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君は無敵の姫君  作者: violet
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犯人達との遭遇

駆けて来る足音にお互いが気付いた。別方向から裏門に向かう足音がする、一人や二人の音ではない。

姿を確認するのと、マーガレットが叫ぶのが同時だった。

「レイクリフ、かがんで!」

え、と思う間もなくレイクリフは身をかがめる。

「グェッ!!」

後ろからマーガレットが身をかがめたレイクリフを勢いよく踏み台にして、対面する相手にとび蹴りをした。

刀傷であっても声を出さない自信のあるレイクリフでさえ、力任せに体重をかけられた女性のピンヒールには声が出た。


「うそだろう、公爵で将軍の俺を踏み台にする奴がいるなんて。」

踏まれた背中をさすりながら、レイクリフも正体のわからない一群を相手にする。

マーガレットは蹴り倒した男から奪った剣を手に持って戦っている、相手を斬る事に躊躇(ちゅうちょ)はない。


「うるさい!私の(しもべ)だろうが!!」

マーガレットがレイクリフを見ようともせず答える、視線は相手の動きから()らさない。

レイクリフも倒した相手の剣を奪い取っている。舞踏会で正装の二人が武器を手にするには相手から奪い取るしかない。


相手もレイクリフはともかく、豪華なドレスのマーガレットの応戦に戸惑(とまど)っている。灯りのない庭は、男性より小柄なマーガレットには有利であった。

ドサッ、倒れた相手が(かつ)いでいた大きな袋を落とした。マーガレットが駆け寄り袋の口を開ける。

剣の音に、警備兵達が集まって来る足音が聞こえて、正体不明の者達が逃げようとするが、(にが)すレイクリフではない。

追いかけるレイクリフと駆けて来る警備兵で挟み打ちとなり、傷を負ってはいるが、生きて3人を捕らえる事ができた。マーガレットとレイクリフが二人で対戦した男達は、余裕がなかったので生かす事はできなかったが。


「レイクリフ、医者を呼んで!」

マーガレットの声に、レイクリフは警備兵の一部に医者とイース副官達を呼びに行かせ、マーガレットの所に駆けつけた。マーガレットの腕の中には、幼児であろう男の子がいた。

「ヒューイ殿下!」

袋に入れて運ばれていたのは、アルビリア王国第2王子ヒューイ・アルビリアであった。




王宮の火はボヤ程度で消し止められたが、大騒動になっていた。

舞踏会は中止、ほとんどの貴族達は王宮から早急に返されることになった。

軍の指示の元、順番に帰宅させられていたが、喧騒の大広間からは、庭の騒動に気付く者はいなかった。



ケガ人を集められた救護室では、医師や侍女達が対応していたが、庭から戻って来たマーガレットの腕の中の子供に息を呑んだ。

「マーガレット姫の手当てもいたしますので、殿下を抱いたままこちらにお入りください。」

医師が奥の部屋の扉を開けて、マーガレットを(うなが)した。

マーガレットはレイクリフに守られるように、王子を抱いて部屋に入ると、王と王妃が待機していた。

マーガレットもレイクリフも豪華な衣装は返り血でどす黒くなっている。

「ヒューイ!」

王妃が抱きとろうとするが医師に止められた。

「王妃様、振動が危険かもしれません。マーガレット姫にそっとベッドに置いてもらいましょう。」

ええ、ええ、と(うなず)きながら王妃が下がる。

マーガレットは、意識のない王子をそっとベッドに寝かすと頭の傷を押さえていた手を引き抜いた。

医師はすぐに傷の処置を始めた。

「陛下、頭の傷は多少の出血はありますが、心配ないと思われます。他の傷も診ますが、意識さえ戻れば大丈夫でしょう。」

と言いながら、骨の折れているところはないかと、診ていく。


「マーガレット姫、レイクリフ、ありがとう。ヒューイを取り戻してくれてありがとう。」

王妃が涙ぐんでマーガレットの手を取る。

「妃殿下、マーガレット姫が煙の匂いに気付いたのです。

おかげで逸早(いちはや)く対応ができ、取り戻す事ができました。」

レイクリフが姉である王妃に説明をしていると、レイクリフとマーガレットは治療に呼ばれた。


女性の治療は別部屋であるらしく、侍女に案内されて行く途中に泣き声が聞こえた。

「マーガレット様、賊を捕らえてくれて、ありがとうございます。」

すでに泣いている侍女が礼を言ってきたが、マーガレットには侍女から礼を言われる理由がよくわからない。

「ヒューイ殿下の侍女の一人は、友人でした。

グラント宰相補佐官が部屋に飛び込んだ時は、すでに息がなかったようです。それでも、補佐官は火の中から二人の侍女の遺体を運んでくださり、私達にきれいなまま見せてくださりました。」

「そうですか。」

先程、やけどの治療をしている兄を見かけたが、そういうことか。

「私は何もしてませんわ、ワーグナー将軍が犯人を捕らえてくださったの。」

まさか、マーガレット自身が剣を持って犯人を斬った事を言うわけにはいかない、表向き令嬢仕様で話す。

「力のない女性を斬るとは、ひどいことです。

きっと侍女殿は殿下を守ろうと抵抗されたのですね。」

マーガレットの言葉に、案内する侍女も、ええきっと、と返答する。亡くなった侍女もこの侍女も貴族の娘なんだろう、争いとは無縁に育てられ恐かったろうと思う。



「将軍、これはどうやってケガされたのですか。この背中の傷が一番重傷です、骨にヒビがはいっているかもしれません。

棒で突かれたのですか、矢傷とも違うようですが。」

医師が診察でレイクリフに背中の傷を訊ねてきたが、まさかマーガレットのピンヒールと答えても信じてくれないだろう、と苦笑いをするしかなかった。




お読みいただき、ありがとうございます。


満員電車が揺れた時に、ガツンッと踏まれた時の痛さは声さえ出ないです (;_____;)

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