも協力要請を出しているらしい」
ところが社員に詳しく聞くと、キールの情報により王女の保護に向かったものの途中でモンスターに襲われ、さらにそのモンスターを操っていた悪魔が現れ、局長が1人で残り、王女を逃がしたという事が分かった。
この時点で、悪魔が王都近辺に出没していないことで、十中八九討伐に成功したと思われるが万が一のために軍を編成したのだ。
それに、保安局や冒険者達とは違い、エリーナはグランツがシュアルに居るという情報を持っている。そのことが討伐成功をエリーナに確信させた。
そのことを知った直後、ドアがノックされ、受付の子が入ってきた。
「エリーナさん、冒険者ギルド「巨人の盾」のギルド長がお見えになっています。保安局軍編成のことで聞きたいことがあるそうで・・」
「ありがとう。分かったわ、応接室に通して貰って」
やっぱり来たわね。社長が何も教えてくれないって分かってから、毎回私に聞くようになったのよね。
こればかりは仕方ないと、応接室に向かいノックをして入ると、大柄で服の上からでも分かる筋肉を纏った40歳ぐらいのスキンヘッドの男がいた。
「お待たせ致しました。では改めて本日はどのようなご用件でしょうか」
「ああ、悪いな。「巨人の盾」ギルド長のダグラスだ。知ってると思うが保安局の軍編成のことで聞きたいことがある。俺たち「巨人の盾」も招集されたわけだが、この件の成功確率を教えて欲しい」
「はい、私としてはほぼ100%成功すると考えております。そもそも、行く必要もないとすら考えております。保安局局長のシーフォリア様が1人残されていると聞きしましたが、社長がシュアルにグランツを行かせておりますので悪魔討伐に関しては完遂しているものだと考えて良いでしょう」
「怪力無双に、王都の脳と未来か・・・それならば納得だ。ふむ、これはうまい仕事かもしれんな。分かった、ありがとう。礼はまた振り込んでおく」
そういうと、ダグラスは応接室を去っていった。
ふう、と息を吐いて緊張を解くと、再び応接室のドアがノックされ、受付の子が顔を出した。
「すみません、先ほどお見えになって、「伝説の道」「妖精の女王」の各ギルド長もお見えになっています。よろしいでしょうか・・・」
「・・・分かりました」
その後、全く同じやりとりをして、各ギルド長はそれぞれ帰って行った。
王城の一室では
「シーフォリアは大丈夫でしょうか・・・」
窓を開け南の空を眺め、自分を助けるために1人残ったシーフォリアのことを考えていた。
戦いのことは分からないが、明らかに格上の敵であろうことは感じていた。
今回の軍の編成もアントレットが王に頼み込み動かしたのである。
「どうか、生きていてください」
幼い頃から実の娘のようにかわいがってくれたその老兵を、王国的にも、個人的にも死なすわけには行かなかった。なんとしてでも助けに行き、そのためには何でもするつもりであった。
「局長は、生きておられる。今から行くのは悪魔討伐ではない。疲れているであろうあの方に宴の招待をするのだ」
ミモルグは静かにそう呟き、自分のなかの不安を払拭しているようであった。
そうして、保安局軍は南へと進んでいった。
「局長さん、もう少し早く歩けないか?」
「年寄りをもっといたわらんかい」
「あ、そうだ!・・・はい、どうぞ」
グランツがしゃがみこんだ
「なんだ、それは」
「俺が背負うんで早く帰りましょう、早く風呂入りたくて・・」
「そんな恥ずかしいこと出来るか!」
「まーまー、そう言わずに」
ロイがシーフォリアの背中を押すと、既にふらふらだったのか倒れ込み目の前のグランツの背中に捕まった。
「よし!いくぞ!」
「ほいさ!」
「まてぃ!」
三者三様の声を上げ、野を駆けるウサギの如く進んでいった。
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