確かめあう心
戻って来た父達にサンドイッチを渡した後、南方部隊将軍執務室に向かった。
父達と同じ会議から戻ったばかりのレイクリフは、マーガレットから差し出された包みに飛び上がらんばかりの喜びようだ。
「マギーを連れて行きたい庭があるんだ、そこで食べよう。」
部屋にいる武官達に1時間程出て来る、と言い残して、マーガレットの手を引き王宮の奥にある庭園に来たのだ。
庭園の中にある東屋に座ると、感嘆詞をあげながらサンドイッチを食べ始めるレイクリフ。ただし、全て一口だ、唖然とマーガレットが見る。
「美味い、俺はマギーと結婚できて幸せだ。」
まだ結婚はしていない。
「悪いな、戦闘時の習慣で食べるのが早いんだ。」
なるほど、軍人の習性か・・・
いつの間にか、宰相執務室での話になってレイクリフが答えた。
「権力は使う為にあるんだ、それで何が気になる?」
コイツに相談した私が間違っていた。溜息がでそうになる。
「社会を守る為に、権力の序列があるんだ。それで間違えば権力を失う、そんなモノだ。」
驚いた、コイツがまともな事を言っている。バカじゃ将軍は務まらないって、ギリアンも言ってたと思いだす。
違う、最初からレイクリフを女たらしのダメなヤツと決めつけて、レイクリフを見なかったのは私だ。
婚約してから、女性関係を清算したのは知っている。
ウーン、プラス20点かな。
「私のいったいどこがいいわけ?」
自分で聞くのも恥ずかしいが、思わず口からでてしまった。
「あの蹴りはすごいよ、パンチも強烈だろ、ピンヒールは凶器だな。」
「誉めてない!!」
レイクリフ、強烈パンチに轟沈、自業自得である。
ゴホゴホ、と咳込みながらレイクリフが立ち上がる。
「マギーの嫌いなとこがないんだ、美人だし、可愛いし、料理は上手いし、教会では聖女かと思った。なのに剣を持つし、勇気あるし、全てだよ。」
言ってる本人より、言われているマーガレットの方が赤面している。
「なぁ、トイレは行くのか?」
ガーン!
デリカシーゼロのレイクリフは、床に沈められる。
「違うよ、同じ人間に思えないぐらい綺麗だし、好きなんだよ!」
「え?」
初めて好きって言われた、そう思ってしまった。
真っ赤になったマーガレットを見て、レイクリフも赤面する。レイクリフの手が、そっとマーガレットの手の上に重ねられる。
「俺、戦場で頑張ったよ、褒美が欲しい。」
マーガレットがピンヒールでレイクリフを踏みつけようとして、避けられる。
「貴方には情緒がないの!!?
どうして、即、そっちになるわけ!?」
「危ないなぁ、それは凶器だって。
愛してるから、マギーが欲しいんだよ。」
「じゃ、今までの人も愛していたってこと?!」
口からでた言葉にマーガレットも驚いている。これでは、やきもちを焼いているみたいではないか。
少しマーガレットを眺めた後にレイクリフは口を開いた。
「愛してなかったよ。
公爵とか将軍に群がる女としてしか見てなかった。相手の気持ちとか気にしなかった。
お互い、その時を楽しむ相手ぐらいに思っていた。
好きって気持ちがわからなかった、大事にしたいって気持ちもなかった。」
「え?初恋もまだだったの?」
「そうかも。」
今知ったように、レイクリフが答える。
「初恋の前に、女に迫られていたからなぁ、いい思い出ないな。」
ちょっと待て、とレイクリフがマーガレットを見る。
「マギーは初恋あったのか?」
「当たり前じゃない、13歳の時よ。」
「誰だ!?」
レイクリフの目は座っている、これは危ない、相手を知れば決闘に行きそうだ。
「ひ・み・つ。」
ジルベール殿下か、と呻いているレイクリフはマーガレットに無視される。
マーガレットに聞き出せないまま執務室に戻る時間になった。
結局、レイクリフはギリアンに泣きついた、何としても相手を知りたい。
「知っているよ、父も知っている。」
ギリアンは、こともなげに答えた。
「マギーの護衛だった男だ。」
「だった?」
「マギーを庇って亡くなった。
自分の剣の腕を過信したマギーが賊の前に飛び出した、それが原因だ。」
なんてことだ、死んだ相手には絶対に勝てない。しかも、マギーを助ける為に死んだ男だぞ。
「マギーを助けてやってくれ。」
ギリアンの言葉にレイクリフは意味がわからない。
「それからマギーは、足手まといにならないように、剣の猛特訓をした。
僕も父も、マーガレットを止めれなかった、マーガレットが後悔しているのを分かっていたからね。
だが、もう忘れさせてやりたい。」
期待しているよ、とギリアンはレイクリフの肩を叩いた。
「まかしてくれ。」
自信満々に答えるレイクリフはマイナス115点。




